『オヨ・ルームズ』という黒船が旧態依然とした不動産ビジネスを変えるか?

『オヨ・ルームズ』という黒船が旧態依然とした不動産ビジネスを変えるか?

今後、日本は人口が縮小していくので不動産価格はよほどのロケーションでないと上がりにくいし、地方によっては上がるどころかどんどん下がっていく。場所によっては無価値になる不動産もある。

無価値というのは、文字通り「ゼロ」になるということだ。家の持ち主が「タダでもいいから手放したい」と思うのである。日本の人口は地方から消えていく。そのため、地方の土地からどんどん無価値に収斂していく。

そして、この人口減の波は大都市にも押し寄せて、都会でも「価値のある場所」と「価値のない場所」へと二極分化していくことになる。東京都も例外ではない。日本はそのような方向に突き進んでいる。

そのため「家を所有して住むか」「家を賃貸して住むか」という選択肢があった場合、一般的な話をすれば家を賃貸した方がメリットがある。

不動産が資産として役に立たなくなり、限りなく価値が下がっていくのであれば、住む家を借りてライフスタイルに合わせて借り換えた方が不動産という「余計なしがらみ」に縛られなくていい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

『オヨ・ルームズ』という黒船

しかし、日本は手軽にあちこち引っ越しするという環境になっていない。なぜなら、引っ越しをするたびに、家賃数ヶ月分・礼金・敷金・保険料・保証料・仲介手数料を支払わされ、家具等を揃えなければならないからだ。

審査も受けなければならないし、役所に行って住民票などを揃えなければならないし、不動産屋と何度も何度も打ち合わせをしたり手続きをしたり、大量の書類にハンコを押したりしなければならない。

引っ越してからも、電気・ガス・水道・インターネットの設置等、やることが山ほどある。このような状況では引っ越しは「ひと仕事」であり、思い立ってすぐにできるものではない。

私も結構な引っ越し魔で、同じところは4年以上は住んだことがないほど引っ越ししているのだが、引っ越しするたびにその手間にうんざりしてしまう。

日本の不動産業界の非効率さと旧態依然のビジネスは先進国とは思えない。「いつまで昭和を引きずるつもりなのか」とさえ腹立たしく思ってしまうほどだ。

しかし、最近はこの旧態依然の不動産業界に新しい波が押し寄せるようになっている。その筆頭にあるのが、インドからやってきた企業『オヨ・ルームズ(Oyo Rooms)』の提供するサービス「OYO LIFE」である。

この『オヨ・ルームズ』は、インド・マレーシア・中国・インドネシア・イギリス等で格安ホテルにオヨ・ルームズ独自の採点基準を満たすホテルに「OYO」ブランドを与えて、「OYO」基準のサービスを提供する形で始まっている。

価格もシーズンやロケーションや需給によって適正価格を算定して日々更新している。人工知能を駆使して即時に戦略的な価格を提供できる体制になっているのである。

創業者のリテシュ・アガルワルはこのスタイルで事業をどんどん拡大しており、いまや25歳にして世界2位のホテルグループにのし上がるという偉業を成し遂げている。驚異的と言ってもいいスピードである。

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「旅するように暮らす」

『オヨ・ルームズ』が、日本で提供を始めたのが「OYO LIFE」というサービスだ。『オヨ・ルームズ』にはソフトバンク率いる孫正義氏が資金を提供しているので、このサービスにはソフトバンクも絡んでいる。

この『オヨ・ルームズ』は何がいいのかというと、日本の賃貸の最大の欠点である「面倒くささ」をすべて廃していることだ。

それこそ、役所で住民票等の書類を揃えるとか不動産屋に行って自分の現住所や名前を何度も書かされるとか、あちこちにハンコを押すとか、そのようなものが「いっさいない」のだ。

さらに、家賃数ヶ月分・礼金・敷金・保険料・保証料・仲介手数料の支払いも要らない。スマートフォンひとつで手続きが完了し、その気になれば翌日から住み始めることができる。

これだけで「OYO LIFE」のサービスが革新的なことが分かるはずだ。さらに、素晴らしいのは「3日間無料で住める」ので、実際にこの3日間を試しに住んでみて本契約を3日後にすることができることだ。入ってから「しまった」というのがなくなる。

家具やインターネットもきちんと整備されていて、引っ越した翌日から普通に暮らすことができる。その代わり、通常の家賃よりも2万円から3万円ほど高くなるのだが、私のように「引っ越しばかりしている人」はそれで初期費用も手間も省けてメリットがある。

「同じところにずっといたくない人」「次の引っ越しが決まっている人」「単身赴任の人」もまた『オヨ・ルームズ』は役に立つ。

「旅するように暮らす」というのが「OYO LIFE」のコンセプトだが、そうしたライフスタイルを持っている人は、まさに待ち望んだサービスであると言える。

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日本が素早いのは規制することだけ

私が望んでいるのは、不動産業界が「OYO LIFE」を研究し、不動産業界の非効率さを改めて、どんどん効率化してくれることだ。日本はあまりにも非効率な慣習がまかり通っていて、それが日本の住みにくさを増長させている。

ハイテク業界やITの製品は進んでいても、社会が古い慣習を引きずっていてまるっきり成長していない。

スマートフォンの時代になっても日本は依然として折り畳みの携帯電話にこだわって致命的なまでに出遅れたし、キャッシュレスにしても日本は今頃になって大騒ぎしているのだが、キャッシュレスの対応はそれこそ3年前にしていなければならなかったことだ。

世界に何周も遅れてやっとキャッシュレスに手を出して、しかもそれがあまりにも中途半端で紙幣や小銭が今も中心になっている。日本が素早いのは規制することだけで、その規制ががんじがらめになって日本のイノベーションのスピードを削いでいる。

ウーバーのようなスマートフォン中心の配車サービスも、ライムのようなキックボードのサービスも、日本は規制・規制・規制でどんどん可能性の芽を摘んでいる。

日本の問題点は「新しいことを受け入れる」ことができず、古い慣習をいつまでも変えることができない体質を社会全体が持っていることなのである。

だから、不動産業界の非効率さを「OYO LIFE」が破壊し、それが一大潮流になって日本を変革してくれることを私は強く望んでいる。

インドの若き起業家が始めたサービスであることも私は気に入っている。グーグルのCEOも、マイクロソフトのCEOも、アドビのCEOもすでに「インド系」がトップに立っているのだが、インド人の優秀さは折り紙付きだ。

今後、インドは中国に代わって大きく飛躍する国家となる。人口も中国を抜いて世界最大になり、重要な国家となる。このインド人の優秀さによって日本が代わっていくというのは斬新な経験であるとも言える。(written by 鈴木傾城)

リテシュ・アガルワル。インド人の若き起業家。今後、インドは中国に代わって大きく飛躍する国家となる。人口も中国を抜いて世界最大になり、重要な国家となる。このインド人の優秀さによって日本が代わっていくというのは斬新な経験であるとも言える。

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