世の中は「ステイホーム」中心にイノベーションが起こる社会と変化したのだ

世の中は「ステイホーム」中心にイノベーションが起こる社会と変化したのだ

中国発コロナウイルスは「ステイホーム」中心に世の中を変えてしまった。その結果、起きているのは、「ステイホーム」の分野でイノベーションを起こしている企業へのシフトである。たった半年で、世の中はもう「快適な非接触」を提供する企業が世界を制覇する時代に変わったのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「ステイホーム」中心に世の中に変わった

中国発コロナウイルスは「ステイホーム」中心に世の中を変えてしまった。その結果、起きているのは、「ステイホーム」の分野でイノベーションを起こしている企業へのシフトである。

たった半年で、世の中はもう「快適な非接触」を提供する企業が世界を制覇する時代に変わったのだ。

だから、投資家はもう航空業界・観光業界の株式なんか買わないし、自動車メーカーの株式も、石油業界の株式も買わない。ナイキのようなシューズメーカーの株式も買わないし、スターバックスのような株式も買わない。

コロナ以前は、こうした株式には大きな未来があったかもしれない。しかし、「ステイホーム」中心のコロナ時代はそうではない。

人々が自衛のために家から出なくなると新しいシューズなど要らないので、当然のことながらナイキのシューズは売れなくなる。ナイキ(NIKE)の2020年5月通期決算は、そうした時代の変遷を見せつけるような失望の決算だった。

売上高は前期比4.3%減の374億300万ドル(約3兆9647億円)
純利益は同36.9%減の25億3000万ドル(約2681億円)。

ナイキのシューズはアメリカ本土でも売上が落ちた。ヨーロッパでも売上が落ちた。中東でも売上が落ちた。これは都市封鎖のために店舗が休業を余儀なくされたこともあるので、ナイキも恐らく店舗販売からオンライン販売に転換を急ぎ、売上の回復を目指すだろう。

しかし、時代は「ステイホーム」である。販売は苦闘するかもしれない。

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「ステイホーム」から外れた企業は苦しむ

スターバックスは4月28日に決算を発表していたのだが、赤字ではなかったものの、やはり減収減益でコロナによって大きなダメージを受けたのが窺い知れた。特に純利益は前年同期比51%減の3億2800万ドルである。

最高経営責任者(CEO)のケビン・ジョンソンは、「2020年通期の業績見通しは、現時点では予測がつかない」と述べている。コロナがこれから収束していけば店に客が戻ってくるかもしれないが、今の状況を見ていると楽観できそうにない。

「見通しは暗い。しかし、財務面の苦境は一時的なもので巻き返せる」とスターバックスは述べているのだが、投資家はあまり期待していないのが株価にも表れている。

デルタ航空(DAL)、アメリカン航空(AAL)、サウスウエスト航空(LUV)、ユナイテッド航空(UAL)などは、見るも無惨な状況となっている。6月には記録的な上昇を見たとは言えども全体から見ると「ボロボロ」と形容するのが正しい。

そして、コロナによる社会の混乱が引き続き続く中で、業績が楽観できるはずもない。ボーイングも同じだ。3月の底値から株価は何とか戻そうとしているのだが、ジェット機の購入をキャンセルされていて6月も1兆円規模の契約を失ったばかりだ。さらにジャンボジェット機747型機の生産も打ち切りになる。

自動車メーカーのGMやフォードはコロナ以前から経営状態が良くなかったのだが、社会がコロナショックに見舞われると、ますますひどいことになっており、第一四半期の決算は、GMが「売上高6.2%減、純利益86.4%減」、フォードは「売上高14.9%減、純利益98%減」だった。

「ステイホーム」から外れた企業は、いきなり社会の変化にダメージを受けて、どうしようもない状況に追いやられているのが分かる。

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「ステイホーム」に合致した企業は伸びる

しかし、「ステイホーム」の王道にいる企業は、ますます好調であり、株価もまた力強く伸び続けている。その中でもど真ん中にいるのがマイクロソフトだ。

人々はリモートワークを強いられるようになって、PCを買っているのだが、そこで必要になるのがPCであり、オフィス製品であり、仕事のファイルをやり取りするクラウドである。

マイクロソフトは「ステイホーム」でかなり恩恵を受ける企業であり、2020年に入って一気に時代の主役に躍り出た。(マネーボイス:マイクロソフト、コロナで再び脚光。アップルを抑えて覇権を握るワケ=鈴木傾城

決済では「ペイパル(PYPL)」が圧倒的に強く、インターネットによるコンテンツの視聴の分野では「ネットフリックス(NFLX)」が圧倒的な強さを見せている。アマゾン(AMZN)も強いし、アマゾンを追撃する勢いのショッピファイ(SHOP)もまたコロナ時代に乗って大いに上がっている。

ショッピファイ(Shopify)は最近、楽天と連携したことで日本の小売業者も注目するようになっているのだが、このECサイトは簡単にオンラインストアが開設できるプラットフォームとしてアマゾンとは違う手法でアマゾンを追撃しつつある。

他にも「電子署名」「電子契約の管理」を担う企業としてドキュサイン(DOCU)のような企業も伸びている。

同じく「電子署名」を扱い、電子ファイルとして重要なフォーマットであるPDFを開発し、さらにデザイン分野で並び立つ者がない巨人となっているアドビ(ADBE)もまた凄まじいまでの躍進を見せている。(フルインベスト:アドビ・システムズ。サブスクリプションを成功させた超優良ソフトウェア企業

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かなり上昇したから「もう終わり」か?

アップル(AAPL)は「ステイホーム」時代に問題を抱える企業なのかと言えばまったくそうではない。いくらステイホームの時代になって人々がPCに向かうようになっても、だからと言ってスマートフォンを捨てるわけではない。

人々はPCを使いながらも絶対にスマートフォンも手放さない。人々はコミュニケーションをPCではなくスマートフォンで行う。また、いくらステイホームの時代になっても、人々は家から一歩も出ないわけではない。

そんな時、むしろスマートフォンは必須である。人々はもうスマートフォンがなければ目的地に行くこともできず、家族や友人とコンタクトを取ることもできず、モノを買うこともできない。現代人にとってスマートフォンは、もはや人体の一部でもある。

さらにアップルはこのスマートフォンを軸にして、iPad(タブレット)を浸透させており、今後はMacもiPhoneとiPadのアプリケーションとリンクしていく。それと同時にアップルはサービス部門も拡充しており、人々をつかんで離さない。

これらの企業の株価はかなり上昇している。しかし、かなり上昇したから「もう終わり」なのだろうか。

それは「コロナがどうなるのか」にかかっているのだが、コロナの特効薬や治療薬はまだ開発されておらず、期待されているワクチンに関しても、モデルナが「大規模治験の実施が遅延する」と7月2日に発表したばかりだ。

コロナの治療薬やワクチンの開発はなかなか一筋縄ではいかない。そんな中で日米欧もコロナの感染は収束ではなく、第二波を予感させるような動きになっている。

コロナの混乱はまだ終わらない。それに伴ってステイホームのイノベーションを提供する企業の重要性はより高まっていくことが予測される。「快適な非接触」を提供する企業に金が集まり、イノベーションが起こっている。

これらの動きはまだ続くと考えるのが正しいのではないか。そう思いつつ、こうした企業に注目している。

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