着々と迫り来る人工知能の時代。ハイテクの知識武装で恩恵をフルに受けよ

着々と迫り来る人工知能の時代。ハイテクの知識武装で恩恵をフルに受けよ

これから私たちが見る「未来」は、今までとは次元の違うものになっていく。こうした時代には、裏側で何が起きているのかまったく知らないし関心のない人でも人工知能の恩恵を受けることができるが、より恩恵を受けるには私たち自身も知識武装が必要になる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

音声アシスタント機能

私はアップルのスマートフォンであるアイフォーン(iPhone)を使っているのだが、このアイフォーンには「Siri」という音声アシスタント機能があって、問いかければ的確な答えを出してくれる。

音声アシスタント機能は、単なるアルゴリズムに過ぎないと言う技術者もいる。

しかし、この音声アシスタント機能は単にプログラミングされた一定の動きだけをするのではなく、ユーザーの動きを学んで的確な答えを導き出すという能力がある点で「一種の人工知能」と言っても差し支えない。

この音声アシスタント機能だけを切り出したのが「スマートスピーカー」だ。グーグルもアマゾンもアップルもそれぞれ「スマートスピーカー」を出して、エンドユーザーに受け入れられつつある。

子供たちは生きている人に問いかけるようにスマートスピーカーに問いかけて、いろんな答えを手に入れている。まさに「人工知能」の萌芽がここにある。

これだけを見ると、人工知能の発達と言えば、私たちは音声アシスタント機能が進化したものであると思ってしまうのだが、実際のところ、人工知能はそういったところ「だけ」で使われるものではない。

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スマートフォン内部で複雑なプログラム

多くのスマートフォンメーカーがしのぎを削っている分野のひとつに「写真」がある。「誰でも簡単に美しい写真を撮れる」というのは大きな訴求力がある。そのため、どの企業もカメラ機能の向上に全身全力で立ち向かっている。

どこよりも美しい写真が撮れるスマートフォンが、最も賞賛されて売上に向上するスマートフォンになる。アップルもスマートフォンの機能で最も力を入れているのだがこの「写真」の分野である。

実際、アップルのスマートフォンは新機種が出れば出るほど、撮れる写真の美しさが向上している。すでにスマートフォンは、そこらのコンデジで撮った写真以上のクオリティで写真が撮れるようになっていると言っても過言ではない。

実はこのスマートフォンが撮る写真は、同じ風景を撮ってもそれぞれのメーカーで色合いや雰囲気がまったく違うことが分かっている。

なぜなら、スマートフォンの写真は「レンズが取り込んでイメージセンサーに映った被写体をそのまま記録している」のではないからだ。映った被写体を、スマートフォンは、過去の莫大な写真から導き出された最も美しく見える色彩を「演算」で導き出して着色している。

被写体をいかに美しく見せるのか。それが、それぞれのメーカーやそれぞれの機種によって「味付け」が違っており、それによって色合いや雰囲気が違ったものになっていく。

さらに、最近のスマートフォンは演算で背景のぼけを実現するようになっているのだが、この背景の切り抜きに関してもスマートフォン内部で複雑なプログラムが走って結果を出している。

アップルではこの部分を「A12 Bionic」という特別な自社製のチップによって実現している。このチップこそがアップルの写真を向上させるための心臓だった。言ってみれば、このチップがアップルの「人工知能」であると言える。

映っている被写体を美しく表現するために、その裏側で莫大なデータの蓄積から最適な色合いが選択されて演算処理される。この「判断」と「処理」に人工知能が効率的に使われていき、写真を進化させる。

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ナイトサイト(Night Sight)

グーグルのスマートフォンであるグーグル・ピクセル(Google Pixel)は、人工知能による写真の質の向上を前面に押し出したスマートフォンだ。

このスマートフォンの特徴は、暗所が苦手だったはずのスマートフォンにもかかわらず、ナイトサイト(Night Sight)というモードでは、暗所が驚くほど美しく撮れるようになっているというものだった。

通常、暗所を明るく撮るためにはイメージセンサーに多くの光を送り込まなければならないので大口径のレンズが必要になる。しかし、スマートフォンは大きさが限られているので、一眼レフのように大型のレンズを埋め込むことが出来ない。

そのため、スマートフォンは永遠に「夜が弱いカメラ」である宿命だったはずなのだが、グーグルはそれを人工知能と機械学習によって克服してしまった。

シャッターを一回押すと複数の写真が内部的に撮られ、それを元にして人工知能と機械学習で最も最適な色を再現してしまう。

そのため、出来上がってくる写真は、実際に目で見えているものではなく、人工知能が最上で最適だと認識して作り上げた「絵」になっている。現実(リアル)を写しているというよりも、リアルに見えるように構築された「絵」なのである。

人工知能はイメージセンサーに捉えられた不完全・不明瞭な被写体を、過去の莫大なデータを解析して最も最適に見える色を見つけてリアルを構築する。すでにそんな時代になっている。

こうした写真を補正する人工知能がより進化していくと、私たちはスマートフォンひとつで「美しすぎる写真」を大量に生み出すことができるようになっていく。その裏側に、私たちが「何が美しいか」を知り尽くした人工知能の存在がある。

美しくない色合いを、私たち好みの美しい色合いに変えてくれる。さらにブレを修正してくれて、ノイズを軽減してくれて、暗所を明るくしてくれる。こんなところでも私たちは人工知能の恩恵を受ける。

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知識を高度化しておく必要がある

写真に関して言えば、こうした人工知能はクリエイターの世界で絶大な支持を得ているアドビシステムズも果敢に取り入れている。アドビの人工知能は「Adobe Sensei」という名前で呼ばれている。

今後は画像の主要な部分を一瞬で切り抜く機能だとか、映っている写真に関連する素材をピックアップしたりするとか、一枚の写真なのに遠近感を保ったままドローンで撮ったかのように近づいたり離れたりできるような動画を作れたりするとか、様々な部分で人工知能が使われるようになる。

人工知能は「何でもできる・何でも知っている汎用型の人工知能」が生まれる前に、アップルの「A12 Bionic」やグーグルの「Night Sight」やアドビの人工知能「Adobe Sensei」のように、専用・専門型の人工知能が進化するのが先だというのが分かる。

写真ひとつに関しても、撮る部分から加工する部分まで、それぞれが「違う人工知能」が取り入れられて進化していく。

今後、動画の部分でも、音楽・音声の部分でも、あるいはビジネスの特定の分野でも、医療の分野でも、ありとあらゆるところで人工知能が取り入れられて進化を加速していく。

人工知能の元になっているのは莫大なデータを解析して、そこから最適な解を導き出すことなのだが、この莫大なデータの集積には通信のイノベーションである「5G」が密接に関わっていくことになる。

これから私たちが見る「未来」は、今までとは次元の違うものになっていくという片鱗をここから感じ取ることができるはずだ。

こうした時代には、裏側で何が起きているのかまったく知らないし関心のない人でも人工知能の恩恵を受けることができる。

しかし、より大きな恩恵を受けるためには「何が起きているのか」を理解するために、私たち自身も高度情報化社会に合わせて知識を高度化しておく必要がある。今後の社会を生きるために、ハイテクの知識武装は必須なのだ。(written by 鈴木傾城)

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