イノベーションを駆使できる側の人間が、それをできない人間を支配する構図に

イノベーションを駆使できる側の人間が、それをできない人間を支配する構図に

今の社会は体力や獰猛さに最適化された人間や組織が勝ち残るわけではない。社会は限りなく複雑化し、高度化し、ハイテク化している。その傾向は凄まじい勢いで進んでいる。今の社会に適応するというのは、複雑化した社会の仕組みを俯瞰して理解することができる能力を持ち、イノベーションが進む社会に完全に適応できることを指す。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

うまく生きていくためには、選択肢もまた重要になってくる

現代は多様化な価値観があり、考え方があり、ライフスタイルがあり、哲学がある。私たちはどれを選んでも構わない。

しかし、価値観の中には「生きやすくなる価値観」もあれば「時代遅れになってしまう価値観」もある。学ぶもの、目指すもの、習熟すべきものについても、学んだことによって生きやすくなるものもあれば、何の役にも立たないものもある。

うまく生きていくためには、選択肢もまた重要になってくるのである。

哲学者ハーバート・スペンサーが提唱した「サバイバル・オブ・ザ・フィッテスト(survival of the fittest)」というのは日本語では「適者生存」という言葉に訳されている。

この考え方は後のチャールズ・ダーウィンの生物観察によって自然界の掟であることが確認され、まさにこの「適者生存」が進化論を指し示す言葉となった。

ダーウィンはこの自然界の掟を「最も環境に適した形質をもつ個体が生存の機会を保障される」と表現した。さらにこれを噛み砕いたのがこの言葉だ。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」

最も凶暴で、最も力があり、最も獰猛な性格を持った生物が最後まで生き残るわけではない。生態系(環境)に合わせて、どんどん自分を変化させることができた種が生き残れるのだ。

これは当然ながら人間にも当てはめられる。人間はすでに自然環境よりも社会環境に大きな影響を受けるようになっており、人間の敵は社会であり他人と化している。

人間もまた「より最適に社会に適合できた者」が、生存の機会を保障される世界に生きているのである。

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限りなく複雑化し、高度化し、ハイテク化している

今の社会は体力や獰猛さに最適化された人間や組織が勝ち残るわけではない。社会は限りなく複雑化し、高度化し、ハイテク化している。その傾向は凄まじい勢いで進んでいる。

今の社会に適応するというのは、複雑化した社会の仕組みを俯瞰して理解することができる能力を持ち、イノベーションが進む社会に完全に適応できることを指す。

動物を狩る能力や動物と戦って勝てる能力などは、あれば便利かもしれないが社会的にはどうでもいい。社会はそれを求めていない。

それよりも超高度化・情報化する社会に適応して、そこで能力を発揮できる人間を求めている。実際問題として、現代人はハイテク化という生態系(環境)の中で生存競争を繰り広げている社会になったと言っても過言ではない。

ハイテク化に適応するというのは、どういうことか。

それは、毎年のように爆発的に高性能化するコンピュータを縦横無尽に使いこなすことができる能力、ネットワーク化された情報を引き出すことができる能力、次々と生まれるインターネット内のサービスの重要性や目的を理解し、それにいち早く馴染むことができる能力を指す。

そして、これらを通して自らを高みに引き上げ、最終的にはイノベーションを通して経済的にも恩恵を得られるようにするというところまでが「現代社会に適応する」という真の意味なのだ。

世の中は「機械化、大量生産、自動化」という産業革命を終えて、いよいよ次の産業革命に向かおうとしている。

5Gによってインターネットはより重要度を増す。クラウド化が進み、人工知能がどんどん取り入れられ、ドローンや自動運転が進み、フィンテックが社会を変え、仮想現実のような新しいものも社会に組み込まれる。新しい社会が生まれるのだ。

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生き残れるのはイノベーションに深く馴染んだ人間

人間は機械化によって社会を変革し、大量生産によって多くの人間が機械化を享受できるようになり、やがて大量生産された機械によって様々な業務を自動化できるようになった。

次は機械そのものが人間の知的分野の部分に進出し、人間に変わって判断し、実行し、物事を解決していくようになっていく。それを超高速に正確に成し遂げる。

具体的には人工知能やロボットがそれを実行するのだが、この2つはインターネットに接続されて、そこに広がる膨大なデータを解析し、学習することで成り立っている。

すなわち、インターネット内の莫大なデータを深く学習することによって「判断・実行・解決」を実現する。

莫大なデータのことを「ビッグデータ」と呼び、深い学習のことを「ディープラーニング」と言うが、ビッグデータを人工知能が解析してコンピュータが自律的に学習して行動や結果を導き出すのがディープラーニングだ。

こうした新たなイノベーションが次世代の中心となるのだから、次の時代に適応して生き残れるのはイノベーションに深く馴染んだ人間であり、それを縦横無尽に使いこなせる人間であるのは明白だ。

人工知能やロボットはイノベーションの向こう側から人間を支配してくる。それはすなわち、イノベーションの世界を作り出す側、そしてイノベーションを駆使できる側の人間が、それをできない人間を支配するということなのだ。

つまり、これからの「適者生存」はインターネットという世界で自分の立場を確保できるか否かにかかっている。社会の中心はインターネットそのものとなり、インターネットは産業のすべてを取り込んで支配する。

この社会変化の中で生き残るためには、インターネットの中で主導権が持てるかどうかにかかっている。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」という言葉をもう一度思い出して欲しい。

社会がインターネットによる高度化に向かっているのだから、生き残るのは「インターネットに最適化できた者」となるのは確実なのだ。

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イノベーションの根幹部分を理解していない人間も落伍者に

2010年頃から「デジタルデバイド」という言葉が言われるようになっている。デジタルデバイドとは情報格差のことを指すのだが、その意味は「情報技術を使いこなせる者と使いこなせない者の間に格差が生じること」を指す。

現代社会では、パソコンもスマートフォンも使えない高齢者や貧困家庭の子供が社会的に不利になっていき、高度情報化社会で落伍してしまう現象が見られる。

それもそうだ。社会に出たら、その時点でパソコンもスマートフォンも使いこなせ、あらゆる業務アプリケーションを短期間で習熟できる能力が求められるからだ。

社会人になってもパソコンが理解できず、まともに使いこなせず、文字も打てないというのであれば、その時点で仕事から排除されても仕方がない。情報格差はキャリアを制限してしまう。

しかし、これからくる新しい時代では、高齢者や貧困家庭の子供どころではなく、きちんとイノベーションの根幹部分を理解していない人間も落伍者になる危険がある。

超高度化していく社会の中では、単にパソコンやスマートフォンが高度に扱えるだけでなく、イノベーションの意味を理解し、そこに付加価値を付けられる能力を持つことが求められるからだ。

付加価値というのは、たとえばデータベースの技術であったり、プログラムの技術であったり、ネットワークの構築であったりするだけでなく、ありとあらゆる最先端を理解して使いこなす技術も含まれる。

社会が高度化すればするほど、そこに向かえる人と脱落する人が明確になっていき、デジタルデバイドは深刻化する。

複雑化する社会に「適者生存」するためには、より意識的かつ戦略的に自らを引き上げなければならない。

まだ間に合う。新しいイノベーションはこれから始まるからだ。しかし、あと5年も無為に過ごしたらもう間に合わない。取り残されて失職し、時代遅れと化し、格差のどん底に落ち、凋落する一方と化す。

高度化・複雑化する社会でも適者生存のルールが当てはまる。これからは、高度にハイテク化していく社会に自分をどれだけ適応させられるかが生き残りの鍵になる。

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの(松尾 豊)』

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