コロナ禍で資本主義や株式市場が機能しなくなると考えるのは大袈裟すぎる

コロナ禍で資本主義や株式市場が機能しなくなると考えるのは大袈裟すぎる

この200年、世界は激震に見舞われてきて第一次世界大戦、第二次世界大戦のような全人類を巻き込んだ殺戮戦争も起きているが、株式市場はビクともしないで生き残ってきた。日本でも証券取引所はBー29で日本本土が焼き尽くされている昭和20年のギリギリまで開かれていて、株式の取引が行われていた。それほどまで株式市場は、社会の中心に組み込まれているシステムである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

資本主義が崩壊するというのは馬鹿げた妄想

中国発コロナウイルスがパンデミックを引き起こしてグローバル経済はズタズタに寸断されており、2002年の全世界の経済は壊滅的なダメージを受けている。多くの企業は売上を落とし、株式市場は乱高下し、各国政府は湯水のごとくカネをばらまき、さらに多くの人々が失業した。

ワクチンの開発はそう簡単にいかないということも分かってきたので、コロナ禍は当分収まりそうにない。このままでは「恐慌」に至る可能性もあるし、「場合によっては資本主義が崩壊する」「株式市場も機能しなくなる」と懸念する人も出てきている。

私自身は資本主義が崩壊するとはまったく思っていない。株式市場も生き残り続ける。停滞や萎縮はあり得るかもしれないが、崩壊はあり得ない。なぜなら、コロナ禍でもあっても、企業は機能し続けているからだ。

私たちはコロナがどれだけ猛威を振るっても、アップルのスマートフォンを使い、ユーチューブで動画を見て、任天堂のゲームを楽しみ、マイクロソフトのコンピュータで仕事をし、アマゾンでショッピングし、ビザのクレジットカードを使って決算し、相変わらずコカコーラやペプシを飲み、シャワーを浴びたらP&GやJ&Jの石鹸やシャンプーを使い、たまに病気になったらファイザーの薬に頼る。

すべて「上場企業」が提供した製品を使って私たちは生きている。

そもそも、中国発コロナウイルスのワクチンや治療薬を開発しているのも上場企業である。上場企業は株式市場と共に存在しており、私たちはこうした存在なしに生きることはできない。

だとすれば、資本主義が崩壊するとか株式市場が機能しなくなるというのは、馬鹿げた妄想だと思わないだろうか。

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企業が個人よりも優先されている現実

改めて現代の資本主義のカタチを考えてみるべきだ。資本主義の「資本」というのは、事業活動をするための元手のことを意味する。事業活動をしているのは企業である。だから、現代の資本主義とはこのように考えることができる。

資本主義=企業中心主義

実際、現在は「企業中心主義」となっている。企業活動が社会の中の何よりも最優先される。リーマン・ショックの混乱時でも、各国政府は崩壊していく企業を救出するために税金を惜しみなく投じた。

アメリカ政府が崩壊しそうになっていた金融企業を救済しようとしたのは、ここを助けないともっと巨大な社会不安が発生する可能性も高かったからだ。しかし、一般市民には、「企業を助けて個人は見捨てている」ように見えた。

実際、その認識は間違っていなかった。個人の破綻も相次いでいたが、それよりも企業の救済が優先されていたからだ。

そのため、アメリカでは「税金で強欲な企業を助けるな」という怒りのデモが各地で巻き起こってデモ隊がウォール街になだれ込むという状況も発生していた。この「ウォール街を占拠せよ」の運動は長く続いた。

現代の資本主義社会では、企業が個人よりも優先されているのが垣間見えた象徴的な出来事として印象に残っている。

今回のコロナショックでも、FRBは前人未到の金融緩和を行っているのだが、この金融緩和でばら撒かれた資金も株式市場になだれ込んで上場企業を救済する形になっている。現代の資本主義社会とは、多国籍企業中心の社会であるというのは、ありとあらゆる場面で私たちは知る。

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上場企業が時価総額を膨らませていく

コロナショックは現代の資本主義や株式市場のシステムを瓦解させるというのは杞憂だ。株式市場は今までの数々のショックでも生き残って来た。

NY株式市場、正式名で言えば「ニューヨーク証券取引所」は1817年3月8日に設立されているが、それから約200年経った今も機能し続けており、世界の資本主義を支え続けている。

この200年、世界は激震に見舞われてきて第一次世界大戦、第二次世界大戦のような全人類を巻き込んだ殺戮戦争も起きているが、株式市場はビクともしないで生き残ってきた。

日本でも証券取引所はBー29で日本本土が焼き尽くされている昭和20年のギリギリまで開かれていて、株式の取引が行われていた。それほどまで株式市場は、社会の中心に組み込まれているシステムである。

もちろん、人類が消え去るような天変地異が起きたら文明の崩壊と共に株式市場もまた崩壊するのだろうが、そんな時は株式市場が崩壊する云々の前に自分が死んでいるのだから、株式市場よりも自分の心配をすべきだ。

つまり、私たちの生きている限り、株式市場が続くということだ。現代資本主義の総本山であるNY株式市場も世界に君臨する時代が数十年に渡って続く。

言うまでもないが、資本主義は膨張するシステムだ。政府は膨大な紙幣を発行し、金融市場はバーチャルマネーを無尽蔵に膨らませている。資本主義システムは成長を前提としたシステムであり、今後も株式市場全体の時価総額は膨らんでいく。

それは100%確実なことでもある。

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国と人が傷ついても、多国籍企業は肥え太る

中国発コロナウイルスがパンデミックを引き起こし、社会を激震させ、特効薬や治療薬の開発は一筋縄ではいかないことが明らかになり、今後も株式市場は乱高下が続く。かなり長く波乱が続く可能性が高まっている。

多くの企業が傷ついている以上、株式市場に悲観が渦巻いてもおかしくない。今後も、何度も暴落がくる。しかし、それで株式市場は崩壊するわけではないし、資本主義が終わるわけではないし、世界が消滅するわけでもない。

米中の対立も深まって、今後は地政学的にも危険な時代に入るかも知れない。

しかし、仮に中国が暴発して戦争になったところで、それで全世界の企業が絶滅するわけでもない。そもそも、戦争するにも軍事企業の製品を買わなければならない。兵器のすべては軍事企業が提供している。

皮肉なことだが、戦争になればなるほどNY株式市場に上場している軍需企業の株式は活況になり、株式市場は投資家で賑わうだろう。

国と人が傷ついても企業は肥え太るということだ。

つまり、コロナ禍で社会が激震して最悪の状況になっているとしても、現代の資本主義の根幹が揺らぐことはないし、ましてや株式市場が消えることもない。むしろ、ますます株式市場の時価総額は膨らんでいくのではないか。

今回のコロナ禍は衝撃的な災厄だが、それでも資本主義が崩壊するとか、株式市場が機能しなくなるとか考えるのはあまりにも大袈裟だ。

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