アドビ。ソフトウェアによって世界を変えることができる企業のひとつ

アドビ。ソフトウェアによって世界を変えることができる企業のひとつ

アドビのソフトウェアは今もなお怒濤の勢いで高機能化が続いており、もはや他のソフトウェアなど話にならないほど進化した史上最強の画像編集ソフトになっている。今でも並び立つ者はないほど「超」高機能化したクリエイティブ・クラウドのソフトウェア群が、今度はマーク・レボイ教授の生み出した画像処理も組み込まれて、より高度化していくと思うと、興奮が隠せない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

いつも持ち歩いているカメラが最高のカメラ

今はまだ大きなレンズを持った一眼レフの方が画質は圧倒的に良いし、特に夜の写真ともなるとスマートフォンの写真はどうしても一眼レフの画質には敵わない。一眼レフはプロの間ではこれからもずっと使われ続けるだろう。

しかし、スマートフォンで撮影した写真を人工知能が加工して恐るべき高度な品質の写真にしてしまう方法が使われるようになっているのは事実なので、少しずつ少しずつ一眼レフの出番は減っていく。

だからこそ、ニコンやキャノンの経営はぐらついており、オリンパスもカメラ事業を撤退せざるを得ない状況になってしまっている。オリンパスのデジタルカメラ部門は累積損失は1000億円に達しており、もはや立て直しも不可能になっていた。

一眼レフはまだしも、コンデジなどは完全にスマートフォンに取って代わられてしまっており、時代遅れも甚だしい存在と化してしまっている。コンデジを毎日持ち歩く人はいないが、スマートフォンなら誰でも毎日持ち歩く。

「いつも持ち歩いているカメラが最高のカメラ」だというのは、カメラ好きの間でよく言われる台詞だが、そう考えると今やスマートフォンが最高のカメラであるというのは誰も否定できない事実である。

私は去年に「iPhone11 pro」を買ったのだが、超広角レンズも標準でついているし、昼間の写真を撮ったら画質は文句を付けようがないレベルにまで到達しており、「もう完全にコンデジは終わった」と思わざるを得なかった。

別に私はカメラについて詳しいわけではない。思い入れもない。言ってみればカメラに関しては「典型的な一般人」の立場である。そんな私が「もうコンデジは要らない」と思ったのだから、恐らく日本人の90%は同じことを考えているのではないか。

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マーク・レボイ教授がアドビに入社することの衝撃

最近、興味深いニュースがあった。グーグルのスマートフォン「Pixel 4」で驚愕的な写真クオリティを実現させた実力者であるマーク・レボイ教授がグーグルを辞めてアドビに入社したとというニュースだ。

「Pixel 4」はハードとしてのカメラ機能は優れていたわけではない。シングルカメラのままであったし、レンズもことさら大きなものではなかった。にも関わらず「Pixel 4」で撮られた写真の画質は驚くべきものあった。

普通に考えると、小さなレンズしかないスマートフォンは夜景など撮れたものではないのだが、「Pixel 4」は夜にも強かった。光源が少ない場所で撮られた写真であっても、非常に鮮明で、肉眼をも凌駕していたのである。

これは画質をハードウェアではなくソフトウェアで処理するという「転換」によって為された偉業だったのだ。

分かりやすく言えば「人工知能で撮られた写真を鮮明にして塗り絵した」とも言うべき画質処理だった。

実は、こうやって人工知能が塗り絵した写真は、人工知能の解釈が入るので、必ずしも現実通りに写されているわけではない。場合によっては現実とはまったく違う色で着色されているというケースもしばしばあった。あくまでも「人工知能による塗り絵」だったのだ。

しかし、人間の目にはその「塗り絵」は自然でリアルで現実に見えたし、少なくとも不鮮明でノイズだらけの写真より圧倒的に素晴らしいものだった。ソフトウェアで処理されたこうした写真は、やがて「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」と呼ばれるようになって定着した。

この「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」の産みの親がマーク・レボイ教授だったのだ。

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コンピュテーショナル・フォトグラフィー

このマーク・レボイ教授がグーグルからアドビに入社したというのは、今後はアドビのカメラアプリが「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」の最高峰になるということを予感させる。

まずはアドビがアイフォーンやアンドロイドで出しているカメラアプリが「Pixel 4」並みに進化することになる。

しかし、それだけではないはずだ。マーク・レボイ教授のコンピュテーショナル・フォトグラフィーの知見は恐らくアドビの基幹ソフトウェアである「フォトショップ」「ライトルーム」などにも組み込まれていくことになるだろう。

私が想像するに、まずはアドビのカメラアプリが「Pixel 4」的な役割を担うことになっていくのではないかと思う。画像処理はアドビの人工知能である「Adobe Sensei」によって為されるはずだ。

グーグルはそこまでだった。しかし、アドビはそれで終わりではなく、その写真をより細かく操作するためのパラメータを「フォトショップ」か「ライトルーム」に用意するのではないか。

いずれにしても、マーク・レボイ教授の天才的な頭脳が生み出す「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」の経験がアドビに取り込まれることによって、ますます高度化していくと思うと興奮を隠せない。

アドビのソフトウェアは今もなお怒濤の勢いで高機能化が続いており、もはや他のソフトウェアなど話にならないほど進化した史上最強の画像編集ソフトになっている。

今でも並び立つ者はないほど「超」高機能化したクリエイティブ・クラウドのソフトウェア群が、今度はマーク・レボイ教授の生み出した画像処理も組み込まれて、より高度化していくと思うと、興奮が隠せない。

「いったいアドビはどこまで進歩するつもりなのか」と思ってしまうほどだ。

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ソフトウェアによって世界を変える企業

アドビはクリエイティブ分野で大量のソフトウェア・ポートフォリオを保有しており、そのどれもが業界最高峰であり、プロの現場ではなくてはならないものである。

カメラマンは「フォトショップ」「ライトルーム」なくして仕事ができない。イラスト制作者や雑誌などの編集者は「イラストレーター」がなくては仕事ができない。印刷業界はPDFを扱う「アクロバットDC」と「インデザイン」がなかったら、その瞬間に仕事が止まる。

ウェブ制作者は、上記のすべてのソフトウェアと共に「ドリームウィーバー」や「XD」が使えればより効率的だ。動画制作者はアドビの「プレミア・プロ」「アフターエフェクツ」を使いこなす人が多い。

これらのソフトウェア以外に、アドビは大量のソフトウェアを持っていて、Mac、Windows、iOS、iPadOS、Android、とあらゆるOSでそれぞれ必要なソフトウェアが動作している。

現代文明のデザインは、アドビのソフトウェアによって製造されていると言っても過言ではないほど、アドビの影響力は大きい。アドビという企業の重要性は、これからも増大することはあっても減少することはあり得ないのではないか。

世の中はGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)とマイクロソフトなどの「分かりやすいハイテク企業」が投資家の耳目を席捲している。

しかし、アドビという企業は、これらの企業と同等くらい大きな影響力と重要性を持ち合わせていると確信している。

ちなみに、私はアドビの個別株を保有しているわけではないのだが、もしアドビの株を買うなら、アドビでトレードなんかしたくない。保有したい。「投資対象」ではなく「コレクター的対象」として保有したい。それほどアドビが気に入っている。

とにかくアドビには注目している。ソフトウェアによって世界を変えることができる企業のひとつである。

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