新型コロナウイルスの問題で世界的に株式が下落している中、どう動くか?

新型コロナウイルスの問題で世界的に株式が下落している中、どう動くか?

人の移動が制限されるということは、即ち経済活動が停滞するということでもある。新型コロナウイルスはすでにパンデミックになっているわけで、感染源となった中国の経済的ダメージは甚大なものになることが分かる。新型コロナウイルスの拡散はまだ抑え込めていないのだから、ダメージは日に日に深まっていくのは言うまでもない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

感染者も死者もうなぎ上りの新型コロナウイルス

中国の新型コロナウイルスの蔓延は、中国の初動措置の遅れで急激なパンデミックと化しており、感染者も死者もうなぎ上りに増えている。

すでに感染者は都合の悪い情報は何でも隠蔽・過小化する中国政府でも4500人超だと報告せざるを得なくなっており「今後も増える」ことを予告する事態へとなっている。

しかし、この4500人超という数字は専門家から見るとかなり低く見積もったものであることが指摘されている。

そもそも、検査キットも足りず、病院のキャパシティを超えて患者が来るのを追い返している状態である。中国共産党政権が仮にすべての情報をオープンにしたとしても、現場の状況からして、まともに感染者を数えられていない。

当然のことながら感染者の隔離もできていない。野放しだ。感染地区となった武漢は閉鎖されているが、閉鎖を聞きつけてすでに500万人が武漢を脱出したので閉鎖は意味がない。

そのため、感染者は今後も加速度的に増えていくことになる。

当初は「感染力は弱い」「新型コロナウイルスは緊急事態にあたらない」と中国に忖度していた世界保健機関(WHO)も、このままでは世界から馬鹿だと思われると気づいたのか、今頃になって慌てて「世界的なリスクは高い」と言い換えて誤魔化すようになった。

今さらWHOみたいな機関を期待する人はどこにもいないが、今回の醜態はあまりにも見苦しいものでもある。

中国はこの新型コロナウイルスに対しての対策本部を設置したのだが、この対策本部は中国共産党政権のトップである習近平が責任回避のために首相の李克強に問題を押しつけたものであって、まともに機能するかどうかは怪しい。

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感染源となった中国の経済的ダメージは甚大なものになる

その結果、中国はパンデミックによって人の移動が著しく制限されることになっている。湖北省は6000万人近い人口を抱えるのだが、この湖北省全体が移動制限された。

しかも北京でも患者が発生したために、市境を超えるすべてのバスの運行を停止し、地下鉄を乗るにも体温を測る措置を取って移動が不便になってしまっている。こうした措置が中国全土で行われようとしている。

一部の村や町では、住民が同時に道路を封鎖してよそ者が立ち入れないようにして自らを守ろうとうする動きも出てきている。武漢のように都市丸ごとの封鎖から、移動制限から、様々な場所での道路封鎖が相まって、広大な中国が新型コロナウイルスによって「分断」された。

さらに中国人は国外に出ることにも制限されるようになり、国外に出ても空港で追い返されるケースも出てきている。

日本はインバウンドだとか何とかで無条件に中国人を受け入れているのだが、フィリピンのような国は問答無用で武漢から来た中国人を送り返し、さらにビザの制限もして中国人が入れないように措置を行った。

台湾も武漢から来たことを隠蔽した患者に対しては罰金を科し、湖北省から来た観光客にも「早急に台湾を離れよ」と命じている。

これから新型コロナウイルスが中国全土で深刻化していくと、追い返される中国人もさらに増えていくことになるだろう。

人の移動が制限されるということは、即ち経済活動が停滞するということでもある。新型コロナウイルスはすでにパンデミックになっているわけで、感染源となった中国の経済的ダメージは甚大なものになることが分かる。

新型コロナウイルスの拡散はまだ抑え込めていないのだから、ダメージは日に日に深まっていくのは言うまでもない。

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長引けば長引くほど中国経済を追い込んでいく

今後、どれだけ新型コロナウイルスが中国で拡散していくのか、本当に封じ込めが成功するのか、効果的なワクチンはいつ開発されるのかで、経済的なダメージの深さはかなり違ってくる。

この問題は長引けば長引くほど中国経済を追い込んでいくことになる。

今のところ、ワクチンも特効薬もない。今、世界中の製薬会社や研究施設が新型コロナウイルスのワクチンの開発を進めているのだが、きちんとしたワクチンが登場するのは少なくとも半年後になるのではないかと予測されている。

ということは、少なくとも半年はこの問題を引きずるということを意味する。

中国はアメリカとの貿易戦争で経済成長が低下し、インフラ刺激策も効かなくなり、その上に知的財産の強奪や政治工作などが世界的に警戒されるようになっているので、今までのように「盗んで成長する」という戦略が採れなくなっている。

そんなところに新型コロナウイルスの問題が直撃したわけで、最長でも半年は混乱に見舞われることになる。

世界の株式市場はこの状況で大きく調整しているのだが、他の地域が持ち直しても新型コロナウイルスの震源地である中国の株式市場はかなり長きに渡って停滞していく可能性があることが考えられる。

当たり前だが、中国株など買う余地はない。アメリカは明確に中国を弱体化させようとしているし、中国はもはや経済成長が難しい局面に入ってきている。その上に、こうした問題で足をすくわれているのだから、短期的にも長期的にも投資する場ではないのである。

そもそも、世界中から知的財産を不正な手段で盗んで成長してきた国に投資するということ自体が間違っている。いくら中国の株式市場が暴落したとしても、それは長期的に見ると決して買い場ではない。

中国が買い場になるとしたら、中国共産党政権が崩壊して中国が真に民主国家になった時だろうが、今はまだそんな兆しもない。

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とは言っても、ワクチンはそのうちに開発される

新型コロナウイルスの問題はワクチンが開発されるまでの期間、恐らく最長で半年の間は引きずるはずだが、もちろん中国経済の停滞は中国だけの問題ではなく、全世界に波及していく。

2020年1月27日の株式市場は全世界が大幅な下落に見舞われているのは、こうした現状を受けた動きでもある。

アメリカでも、中国と関係が深いIT企業やアパレル企業が売られている。アップルなどは中国に大規模な製造拠点があるのだが、中国全土が混乱に見舞われるとアップルの製造拠点のスケジュールにも大きな悪影響を及ぼす。

インテル、エヌヴィディアも中国と関係が深いということで合わせて売られている。当たり前だが、航空会社や旅行関連銘柄も売り飛ばされている。

もちろん、すべてが売り飛ばされているわけではない。製薬企業はワクチン製造でチャンスがあるのではないかとして買われている。アッヴィやギリアドやバイオジェンは逆行高である。

しかし、「中国の混乱によってグローバル経済は停滞する」という方向なのだから、全体を見ると目先はかなり冴えない動きになることは想定できる。一部は上がるが全体は下がるというのが常識的な見方だ。

とは言っても、ワクチンはそのうちに開発される。

ワクチンが開発されれば問題は劇的に収束していくのは分かっているので、新型コロナウイルスで発生している株価の下落は売られすぎの個別銘柄を拾うチャンスになるということでもある。

中国の株式はワクチンが開発されようが何だろうが買う理由はないが、アメリカの株式はこの新型コロナウイルスの問題で株式が暴落すればするほど買い場が発生する。状況を見ながら虎視眈々と買い場を狙っている投資家はかなりいるはずだ。

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