2020年代は間違いなく動画の時代になるが、ユーチューブ「一強」でいいのか?

2020年代は間違いなく動画の時代になるが、ユーチューブ「一強」でいいのか?

2010年代のSNSも、やはりテキストが主体であったのは確かだ、しかし、この頃になると必ずしもテキスト「だけ」がコンテンツの主流であったわけではない。回線が太くなるにつれて高解像度の写真も、そして動画も見られるようになっていた。SNSが爆発的に広がると同時に、ユーチューブなどの動画コンテンツもまた驚異的な成長を見せていたのだ。時代は、「読む」から「見る」へと時代が変化していったとも言える。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

インターネットはすでに「動画」がメインストリーム

全世界の若者たちは、個人個人がユーチューブ等のインフラで好きな分野で積極的に動画を配信をするようになって明らかに時代を変えた。この波は「5G」の時代になって、より普遍的なものになっていく。

インターネットはすでに「動画」がメインストリームであり、それは決定的な流れでもある。最終的にすべてのコンテンツは動画に収斂していく。

テキストのコンテンツはもちろん廃れることはない。ブログという形態も残る。しかし、人々はインターネットでブログを読むのではなく動画を見ることに主軸を移すので、テキスト主体のコンテンツはもうメインストリームになり得ない。

ここを明確に理解しておかないとならない。

時代は完全に変わったのだ。2020年以後、動画に進出できないインターネットの表現者は、多くが淘汰されていくことになる。

いまや動画サイトのトップに君臨して他者を寄せ付けないほどの力を持つユーチューブがインターネットを席捲している。

それだけでなく、ネットフリックスやフールーなどの企業が爆発的に成長し、さらにディズニーのような優良コンテンツを多く保有する企業が輝きを増し、アップルやアマゾンなどの超巨大企業も動画コンテンツの獲得に動いている。

それぞれのニュースサイトも次々と動画主体にサイトを作り替えているし、PornHubやxVideosのようなアダルト動画サイトや、liveleakのようなアンダーグラウンドに特化した動画サイトも莫大な固定ファンをそれぞれ抱えて成長している。

そしてグーグル検索でも、すでにテキスト主体のコンテンツよりも動画を検索画面のトップに出すようになっている。

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HTMLの時代。ブログの時代。SNSの時代

インターネットが出た当初、まだ回線が非常に遅かった。画像が使えたとしても解像度の低い画像を1ページに1枚か2枚を何とかダウンロードするだけで精一杯だった。だから、インターネットで重要だったのは文章(テキスト)だった。

1990年代後半から一部の人たちが「ホームページ」を立ち上げて、自らHTMLを書いたりホームページ作成ソフトを使ったりしていた。

しかし、HTMLをわざわざ覚えて自分のサイトを立ち上げるというのは、一般の人たちには敷居が高い作業で、誰もがそこに進出できるものではなかった。こうした流れを劇的に変えたのが「ブログ」というシステムだ。

ブログは、あらかじめ用意されているフォーマットがあって、ユーザーはテキストボックスに文章を書いてボタンを押すだけでよかった。

多くのプロバイダーがブログを無料で提供したので、インターネットは玉石混交の個人ブログが百花繚乱するようになっていった。同時に回線もどんどん速くなっていき、画像も大量に付けられるようになって、企業も続々と進出して今のインターネットの光景が2000年代に形作られた。

もちろん、コンテンツの王者は文章(テキスト)である。インターネットは「読む」ものだったのだ。

わざわざ自分のサイトを立ち上げるほど熱心でない人もいたが、そういった人たちは掲示板を利用して数行のコメントを書いて双方向のコミュニケーションに関心を寄せていた。

掲示板は素晴らしいシステムだったが、匿名で場が荒れることも多かった。人々はもっと安全に心地良く利用できる空間を求めたのだが、そこに現れたのがSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)だった。

SNSは登録制や実名制によって安全を確保し、知り合いをつなげ、コミュニケーションをオープンなものにもクローズドなものにもすることができた。2010年代はまさにSNSの時代であったと言っても過言ではない。

フェイスブックはこの時代の波に乗って、巨大企業へと成り上がっていった。

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次の時代は決定的に「動画」がインターネットを制する

2010年代のSNSも、やはりテキストが主体であったのは確かだ、しかし、この頃になると必ずしもテキスト「だけ」がコンテンツの主流であったわけではない。回線が太くなるにつれて高解像度の写真も、そして動画も見られるようになっていた。

SNSが爆発的に広がると同時に、ユーチューブなどの動画コンテンツもまた驚異的な成長を見せていたのだ。時代は、「読む」から「見る」へと時代が変化していったとも言える。

回線が太くなればなるほど、人々は「もっとリッチなコンテンツ」を求めるようになっていたのだ。コンテンツは、テキストから画像に、画像から動画へと、リッチなコンテンツに向かって突き進んでいるのは、人々はリッチなコンテンツが好きだからでもある。

リアルな社会で、人々が最も時間をかけるコンテンツは、書籍でもラジオでも音楽CDでもない。これらの媒体もそれぞれ生き残っているのだが王者ではない。王者は「テレビ」である。「動画」が人々の心を捉えている。

リアルな社会がそうであるのなら、インターネットもまたそうなるのは誰が考えても当然のことであると思うはずだ。だから、回線の問題が解消されるにしたがって、コンテンツの主流はテキストから「動画」に変わっていこうとしているのだ。

次世代通信規格の「5G」は、今の4Gとは比べものにならないほどの通信速度とトラフィックである。(フルインベスト:100倍の通信速度と1000倍のトラフィックを扱う5Gが社会を激変させる

そうであれば、次の時代は決定的に「動画」がインターネットを制することになるのは当然と言えば当然のことだ。動画は今よりもずっと高解像度化し、さらにVR(バーチャル・リアリティー)や、AR(拡張現実)なども進化して、動画の表現はより多彩になる。

そんな社会で、テキスト主体のコンテンツが今までのようにアクセスを集めると思うのはどうかしている。現実社会でも書籍が残っているのを見ても分かる通り、別に文章を読む人が消えていくわけではない。

しかし、コンテンツとして考えると、テキスト主体のサイトは脇に追いやられてしまうのは間違いない。

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圧倒的にユーチューブ「一強」であることへの懸念

ただ、動画の時代にも懸念事項はある。企業や個人がコンテンツとして大量の動画を上げるとするならば、世界的なレベルで見ると今の動画サイトは圧倒的にユーチューブ「一強」であると言える。

それに対して、「本当にこのままでいいのだろうか」「ユーチューブの対抗馬がなくてもいいのか」という懸念が一部の人たちの間にある。

ユーチューブは確かに凄まじいスケールのインフラによって成り立っている面もあって、新興企業がユーチューブと同じくらいの規模でサービスを始めるのはかなり難しいように思える。

そのため、ユーチューブが勝手に「利用規約」を自社の都合で変えても、使用者はそれに従わざるを得ない。最近も、ユーチューブが利用規約を以下のように変更したとしてユーチューバーに激震が走ったことがあった。

YouTubeが独自の裁量により、お客様への本サービスの提供がもはや採算に合わない事業となったと判断するに至った場合、YouTubeはお客様またはお客様のGoogleアカウントによる、本サービスの全部もしくは一部へのアクセスを解除できるものとします。

ユーチューブというサービスを運営するアルファベットは一民間企業であり、自社サービスの運用規約をいくらでも好きに変えることができる。自社に都合の悪い人間のアカウントを勝手に削除することもできる。削除されたら、ユーザーは他に行くところがない。

一企業が支配するというのは、そういうことなのだ。

そのため、動画の時代に入るのであれば一刻も早くユーチューブの対抗馬になるサービスが生まれないと「危ない」という懸念がある。

「5G」は多彩な動画サービスを生み出す根幹となっていき、独自の動画サービスも次々と立ち上がって固定ユーザーをつかんでいくと、いずれ今のユーチューブ「一強」の時代も終わる時がくるのではないかとも思うが不確実だ。

私としてはブロック・チェーン的な「支配者のいない仕組み」の方が主流になることを望んでいるのだが、それがうまく立ち上がるのかどうかは見えてこない。

そろそろ2019年が終わり、いよいよ2020年代がやってくる。次の10年は、そうした問題をはらみながらも、間違いなく動画がインターネットを支配する時代になっていく。

『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち(ロバート・キンセル)』

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