積み上げられないことに時間をかけていると、いずれ時間切れを宣告される

積み上げられないことに時間をかけていると、いずれ時間切れを宣告される

人生は短く、やり直しがきかないので、「積み上げる」ことができるかどうかは意外に生きる上での重要なポイントになる。毎月毎月ゼロからのスタートを強いられるよりも、過去の生き方や仕事が、きちんと現在に評価や信用に「積み上げられる」方が有利に決まっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

非正規雇用が増えているというのは、「企業はもう非正規雇用で事業が回るようになっている」ということを意味している。

インターネットによる効率化と合理化によって企業はコストが秒単位で読めるようになり、それによって雇用の調整もできるようになった。だから、雇用も月単位で増やすか減らすかを決められる。

仕事や売上が多い時は雇用を増やし、仕事や売上が少ない時は雇用を減らす。雇用者が社員であれば容易にリストラできないが、非正規雇用であればいつでも雇い止めすることができる。

そうなると、雇用が安定しない労働者はいったん仕事がなくなれば雇ってもらえない状況が続き、安い給料でも甘んじて受け入れるしかなくなる。それがワーキングプアを生み出す。

非正規雇用の最大の問題点は、その月の仕事は月末に精算されて、その時点で評価も成果も消えてしまうことだ。つまり、仕事において評価も信用も成果も「積み上げる」ことができない。昇級もない。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

「積み上げられる」方が有利

非正規雇用や派遣で働く人々の問題点は、今までやってきた仕事が次の派遣先で生かせるかどうか分からない点にある。派遣でも、自動車の組み立て現場を1年やっていれば仕事は相当な手際になっているはずだ。

しかし、その人は次にレストランの皿洗いの派遣に回されるかもしれない。あるいは解体現場の仕事かもしれない。そうなれば、自動車の組み立てとはまったく違う分野であり、また「新人」として扱われる。

短期間で仕事を辞めて、無計画に違う分野に転職してしまう人も同じだ。こうした状況は、仕事や経験やキャリアに「積み上げ」がない状態である。だから、非正規雇用や派遣、あるいは無計画な転職は先がないのである。

人生は短く、やり直しがきかないので、「積み上げる」ことができるかどうかは意外に生きる上での重要なポイントになる。

毎月毎月ゼロからのスタートを強いられるよりも、過去の生き方や仕事が、きちんと現在に評価や信用に「積み上げられる」方が有利に決まっている。

(1)生き方が首尾一貫していること。
(2)経験が「積み上げられる」こと。
(3)キャリアが「積み上げられる」こと。

非正規雇用者や派遣労働者や無計画な転職者はそれができないことに問題点がある。キャリアも経験も頻繁にリセットされるので、信用も成果も「積み上げ」ができない。だから生き方に首尾一貫性を持つことさえもできない。

仕事に関しては永遠に初心者であることを強いられて、這い上がれない仕組みにハマる。こんな状況をどんなに長く続けても追い詰められるだけだ。

生き方に軸を持てず、経験や仕事を「積み上げ」できないというのは本人にとっても社会にとっても不幸なことである。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

無駄がなくなれば生きやすくなる

別に首尾一貫していなくても、積み上げる仕事がなくても、生きていけることは生きていける。現に、行き当たりばったりで生きている人もたくさんいる。

若いうちは試行錯誤も必要で、いろんなことを試すのも重要だ。しかし早くから自分の適性や才能を見極めて、一貫した方向性があれば試行錯誤が短くて済む。

自分の人生の目的が定まり、一貫した方向性があれば、自然とやっていることに無駄がなくなるのだから、生きやすくなるのは当然のことだ。

人生の早いうちから一貫した方向性が決まれば幸運だ。なぜなら、やることがすべて「積み上がる」からである。

この「積み上がる」というのが馬鹿にならない。

ある時は建設現場のとび職をやって、ある時は工場の単純作業をやって、ある時はトラックの運転手をやって、ある時は飛び込みの営業マンをやっている人がいるとする。非正規雇用では珍しくない経歴だ。

この人の経歴は多彩かもしれない。しかし、そこに一貫性も方向性もないので、多彩であることが意味を為していない。

前職の経験で得たものがあるかもしれないが、あまりにも関連性がないので経験が無駄になる可能性の方が高い。つまり、「積み上がり」がない。

この人とは別に、ある人はプログラマーをやって、あるときはシステムエンジニアをやって、あるときはサーバー管理をやって、あるときはIT専門の講師をやっていたとする。

この人も違う職業を渡り歩いているのかもしれないが、そこには一貫してIT系という筋が通っている。

この人の仕事の経験はすべて現在に活かすことができているはずだと推測できる。人生に方向性があるので経験が無駄にならない可能性が高い。つまり「積み上がり」がある。

方向性が一貫していれば、このように経験を積み上げることが可能となる。経験が積み上がり、業界を俯瞰することができるようになり、技能が洗練される。

それによって、当然のことながら評価も上がり、信用も付く。一貫した方向性があれば、過去を現在に「積み上げる」ことができるようになる。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

「積み上がる仕事」で成功する

意識的にも無意識にも職種と生き方に軸がある人は「積み上がる仕事」をしている。こうした人は、行き当たりばったりで生きている人よりも、はるかに成功する確率が高い。

「積み上がる仕事」というのは、過去にやった仕事に対して、その時に生み出した技能・製品・サービス・土台・信頼が、現在の自分に利益をもたらすものを言う。

成功している不動産投資家は、過去に買った不動産で収益を得て、さらにその収益で別の不動産を買ってそこでも収益を得るというシステムを作り上げている。つまり、「積み上がる仕事」をしている。

成功している株式投資家も、過去に買った株式でキャピタルゲインもインカムゲインも得て、さらにインカムゲインで新しい株式を買って資産を膨らませる。やはり、「積み上がる仕事」をしている。

成功している事業家は、過去に作った製品で収益を得ながら、新しい製品を生み出して、そこでもまた収益を得る。これも、「積み上がる仕事」である。

彼らは、非正規雇用者のように時間と労働力を切り売りして終わりではない。「積み上げ」がきちんとしている。その「積み上げる仕事」が経験や信用を生み、結果的に経済的な余剰や内部留保をどんどん増やしていけるようになる。

逆に言えば、「積み上げる仕事」ができないと、余剰や内部留保を増やすことはできない。ここが、弱肉強食の人生を生き延びることができるかどうかの分かれ目になる。

(1)生き方が首尾一貫していること。
(2)経験が「積み上げられる」こと。
(3)キャリアが「積み上げられる」こと。

この3点がきちんと自分の人生に織り込まれているかどうか、充分に考える必要がある。それも早急にだ。積み上げられないことに時間をかけていると、いずれ時間切れを宣告される。物事を途切れさせるというのは、往々にして悪い選択肢となる。(written by 鈴木傾城)

このサイトは鈴木傾城が運営し、絶えず文章の修正・加筆・見直しをしています。ダークネスを他サイトへ無断転載する行為は固くお断りします。この記事の有料転載、もしくは記事のテーマに対する原稿依頼、その他の相談等はこちらにメールを下さい。


鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

格差カテゴリの最新記事