2020年代に入って日本が良くなると思ったら甘い。生活は逆にもっとひどくなる

2020年代に入って日本が良くなると思ったら甘い。生活は逆にもっとひどくなる

ほとんどの日本人は、今よりも貧しくなり、生活レベルが落ち、中には生活困窮で追い詰められる人も増大する。生活保護受給者は高止まりし、次の不況でさらに増える。バブル崩壊以降、この流れは一度たりとも変わったことがない。良くなるどころか、まるで真綿で首を絞められるように、どんどん追い詰められている。貧困は、すぐ隣にやってきている。2020年代になってそれは反転するのではなく加速するのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

日本の格差問題は「これからが本番」になっていく

グローバル化は高賃金の人間をリストラして低賃金の人間を雇う動きだった。ネットワーク化は仕事を極限まで効率化させて労働者を削減する動きだった。

2020年代もこの流れは止まらない。

なぜか。これからやってくるAI(人工知能)による業務のさらなる自動化、工場のロボット化や製造の3D化による人員削減、ドローンや自動運転による流通革命、フィンテックによる銀行の決済の効率化などのイノベーションで、労働者を削減していく流れが加速するからだ。

2020年代はさらにサラリーマンという立場が不安定化する。今まで、サラリーマンというのは安定した職業であると言われてきたが、もう昔話だ。

企業は2020年代からもっと過激に突き進むイノベーションでより高度な効率化を成し遂げ、10人でしていた仕事を5人で、5人でしていた仕事を1人にして、残りは会社から放り出す。そういう社会になるのだ。

日本ではバブル崩壊とグローバル化が重なって1990年代から急激に社会が変わっていった。この変化の直撃を受けたのは最初は若年層だった。正社員の職が見つからず、非正規雇用という「使い捨て」で雇われるようになったからだ。

しかし、その非正規雇用者ですらも職を失っていくのが2020年代の社会であると考えてもいい。

経済産業研究所の研究員である岩本晃一氏も、ダイヤモンド・オンライン紙の中で『非正規雇用140万人が7年後に職を失う、日本の格差拡大はこれからだ』と述べている。

はっきり言おう。日本の格差問題は「これからが本番」なのである。

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人材使い捨てが中高年にまで及ぶようになった

このイノベーションの進化は若年層よりも、むしろ中高年の方に大きな影響がいく可能性が高い。

トヨタ自動車の豊田章男社長も「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べているし、日本経済団体連合会の中西宏明会長もまた「終身雇用をこれ以上維持するのは無理」という趣旨の発言をしている。

今の40代以上の中高年は年功序列を前提に雇い入れた人材なので、コストがかかっている。だから、会社から見れば賃金の高くITリテラシーが低い中高年を辞めさせるのが効果的なコスト削減となる。

若年層から始まった「人材使い捨て」は、いよいよ2020年代には本格的に中高年にまで及ぶようになっていくので、国民の8割がサラリーマンである日本社会には衝撃的な変化であると言える。

この社会の変化の中で中高年がいったんリストラされたら、転職しても次の企業では間違いなく給料は下がる。

人を雇うよりもイノベーションの進化を取り入れた方がコスト的にも合理的な判断になるので、リストラされた中高年を正社員で雇いたいと思う会社は少ないし、あったとしても人件費を抑えたいわけだから高給になるわけがない。

もちろん、一部のエリート・サラリーマンのように、ヘッドハンティングされて給料が上がっていくケースもある。しかし普通のサラリーマンの場合は、基本的にはリストラ・転職で給料が激減する確率の方が高い。

そして、次は正社員という安定的な身分になれないケースも多いので、人生設計はとても不安定なものになっていく。大企業に就職してもまったく安泰ではないのは、大企業が容赦なくリストラしているのを見ても分かるはずだ。

社会構造が変わり、日本人はもう会社に頼らないで生きていかなければならない時代に突入している。会社に頼れず、国にも頼れない。何にも頼れないのであれば、自分自身で何とかするしかないが、それは容易なことではない。

だから、2020年代は会社に勤めているほとんどの人が、じり貧になる。

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絶望と貧困が、すぐ隣にやってきている

2020年代は日本にとって不穏な時代になる。日本人の給料は下がり続け、日本人の資産は減り続けていく。給料も減るのだから貯蓄額も減る。高齢者が増え、その高齢者が貯蓄を切り崩すのだから、ここでも貯蓄率も減る。

日本は少子高齢化が加速しているので、一部のブランド地区をのぞけば多くが不動産の価値は下がっていく。にも関わらず住宅の供給は増えているので、ますます資産価値は下振れしていく。

ほとんどの日本人は、今よりも貧しくなり、生活レベルが落ち、中には生活困窮で追い詰められる人も増大する。生活保護受給者は高止まりし、次の不況でさらに増える。

バブル崩壊以降、この流れは一度たりとも変わったことがない。良くなるどころか、まるで真綿で首を絞められるように、どんどん追い詰められている。貧困は、すぐ隣にやってきている。2020年代になってそれは反転するのではなく加速するのである。

どんな有能な政治家が登場しても、2020年代における日本の浮上はなかなか厳しいものがある。2019年の人口動態統計の年間推計では出生数は86万人に急減し、初の90万人割れとなっている。

そんな中では内需は縮小していく一方である。経済成長は数十年は見られないかもしれない。

現在、日本で最も人口層が多いのは高齢者であることを考えなければならない。その高齢者の多くは必死で消費を抑えている。

彼らが消費を抑えている理由は明白だ。年金などタカが知れている。老いて稼げないのであれば、貯金をひたすら守るしかない。使えば貯金が確実に減る。いったん貯金を失って、それでも長い老齢の人生が続くのなら残りの人生は惨めになる。

そうであれば、高齢者にとって自分の身を自分で守るというのは「消費を極限まで抑えて、ひたすら貯金を守る」しかないのである。

人間は自分の都合の良い年齢で死ぬわけではないので、完全に高齢化した後に貯金ゼロになってしまう恐怖は相当なものがあるはずだ。高齢者の孤独な防衛は、2020年代はよりキツいものになるだろう。

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絶望的なまでに生きにくい世の中になっている

すでに若者が車を買わなくなったとか旅行をしなくなったと言われて久しいが、それも無駄金を使いたくないという防衛意識が働いているからでもある。2020年代もその流れがそのまま継続する。

若年層が結婚しない傾向もそうだ。仕事が不安定で賃金が低く、将来に夢も描けないので結婚はとても遠い。失業して相手に迷惑をかけたくないという遠慮もあるはずだ。結婚しないというのも一種の生活防衛なのだ。

中高年も同じだ。中高年も不安しかない未来のために消費を抑え、貯蓄を減らさないようにしている。中高年は自分の面倒だけではなく、家族の面倒も見なければならないわけであり、そのためにも生活防衛に走らざるを得ない。

そう考えると、2020年代に入ると日本人の多くが精神的に追い詰められて、自分の面倒を自分で見るために「カネを使わない」ことになるのは必至である。

2020年代に日本の内需が増えていくというのは、相当な構造変化がないとあり得ないことであり、日本経済は目に見える形で萎んでいく。そして日本の内需が萎むと、日本企業もまた萎む。

日本企業が萎むとさらに就業環境はひどいものになっていき、リストラも恒常化していく。

2020年代になれば、「どこかの企業に勤めて、つつがなく生きる」というのは、もう安定した生き方でも何でもない。老後は国に面倒を見てもらうというのも成り立たない。ハシゴは外された。

次の時代には「なるようになる」では追い詰められる。絶望的なまでに生きにくい世の中になっているのだが、環境はますます苛烈になっていく。その中で、必死で生きなければならないのが私たちである。

イノベーションが世界を覆い尽くし、これからロボット化と人工知能が仕事を奪っていき、雇用が消えていく時代がすぐ目の前までやってきている。この中で、果たしてあなたは何を武器にして生きていくのだろう。

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