コロナショックが日本経済の与えている悪影響を数字で見る

コロナショックが日本経済の与えている悪影響を数字で見る

コロナショックが本格化したのは3月からだが、その前後から日本経済は悪化する一方であり、まだコロナショックはこれからも続いていく。いったいどのようになっているのか。ここは分かりやすく「数字」から、どん底(ボトム)で起きていることを浮かび上がらせてみたい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

ただならぬ状況になっているというのが窺い知れる

中国発コロナウイルスによって日本経済はズタズタになっているのだが、表面上はまるで何も起こっていないかのように平穏な日常が流れているように見える。しかし、本当にそうなのだろうか。

私自身は3月の中旬まで、実際にどん底(ボトム)で生きている様々な人たちに会って話を聞くようにしていた。

しかし、3月の末あたりから歌舞伎町のホストクラブでコロナの感染者が出て、夜の街の住民たちにコロナが広がっている現実を見て、熟考した結果、彼らと接触するのは止めた。

歌舞伎町のホストクラブでコロナの感染者が大量に出ているというのは、東京都は5月あたりから言うようになっていたが、これは3月の末あたりから起きていたことだ。

こうしたことから、私は3月から6月にかけて、ほとんど誰とも会っておらず、実際にどん底の現場がどうなっているのかは誰からも話を聞けていない。しかし、いくつかの報道を見ても、ただならぬ状況になっているというのが窺い知れる。

いったいどのようになっているのか。ここは分かりやすく「数字」から、どん底(ボトム)で起きていることを浮かび上がらせてみたい。

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雇用相談件数=約54万8000件

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全国の労働局の特別相談窓口に寄せられた「雇用調整助成金」「解雇・雇い止めの相談」は「約54万8000件」だった。

切実な相談が多い。突然、何の前触れもなくいきなり解雇されたとか、もう来なくても良いと突然言い渡されて、どうやって生きていったらいいのか分からないとか、生活が崩壊するのを避けられないような「悲鳴」のような相談が約54万8000件もあったということである。

「約54万8000件」というのは凄まじい数だ。困窮しているすべての人が相談するわけではないので、実態はもっと多くの人が困った状況に追い込まれているというのが窺える。

さらに、中国発コロナウイルスの問題は5月で終わったわけでも何でもない。緊急事態宣言は解除されたが景気は相変わらず悪いままであり、追い込まれて相談に駆け込む人はもっと増えるだろう。

休業者=597万人(4月)

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5月29日、総務省が発表した労働力調査によると4月の休業者の総数は597万人だった。休業者とは「雇用されているが給料は支払われている」という状態である。休業者は企業がこのように考えている結果、生まれている。

「今を何とか耐えれば状況は良くなるのでクビにするのではなく休業してもらおう」

中国発コロナウイルスによるショックは一時的であると考えた企業が「満額ではないが賃金を出して営業が正常になれば戻ってもらう」ために休業してもらっている。その人数が597万人なのである。

ちなみに、この休業者に与えられる賃金は、ほんの数万円のレベルもある。とても生活できないレベルだ。

この597万人は、実質的には「潜在的失業者」であるとも言える。彼らは働いていないからだ。では、もしコロナショックが長引いて不景気がとめどなく続いたり、感染拡大の第二波・第三波がやってきたらどうなるのか。

その時こそ、この597万人の休業者が失業者に転じることになる。

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解雇・雇い止め=2万9237人(6月)

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2020年6月30日、厚生労働省は全国の労働局を通じて集計した結果として、解雇や雇い止めが6月4日の時点で2万9237人となったことを発表している。少ないように見えるだろうか。

これは、あくまでも労働局を通じて集計した結果であり、現実には労働局が把握していない解雇・雇い止めが大量にあるわけで、こうした末端を入れると、とても2万人では済まない可能性がある。

ちなみに5月21日は1万人だったので、たった1ヶ月で捕捉できるだけでも1万人が増えている。

非正規労働者の数=97万人減少(4月分)

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「雇い止め」「解雇」は、今働いている人たちに対して「もう明日から来なくても良い」というレベルだ。それとは別に「求人をしない」というケースが同時並行で起きているというのは危険な兆候である。

パート・アルバイト等の非正規雇用者の数は通常よりも97万人も減少している。最初から雇わない。求人を取り下げる。これは解雇や雇い止めとは違ってサイレントで広がる雇用調整である。だから、あまり話題にはならないのだが、実はかなり深刻な問題であるとも言える。

この雇われなかった97万人は、通常であれば「仕事が得られた」人たちである。こういった人たちの仕事場所がなくなってしまっている。働き場所がなければ、当然ながら生活費も入らない。生活が困窮していく。97万人がそういう状況に追いやられているということだ。

しかも悪いことがある。この97万人は6割以上が女性の可能性がある。単身女性、高齢女性、シングルマザーがことごとく生活苦に落ちていく可能性があるというのがこの「非正規労働者の数97万人減少」の意味である。

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生活保護の申請件数=2万1026件(3月)

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統計データが出ている生活保護の申請件数(3月)は2万1026件となって前年同月比で7.4%増えている。

この数字はコロナショックが本格化した4月、5月、6月でさらに悪化しているので、統計データを注視しているが、まだコロナショックが本格化する前の3月の時点でもすでに生活保護の申請件数は跳ね上がっていたのだ。

しかし、生活保護受給世帯はそれほど増えていない。これは何を意味しているのか。申請は多くなっているのだが、断られている人が裏側に大勢いるということである。

完全失業者数=197万人(5月)

1,970,000

2020年6月30日。総務省が発表した5月の労働力調査によると、完全失業率2.9%、完全失業者数は前月比19万人増の197万人となっている。日本で今、197万人がまったく仕事がない状況である。

失業者は数ヶ月内に4%に限りなく近づいていくはずだ。

これに、潜在的失業者と言われる休業者の597万人を加えると、794万人が仕事に関しても問題を抱えているということになる。日本の就業者数は6656万人である。約12%は中国発コロナウイルスの不景気の直撃を受けているということだ。

794万人というのは決して小さい数字ではない。彼らは言うまでもなく社会のどん底(ボトム)に直結しかねない状況にある。コロナに関しては、まだまだ特効薬や治療薬も開発されておらず、場合によっては1年以上かかるかもしれない。

とすれば、自粛・休業・ステイホームの傾向はずっと続くわけで、失業者は失業したまま本格的な貧困に固定されかねない。そのような瀬戸際にあるのが今の状況でもある。

消費支出=マイナス11.1%(4月)

-11%

総務省が発表した4月の家計調査では、消費支出は前年同月比で11.1%のマイナスを記録している。これは、中国発コロナウイルスの問題もあるが、2019年10月に取り入れられた消費税引き上げの悪影響もある。

なぜそれが分かるのかというと、2019年の10月も11月も消費支出はマイナスだったからだ。消費税の引き上げは明らかに一般国民の財布を直撃しており、コロナ禍が重なったことによって消費を減らさざるを得ないような最悪の状況になってしまっていた。

これからどうなのか。

恐らく5月6月も消費支出のマイナスは続いているだろう。そうなれば、この次に何が起こるのかというと、企業の売上と利益の減少の悪化である。日本経済の悪化が鮮明化するのは、むしろこれからなのだ。

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