サブスクリプション方式。「所有」ではなく「利用」が主流になっていく世の中

サブスクリプション方式。「所有」ではなく「利用」が主流になっていく世の中

ソフトウェアの世界では「サブスクリプション方式」がひとつのスタイルになっている。「サブスクリプション」とは元々は「定期購読」という意味だが、今は「一定期間利用できる権利」という意味で使われている。

たとえば、アップル・ミュージックもサブスクリプション方式であるし、アマゾン・プライムもサブスクリプション方式だ。また、アドビのソフトウェアもサブスクリプション方式だし、マイクロソフトもオフィスにサブスクリプション方式を取り入れている。

こうしたサービスやソフトウェアとサブスクリプションの相性が良いのは、サービスやソフトウェアの中身がどんどん変わるからでもある。

何か新しい音楽や映画が追加されるたびに代金を払うよりも、定額料金でいくらでも音楽や映画が観られるという方式にした方が利用者も得だし、事業者もサービスを付与しやすい。

ソフトウェアもバージョンアップを繰り返してどんどん付加価値が追加されていくのだが、今まではバージョンアップするたびにユーザーは料金を徴収されていたのを、定額で利用できるようになったらいつでも期間中にバージョンアップすることができるようになる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

サブスクリプション方式への抵抗

かつてソフトウェアは海賊版が出回る問題があった。しかし、サブスクリプション方式によって海賊版の問題は劇的に解決した。

サブスクリプション方式によってソフトウェア提供企業はしっかりとユーザー管理をすることができるようになったのだ。海賊版はソフトウェアを立ち上げることすらもできなくなり、仮にハッキングでその部分を破られてもアップデート機能は一切使えない。

アドビは常に海賊版に悩まされてきた企業だったが、全面的にサブスクリプション方式に切り替わることによって海賊版問題を一挙に解決し、以後は空前の利益を上げるようになっていった。

そういう意味で、「サブスクリプション方式」はサービスやソフトウェアと非常に相性が良い。

ただ、サブスクリプション方式に抵抗感を持つ人も大勢いるのも事実だ。いったい、どこに抵抗感があるのか。それは以下の点に集約されていると言っても過言ではない。

「モノが欲しいのにサブスクリプション方式だといくらカネを払っても自分のモノにならない」

サブスクリプション方式でユーザーがカネを払う対象は「所有物」ではない。あくまでも「利用権」である。しかし、モノを買ったらそれは自分の物になって、物理的に手元に置いておきたいと考える人も多い。

「カネを支払う=自分の所有物にする」という発想で長らく育ってきた人にとって、「延々とカネを払っているのにいつまで経っても自分のモノにならない」というのは不満でいっぱいになる。

サブスクリプション方式というのは早い話が「レンタル」なのだが、世の中には「レンタルでは嫌だ、自分のモノにしたい」という人が、かなりの数で存在する。

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「所有」か「利用」か?

すべてを手元に置いておく「所有派」か。それとも、使う時だけ使って要らなくなったら手放す「利用派」か。

所有と利用。

自分のライフスタイルや哲学において、どちらに「こだわり」や「合理性」を感じるかがサブスクリプション方式をすんなり受け入れるか抵抗を感じるかの根源になるのかもしれない。

たとえば、アップル・ミュージックは月額980円の定額制である。音楽というのは、かつてはレコードやCDによって「所有」するのが当たり前だった。いや、今でも所有にこだわる人がいる。

レコードやCDという物理的な媒体は、コレクションの対象になっているのを見ても分かる通り、それは非常にコレクターの気分を高揚させるものなのだ。

そういうコレクター気質のある人は、月額980円・年にすると1万1760円も払っているのに、それを止めたら音楽がまったく手元に残らないアップル・ミュージックにカネを払うのは馬鹿馬鹿しいと考えるはずだ。

しかし、所有よりも音楽を聞くこと自体が好きで、月にCDを5枚も6枚も買っていたような人は、月額980円で5000万曲以上も聞けて、さらに新作もどんどん追加されるアップル・ミュージックは涙が出るほど嬉しいサービスのはずだ。

音楽のヘビーユーザーであればあるほど「所有」よりも「利用」の方が合理的だ。

今、音楽は多様化していて、全世界で莫大な音楽が流通している。そのため、アップル・ミュージックのユーザーはすでに6000万人になっているのである。多くの人にとってサブスクリプション方式は合理的だったのだ。

時代的に見ると、今後のビジネスはサブスクリプション方式がかなり伸びるのではないかと予測されている。つまり「モノは要らない。使う時だけそこにあればいい」と考える人が多数派になる。

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時代は大きく変わっていく

中高年以後はどうしてもサブスクリプション方式に慣れていないので、どうしても所有にこだわってしまう。

しかし、若年層は「いちいち買うよりも利用したい時に利用できる方が合理的だ」と思う人が増えているので、サブスクリプション方式の方に親和性を感じている。

そうである以上、今後はいろんな分野でサブスクリプション方式が取り入れられる動きになる。音楽や映画だけではない。すでにアマゾンは電子書籍もサブスクリプション方式で提供しているし、アップルは雑誌をサブスクリプション方式で売ろうとしている。

今後は洋服も、バッグも、高級時計も、アクセサリーも、家電も、ありとあらゆるものがサブスクリプション方式に切り替わって、それが主流になっていく。

男性は同じ背広を365日着ても何とも思わないので、そういう人は洋服をサブスクリプション方式にするという発想はないが、女性の場合は違う洋服を「利用したい時だけ利用できる」ということに意義を見出すだろう。

着たい服をいちいち買っていたらクローゼットがいくらあっても足りない。だからサブスクリプション方式が合理的なのである。

今後は、車やバイクも「所有」ではなく「利用」が主流になっていくのではないかとも言われている。車は持っているだけでカネがかかる上に、買い換えもかなりの手間になる。しかも、車は頻繁に使用する時と、ほとんど使用しない時がある。

これをサブスクリプション方式に切り替えれば、必要な時に使って要らなくなったら返せばいい。また、車種を頻繁に変えたい人もサブスクリプション方式は便利だ。利用して返して、また違うものを利用する。それが簡単にできるのである。

世の中は、このようなところからも変わっている。「所有」ではなく「利用」の時代になる。今後は思いもよらないものがサブスクリプション方式になり、人々の意識は大きく変わっていく。(written by 鈴木傾城)

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