コロナショックという未曾有の危機の中でも生き残るための私の武器とは何か?

コロナショックという未曾有の危機の中でも生き残るための私の武器とは何か?

だから私は、1997年のアジア通貨危機でも、1998年のロシアデフォルトによる金融市場の暴落にも、2000年のITバブル崩壊でも、2001年の同時多発テロ事件による金融ショックにも、2008年のリーマンショックでも、2011年の東日本大震災でも、生き残ってこられた。これまで一度も経済的に追い込まれたこともなかったし、首が絞まることもなかった。私は要領が良かったのか。いや、そうではない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「借りたものは返せ」というのが基本

言うまでもないが、中国発コロナウイルスは今後「極度の不景気」を呼び起こす。労働人口の3分の1が失業してしまいかねないような強烈かつ危険な不景気が来るかもしれない。全世界がロックダウンや自粛をしており、それぞれの国が外国人を排除しているのだから、これで不景気が来ないと考えるのは無理がある。

すでに多くの企業が倒産しているのだが、まだコロナ禍は始まって3ヶ月も経っていないことを考える必要がある。これからコロナ蔓延による国家と企業と個人の苦境はより深まっていくのだ。

このような時代になると、借金を抱えている人間が最も弱い。

なぜなら、借金は自分の都合に関係なく返さなければならないものであり、コロナ禍で収入が減ろうが何だろうが「借りたものは返せ」というのが基本だからである。これは住宅ローンでも、カードローンでも、リボ払いでも同じだ。借りている金額が大きければ大きいほど不景気では弱い。

たとえば住宅ローンでは一度でも返済が滞ると優遇措置が外されて、苦しい時により返済が重くなる。最も経済的にキツい時に、支払いはより重くなる。カードローンにしても、遅滞すればするほど罰則的な金利が高くなる。税金ですらも、払うべきものを払わないと懲罰的な金利が加算される。

借金がある人は、コロナ禍では最も注意深く生きなければならない人だ。私たちが今まで経験したことのない超弩級の不景気がこれからやってくるし、不景気は長期化するのは確実だからだ、社会のあり方を激変させるほどの苛烈で見たことのない不景気に陥り、借金がある人はより借金が膨れ上がる。

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返せなくなった瞬間に「根こそぎ奪われる」

借金が返せなくなるというのは生活が破綻するということである。つまり「衣食住」のすべてが奪われるということだ。最初に電話・電気・ガス・水道が止められ、次に住居を失う。

住居を失ったら仕事どころではない。そのため、多くの場合は仕事も一緒に失う。仕事もカネも住所もなく路頭に迷うことになる。

実際、非正規雇用者の中で平均年収186万円のアンダークラス(低所得層)の中で、どん底の中のどん底にいる人たちは、すでに家賃を支払うことができずに住居を失ってしまった人たちがネットカフェに大勢いる。

借金が返せなくなった瞬間に「すべてを根こそぎ奪われる」のだから、それまでどんな優雅な暮らしをしていようが、その後はあっという間にどん底だ。

借金は好景気の時は成長のスピードを速めるレバレッジの役割を果たすのだが、不景気の時は一気に自分を奈落の底に突き落とす地獄の使者と化す。

そのため、借金で追い詰められた人たちは、多くの場合はそこからもがこうとして「借金を借金で返す」自転車操業に追い込まれていく。

特にその傾向が強いのは事業主である。

「ここを乗り切ったら何とか生き残れる」という一縷の望みを抱くので、返せなくなった時点で終わりにしないで借りて借りて借りまくって「しのぐ」のである。

しかし、借金を返すためにどこからでも借りるというその悪あがきは、より深い地獄に落ちる第一歩と化す。事情を聞いて返せない借金をしようとする人間には貸す側もリスクなのだから必然的に高金利で貸すしかない。

通常の金融機関が貸してくれないのであればヤミ金融に辿り着くのだが、そこはもはや法律すらも無視した世界である。カネのなくなった人間がトイチ(年利365%)でカネを借りて何とかなるわけがない。しかし、借りる側は、もう合理的な判断すらも喪失している。それで破綻に向かう。

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政府は国民を救済するつもりはないのか?

2020年2月から不穏な空気になり、3月から一気に悪化していった中国発コロナウイルスによる経済悪化は、もはや個人の努力では何ともならないような極度の不景気を生み出した。

政府が自ら生活保障もしないまま緊急事態宣言を出して、さらに5月4日にはそれを1ヶ月延長するという無謀なことをしている。政府は国民を救済するよりも、むしろ経済的に追い込もうとしているようだ。

いくら救済措置があったとしても、事業を継続できる環境が封じ込められているのだから、出し渋っている給付金で何とかやりくりできるのかは分からない。

企業が休業手当の助成制度や雇用調整助成金を相談しようとしても、相談窓口は「3時間以上の待ち」は普通で、就業形態が不規則なことを理由に申請を断ったり、何度もやり直しをさせることも多く、申請が進まないような状況になっている。

企業が従業員を維持するための休業手当にしても、上限額は8330円であり月給30万円の社員であれば企業は約13万円を負担しなければならず、結局のところ体力のない企業は休業手当を使うことができない。

雇用調整助成金も申請するのに非常に複雑な書類を書かなければならず、しかも労動条件通知書など、必要案書類が揃わなければ却下される。結果的に、制度があっても使えないような状況になっているのである。

そもそも、政府は2019年10月に消費税を10%に引き上げて景気を急激に冷やしておきながら、リーマンショック級の事態が起きているのに消費税を決して引き下げたり撤回しようとしないのである。

冷酷だ。率先して国民を追い込もうとしているかのようだ。

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経験したこともないような不景気が目の前にある

コロナ禍が生み出す未曾有の不景気の中で追い込まれ、借金が返せなくなって苦しまぎれに借金を借金で返す自転車操業を始めても何ともならない。しかし、「生き残りたい」という「あがき」がそれを誘発する。

中小企業・小規模事業者・個人事業主・フリーランサーは、多くが事業の成長のために負債を抱えている。借金がない人の方が少ない。そのため、追い詰められれば「何とか会社を行き残さないと」と思って、どうしても借金を積み上げるように新たな借金をしようとする。

それが自分の首を絞めることになるとは思っても、ここで事業を畳んでしまうと後には借金だけが残るし、すべてを失うのは先延ばししたいと思うので、どうしても借金に借金を重ねる状況を抗えない。

最後には悲惨な結末が待っていると分かっていても、致し方がなく泥沼の道に突き進んでしまう。

2020年。世界は突如として変わってそのような悪夢の世界が目の前に現れた。借金を返せなくなった人間は自己破産に追い込まれるだけでなく、精神的にも極度な緊張感を強いられて鬱病や自殺を誘発することになる。

これから日本では「コロナ死」と同時に「経済死」をする国民が数十万・数百万単位で生まれることになる。それほど凄まじい「地獄の時代」がやってくる。

こんな時代に生き残りたければ、借金はとにかく「減らす」ことを優先しなければならない。経験したこともないような不景気が目の前に現れたのだから、自らの規模をとにかく極限まで小さくするしかない。

変哲のない3つの武器だけで生き残れると思っている

事業を継続させることによって借金が膨れ上がって将来の破綻が見えているのであれば、傷が浅いうちに撤退するのは結果的に自らを助けることになる。

私は1990年代のバブルで資産価値が見る見る消えていく中で「何とか生き残ろう」として結果的に傷を深めて再起不能になった人たちを見てきた。

そうした人たちの苦しみや不安や精神的苦痛を間近で見てきた。だから、私自身は常に借金を遠ざけてきたし、人生においても投資においても生き方にもレバレッジもかけなかった。

だから私は、1997年のアジア通貨危機でも、1998年のロシアデフォルトによる金融市場の暴落にも、2000年のITバブル崩壊でも、2001年の同時多発テロ事件による金融ショックにも、2008年のリーマンショックでも、2011年の東日本大震災でも、生き残ってこられた。

これまで一度も経済的に追い込まれたこともなかったし、首が絞まることもなかった。私は要領が良かったのか。いや、そうではない。ただ単に「無理をしなかった」「分相応に生きてきた」「貯金・投資をした」「借金をしなかった」だけで生き残ってこられたのだ。

これが私の持つ「生き残りの武器」だった。

2020年を覆い尽くす恐慌なみの経済地獄であるコロナショックは、恐らく私が経験する「人生で最も苛烈なショック」になると思う。見たことのないほど残酷な経済危機だ。しかし、そんな地獄の中でも、私は

「無理をしない」
「分相応に生きる」
「きちんとした投資をする」
「借金をしない」

という変哲のない「常識」だけで生き残れると思っている。生き残る術(すべ)は結局のところ、奇をてらった秘密の手法ではなくて、ただ単に「常識」を選ぶことなのだと思っている。私は最初から常識を武器に選ぶ。

『熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史(チャールズ・P. キンドルバーガー)』

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