今、「セクシーだ、クールだ」と言われているセクターや企業はもう終わり?

今、「セクシーだ、クールだ」と言われているセクターや企業はもう終わり?

「次に飛躍するセクター」「次に超巨大企業になる会社」がピンポイントで分かればいいのだが、パラダイムシフトは今の私たちが想像をもしないセクターや企業を押し上げるので、口で言うほど簡単に見分けられるわけではない。しかし、敢えて言うのであれば、今、「セクシーだ、クールだ」と言われている企業があるのなら、それは気をつけた方がいいかもしれない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

かつて石炭はセクシーなエネルギーだった

2019年9月22日。小泉進次郎環境相が国連で「脱炭素社会」を呼びかけている。

炭素は温室効果ガスを排出して地球温暖化への影響が深刻であることから、「脱炭素」こそがクリーンな社会を作り出すという意味で「脱炭素社会」は使われている。「セクシーに取り組む」と小泉進次郎環境相は中身のないことを言って話題になった。

ところで、こうした世の中の趨勢を見て「石炭会社に勤めよう」「石油会社に勤めよう」と思う学生はいないはずだ。しかし、1945年から1950年の日本では、石炭の会社が一流大学の学生の「セクシーな就職先」だったことは覚えておく必要がある。

この当時、石炭会社に勤めるというのは「学生たちの憧れ」だったのである。

石炭は日本のエネルギーを支える非常に重要なものであると思われていたからだ。その頃、石炭は「黒いダイヤモンド」とも言われていたほどだ。石炭は紛れもなくセクシーなエネルギーだったのだ。

しかし、一流大学の学生が殺到していたその時が石炭企業のピークで、あとは凋落の一歩を辿った。

同じ頃、衣料品に不足していた日本では繊維業界も空前の売上を誇り、多くの一流大学の学生が繊維業界に殺到した。

その頃「ガチャマン」という言葉が大流行したのだが、これは「織機をガチャンと織れば万のカネが儲かる」という意味から来た言葉だった。繊維業界は未来永劫に成長すると思われた就職先だったのだ。

しかし、一流大学の学生が殺到していたその頃が繊維企業のピークで、あとは凋落の一歩を辿った。

1950年代は映画産業も人々の羨望の的で一流大学の学生が殺到していたが、やがてテレビの時代が来ると映画産業は一気に衰退して斜陽産業となった。化学肥料の企業も、当時は最重要な分野だと言われて一流大学の学生が殺到していたが、やがて衰退して凋落していった。

一流大学の学生が殺到している業界は、だいたい以後は衰退していく。

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公務員や官僚には「死亡フラグ」が立っている

バブルの頃は、誰もが不動産産業に入りたがっていた。

日本各地の土地はどんどん値上がりし、北海道の原野ですらも買い手があった。東京の地価もどこもかしこも暴騰して、バブルが始まる1983年から見ると、東京23区内の商業地では631%もの暴騰ぶりだった。

この土地価格の暴騰と不動産業界の金満ぶりを見て、まったく関係ない業種で働いていた人間さえも宅地建物取引業法のような資格を取りに走ったほどだった。

ここでも一流大学の学生が不動産会社に殺到していたが、バブル崩壊に見舞われると、不動産業界は一気に凋落して、莫大な負債を抱える危険なセクターになっていった。

この頃は金融機関に就職するのも流行っていた。ばらまくようにカネを貸していたのが金融機関だったからだ。金融機関もまたバブルに踊っていた。証券会社にもカネが回り、株式市場を空前の高値に押し上げていた。

しかし、1990年以後のバブル崩壊で銀行や証券会社等の金融機関はどうなったのか。

不良債権を抱えて一気に身動きできなくなっていき、北海道拓殖銀行や山一証券の倒産へとつながっていく。以後、羽振りの良い業界に憧れてそこに潜り込んだ新卒の大学生たちは、残務処理に追われるだけの人生と化した。

ちなみに、現在は日本企業がグローバル化に乗り遅れて苦境に落ちている時代でもある。その現状を見て、大学生はどこを目指しているのか。それが「公務員」である。

公務員や官僚になれば安泰だという発想なのだろう。(マネーボイス:大学生の49.6%が「公務員になりたい」と回答、日本はあと数年で救いようのない国になる=鈴木傾城

そう考えると、公務員にはかなり強い「死亡フラグ」が立っているも同然だ。それほど遠くない将来、公務員という立場は衰退し、崩壊し、見るも無惨な立場になっていくということが予測できる。

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パラダイムシフトが来た瞬間に凋落

時代は必ず変わっていく。しかし、多くの人は「目の前の羽振りの良い業種」「時代の寵児になっているセクシーな会社」しか見えない。

次に何が来るのか予測も付かないので、とりあえず「現在セクシーなもの」に飛びつくしかないと考えている。打算的な人であればあるほどそうだ。

現在「素晴らしい」業界にいれば、「良いところにお勤めですね」と、まわりもちやほやしてくれて虚栄心もくすぐられる。しかし、現在が素晴らしいということは後は落ちるだけということでもある。

一瞬は良くても、あとはずっとじり貧が続く。そして、「この業界にいてはいけない」と気が付く頃には、もう抜け出せない年齢になっている。

歴史を振り返って気が付かなければならないことは2点ある。

1点は、一流大学の学生が殺到する産業は、そのときがピークで近いうちに凋落するというのがひとつだ。

一流企業の学生は、その時代で最も輝いている企業から熱烈歓迎されるので、大勢がそこに向かうのだが、それは単なる人気投票で「今は」ナンバーワンであるというだけなのだ。

「今は」そうであっても、「将来も」そうであるとは限らない。むしろ、頂点を極めたら、あとは落ちるだけしかないというのは小学生でも思いつく社会現象だ。それを、なぜか「優秀」な学生が思いつかない。

もう1点は、その業界に一流の頭脳が集まっていても、凋落を止めることができないという事実だ。これを指して、このような指摘をする人もいる。

「一流大学の優秀な人材が集まった業界は衰退するというが、それほど優秀な人材がいたのであれば、なぜ会社を躍進できなかったのか?」

「本当に優秀なら先を読んで手を打てたのに、それができないとすると、実のところ集まった人材は優秀ではなかったのではないのか?」

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GAFA以外の専業の企業が一気にシェアを取る?

彼らは優秀ではなかったのか。いや、そうではない。概ね、彼らは本当に優秀だったのだ。しかし、世の中の流れは、そんな優秀な人材ですらも押し流してしまうほど強烈で有無を言わせないものであるということだ。

世の中が変わった時、凋落するセクターはいくら優秀な人間が揃っていても「救えない」のである。

世の中は絶えず移り変わり、一世を風靡した企業もパラダイムシフトが来た瞬間に凋落していく。どんなに強大に見える企業でも同じだ。

そういう意味で、今は世界を制しているセクシーな企業群GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)も、いつまでも頂点に君臨するわけではない。(フルインベスト:「GAFA」という現代の神は、巨大になりすぎて今ひとつの転機に立っている

これらの企業は「追われる存在」となり、その巨大さや影響力の甚大さに不安に思われ、独占禁止法の網にかけられようとしつつある企業である。これから時代を攻めていくというよりも、今ある影響力を守る側に入った企業だ。

今はまだ信じられないかもしれないが、次のパラダイムシフトが起きた時、GAFAのビジネスは「時代遅れ」になって打ち捨てられてしまう可能性がある。

次のパラダイムシフトの芽はいろんなところに萌芽している。「5G」というインフラは多くのイノベーションを生み出すはずだ。

人工知能で突出した企業が出てくるかもしれない。ロボット化でも、ドローンでも、自動運転でも、3Dプリンターでも、ブロックチェーンでも、仮想現実でも、フィンテックでも、それぞれの分野でGAFA以外の専業の企業が一気にシェアを取って次の巨大企業になっていく可能性がある。

本当であれば、「次に飛躍するセクター」「次に超巨大企業になる会社」がピンポイントで分かればいいのだが、パラダイムシフトは今の私たちが想像をもしないセクターや企業を押し上げるので、口で言うほど簡単に見分けられるわけではない。

しかし、敢えて言うのであれば、今、「セクシーだ、クールだ」と言われている企業があるのなら、それは気をつけた方がいいかもしれない。頂点が近いか、すでに頂点に達していて、これ以上の伸びしろはないかもしれないからだ。

『GAFAに克つデジタルシフト 経営者のためのデジタル人材革命 (鉢嶺 登)』。デジタルシフトに取り組む企業数が増えてはいるが、実際に成功した例は少なく、失敗事例のほうが大半である。

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