コロナは「もう終わった」のか、それとも「これからもっと悪くなる」のか?

コロナは「もう終わった」のか、それとも「これからもっと悪くなる」のか?

中国発コロナウイルスの最悪期は「終わった」のか「終わっていない」のかは、見る国と人によって違って当然なのだが、投資家目線で見ればどうなのだろうか。私自身は予言者でも何でもないし、この世に予言者などひとりもいないというのは分かっているので、私自身は「どちらの見方が正しいのか」という判断はしない。したところで意味がない。私が重視しているのはそこではなくて「2つの見方がある」という部分である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「2つの見方がある」ということに注目すべき

私たちの前には、今「2つの見方」がある。中国発コロナウイルスの問題は「もう終わったこと」という見方と、「これから第二波が来てもっと悪くなる」という見方だ。

今ではすっかり信用を失ってしまったWHO(世界保健機関)だが、テドロス事務局は「で、新型コロナウイルスのパンデミックはいまだに加速している」と言っている。実のところ、中南米やアフリカや南アジアではまさに感染者が爆発的に増えている途中であり、収束どころの話ではない。

しかし、一方の先進国では「感染者数も、死者も、すでに峠を越えた」という意識があって、実際に厳しいロックダウンはどこの国も段階的に解除して通常の日常に戻りつつある。

これはアメリカでもそうだし、日本でもそうだ。もちろん、人々はまだ警戒しているのは事実だが、国も人も「ロックダウンはもうすべきではない。経済が死ぬから」と思っている。それが先進国の状況だ。

地域によって状況が割れている。だから、中国発コロナウイルスの最悪期は「終わった」のか「終わっていない」のかは、見る国と人によって違って当然なのだが、日米欧に関してはどうなのだろうか。

私自身は予言者でも何でもないし、この世に予言者などひとりもいないというのは分かっているので、私自身は「どちらの見方が正しいのか」という判断はしない。したところで意味がない。

私が重視しているのはそこではなくて「2つの見方がある」という部分である。

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パニック状態は終わったという意味で「終わった」

実のところ、実体経済は日米欧ともボロボロの状態だ。しかし、株式市場は好調である。これはアメリカの株式を保有している人間は特に感じることである。ここのところのNY株式市場全体の上昇は、戸惑いを隠せないほどのものとなっている。

特にナスダック市場は過去最高値を付けるほど「絶好調」であり、ナスダック市場の代表銘柄をパッケージしたETF【QQQ】を保有している人は大きく儲け、NY株式市場全体をトレースしているETF【VTI】を保有している人も、それなりに大きく儲けている局面だ。

実体経済がボロボロなのに株式市場全体が好調なのは、もちろんFRBが無尽蔵の金融緩和を行っているということもあるのだが、投資家がアメリカに関して言えば「もう終わったこと」と思っているからに他ならない。

「終わった」と言っても、コロナが消えてなくなったと思っているのではない。

そうではなく、コロナとは共存しなければならないというのはあるが、どうしていいのか分からない最初のパニック状態は終わったという意味で「終わった」と捉えているということだ。

社会的距離をきちんと保っていればそれなりに感染拡大は防御できるし、完全ではないとは言えどもレムデシビルのような薬もあるし、他にもいろんな薬がそれなりに効くということも分かってきたしパニックも収まった。

そして、人々が冷静になるにつれて日常生活はそれなりに戻ってきたし、感染の拡大を避けるためのリモートワークも浸透して新常態(ニューノーマル)の仕事・ライフスタイルの提案と定着も起きてきた。

そうであれば、「もうコロナを憂慮して株を売る」というのは間違いで、むしろ「コロナからの回復」を拾うべきだと考える投資家が増えた。今、このような考え方が広がっているというのが現状だ。

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 いつでも制御不能になってしまうかもしれない

しかし、本当にそれは正しいのか。別の見方もある。日米欧の先進国では確かに峠を越えたように見える。

社会は平穏に戻ってきた。感染者と死者はゼロにすることはできないものの、それなりに制御することはできている。政府も体勢を整え、人々も新しい社会に順応し、全体的に見るとうまくやっている。

しかし、以前のように国境を開き、諸外国との行き来を段階的に解除し、人の流れが活発化すると、今までコントロールしていた感染者と死者はまたもや制御不能なまでに広がっていくかもしれない。

何しろ今もまだ効果的な特効薬や治療薬は「開発中」である。再び爆発的大感染が起きたら、いつでも制御不能になってしまう。つまり、「第二波」「第三波」が人々の油断と共に数ヶ月内にやってくる事態もあり得るということだ。

そうすると、どうなるのか。

結局は都市封鎖や自粛や休業が強制されることになり、実体経済は回復するどころかもっと悪くなるかもしれない。中小企業・小規模事業者はバタバタと倒産し、人々の心は折れ、企業は活動を縮小し、2020年の第三四半期、第四四半期の決算は悲惨なことになり得るだろう。

その予兆が見えた瞬間に投資家は一気に市場から資金を引き出す。つまり、株価は大暴落する。「コロナによる最悪期は脱した」と思って買い上げていた投資家はこれによって大損に見舞われることになる。

この見方をする投資家は、今の上昇相場を慎重に見ており、全力投資(フルインベスト)をしない。

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雰囲気で上がっているというのが今の私の実感だ

最悪期が終わったと判断して回復株を買いまくるのか正しいのか。それとも、コロナによる社会のダメージはこれからも何度も襲いかかってくるので当然、株式市場に悪影響を与えると考えて投資を控えるのか正しいのか。

実のところ、そんなことは誰にも分からない。どちらかに大きく賭けて、賭けに勝った人間が次の金持ちになれるのだが、状況がどちらにも転ぶ以上、それは丁か半かのバクチに買ったという意味である。

ナシーム・タレヴ氏の言うところの「まぐれ」だ。

私自身は、「どちらのシナリオもあって、どう転ぶのか決まっていない」というスタンスをずっと持っている。確率的には五分五分ではないか。そうであれば、未来を断言したところで意味はない。

どちらかに賭けて当たれば気持ちがいいが、世の中が二転三転してたまたま当たっただけに過ぎないので、予測にフォーカスするのは避けている。

私が注意しているのは「状況判断」である。今の状況で「2つの見方」があって、コロナの危機は最悪期を脱してこれから回復すると「思っている」人の方が今は優勢なのだという状況判断をしている。

状況判断をすれば何が得られるのか。相場の動きや状況に流されないで、自分で意志決定する判断が得られる。

「株価は景気の先行指標」だとか「株価には先見性がある」と断言する人もいる。一方で「投資家の見方は一方的」だとか「株価はしばしば間違える」という人もいる。

「株価は景気の先行指標」なのか、それとも「株価はしばしば間違える」のは、来年の今頃になったら答えが出ているはずだ。

私自身はまだ相場に全力投資(フルインベスト)する気持ちが起きないまま、ただ単に定期定額積立投資をして今の奇妙な相場を興味深く、そして注意深く観察しているところだ。

相場が上がっているので儲かっているのは間違いないが、勝負はしていない。

『まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか(ナシーム・タレヴ)』

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