消費税の引き上げで人々は安物しか買わなくなり、やがて安物しか買えなくなる

消費税の引き上げで人々は安物しか買わなくなり、やがて安物しか買えなくなる

グローバル化によって雇用が不安定になり、実質賃金も上がらない中で消費税まで上げてしまったのだから、これで国民に「まともな日本企業の商品を買え」と言っても無駄な話でもある。政府が自ら国民を、粗悪品しか買えないように追い詰めているのだから、日本企業の商品は売れなくなり、値段だけはべらぼうに安い中国や韓国やその他途上国の粗悪品が出回る。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「安物しか買わない」ので、日本の社会が変化

2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられた。これは日が経つにつれて収入が少ない人をじわじわと追い込んでいくことになるだろう。消費は減退し、恐らく100円ショップの安物だとか、激安商品や粗悪商品ばかりが売れる時代になるはずだ。

人々は安物しか「買わない」ようになり、それが行き着くと、いずれは「安物しか買えない」ようになる。「安物しか買わない」と、「安物しか買えない」というのは、根本的にまったく違う意味を持つ。

「安物しか買わない」というのは、その気になれば高いものも買うことができるということである。つまり、選択肢がある。「安物しか買えない」というのは、高いものが買えず、選択肢がない状態である。

折しも内閣府は2019年10月7日に景気判断を「悪化」に下げているのだが、実質賃金が上がらないのに税金によって物価が上がっていけば、最初は「安物しか買わない」だった人も、いつしか、「安物しか買えない」に追い詰められるようになっていく。

すでに「安物しか買えない」状態の人も大勢いる。

日本人が「安物しか買わない」ので、日本の社会が変化して「安物しか買えない」ようになっていったと気付いている人は少ない。実際のところ、そのような動きになっているのを日本人はもっと早く気付くべきだった。

「安物しか買わない」は、日本の底辺で進行してしまい、今もまだそれが続いている途上にある。まだ「安物しか買わない」と言っている人も、それによって自分の収入が下がって、このままではいずれ安物しか買えない状態に堕ちていく。

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安物しか買わないと、安物しか買えなくなる理由

ここで言う安物とは、インターネットで出回っている本当の粗悪品まがいの安物や、素材を手抜きしたすぐ壊れるような商品の話をしている。そういった粗悪品まがいが、今の日本には溢れるほど溢れかえっている。

このような安物しか買わないと、安物しか買えなくなっていく理由は、いくつもあるが、その最も簡単なのは因果は以下のものだ。

(1)安物しか買わない。
(2)安物が作れる企業しか生き残れない。
(3)それは途上国の企業である。
(4)日本の企業はつぶれる。
(5)日本人が貧困化する。
(6)安物しか買えなくなる。

インターネット・ショップを制したと言えるアマゾンでも、しっかりした値段で売っている商品のすぐ隣には、商品説明すらも危うい安物が同列で並んでいる。(マネーボイス:なぜAmazonは中国製の粗悪品だらけになった?日本人を狙い撃ちする中国留学生マニュアル=鈴木傾城

こうしたすぐに壊れるような粗悪品だけしか売れなくなると、通常の値段で物を売っているまともな日本企業は苦境に落ちて資金繰りがどんどん難しくなる。これは当たり前のことだ。

そうなると、企業はリストラを余儀なくされるし、場合によっては倒産に追い込まれることになる。

そして、どうなるのか。日本企業が日本人を雇えなくなったら、当然、日本人は貧困化するのである。だから、最終的に安物しか買えなくなっていく。

もちろん、日本企業が全部つぶれるわけではない。生き残る企業もたくさんある。それなら安泰なのかというと、そうでもない。以下の動きも同時に起きるからだ。

(1)安物しか買わない。
(2)日本企業は安物を作るためにコストを削減する。
(3)コストの大半は人件費なので社員をリストラする。
(4)リストラが増えて日本人が貧しくなる。
(5)安物しか買えなくなる。

どのみち、日本人が安物しか買わなくなって、日本人が安物しか買えなくなるのは同じだ。

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「安い」がもたらすデメリット

私たちは、「安い」がもたらすメリットばかりを見ている。消費税が10%になって重税感が浮かび上がると、ますます粗悪品ばかりが出回ることになるはずだ。「安ければいいではないか」と人々は思う。

しかし、そのデメリットも気付くべきなのである。安物ばかり買っていると、自分たちが安物しか買えなくなるという現実を知らなければならない。これは、グローバル化した社会が生み出す光景なのである。

グローバル経済の本質は、世界規模のコスト削減による安売り競争にある。多国籍企業は、賃金の安い国、仕入れ値を買い叩ける国を目がけて進出し、競争相手よりも1円よりも安い商品を提供しようと腐心する。

どんな正当な価格付けでも他よりも少しでも高いと、それだけで買わない人が大勢になり、それが製品の質の低下を招く。「悪貨は良貨を駆逐する」のだ。しかし、人々はお構いなしだ。

グローバル経済が続く限り、この流れはとまることはない。安売りはグローバル化と超高度情報化によって、もっと激しく先鋭化した動きになっていく。

それはつまり先進国の人々の賃金を想像以上に削減する流れとなって襲いかかっていく。これは日本だけで起きている現象ではない。アメリカでも、ヨーロッパ各国でも起きている。

だから、「安いものしか買わない」から、「安いものしか買えない」という先進国の人たちの動きが起きているのである。先進国の人間が「安いものしか買えない、買わない」のだから、企業はますます世界中を見回して賃金の安い国を渡り歩いていく。

先進国の賃金引き下げ圧力は、さらに強まっていく……。

もっとも、格差の上の人たちは「超高額商品」を買うので、贅沢品は売れる。500円の時計が売れる同じ時代の同じ国で、5000万円の時計もまた売れる。その差は10万倍だが今の格差は10万倍どころではないところに到達している。

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結局は日本経済の衰退が加速する

グローバル経済とは先進国の一般国民の賃金を引き下げる。日本人はそれを認識するのが遅かった。気づいた頃には日本社会もがっちりとグローバル経済に組み込まれており、人々の賃金は不安定なものになっていった。

賃金が不安定になっていくと、人々は節約を気にするようになって「きちんとした商品」ではなく「とにかく1円でも安い商品」に群がるようになる。

本来であれば、こうしたことにならないように、政府は減税して人々の負担を軽くしなければならないのに、日本政府は消費税をひたすら上げ続けており、ついに10%にまで到達してしまった。

消費税は「消費したら罰金を取る」という税金なのだから、人々は自衛のために消費しないか、仕方がなく消費したとしても激安のものしか買わなくなるのは当然のことだ。

グローバル化によって雇用が不安定になり、実質賃金も上がらない中で消費税まで上げてしまったのだから、これで国民に「まともな日本企業の商品を買え」と言っても無駄な話でもある。

政府が自ら国民を、粗悪品しか買えないように追い詰めているのだから、日本企業の商品は売れなくなり、値段だけはべらぼうに安い中国や韓国やその他途上国の粗悪品が出回る。

日本企業が苦戦するのであれば、賃金は常に引き下げ圧力がかかる。実質賃金が上がらずに税金が上がれば結局は日本経済の衰退が加速するのに、政府はそれを強行してしまったのだから、もはやどうしようもない。

政府がそうであれば、私たちは自己防衛するしかないのである。(マネーボイス:消費税は上がり、給料は減った。みんなで貧困に落ちる日本人がやるべき30個の生活防衛策=鈴木傾城

そういう時代になったということだ。

『「10%消費税」が日本経済を破壊する(藤井聡)』。日本経済は、消費税10%でじわじわと悪影響を被ることになる。

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