あと数年も経てば、私たちは否応なく「超」高度情報化社会に放り込まれる

あと数年も経てば、私たちは否応なく「超」高度情報化社会に放り込まれる

インターネット時代になって大量の情報がありあまるほど手に入る時代になった。それに伴って、金融の情報もまた大量に流通し、マクロからミクロまでの情報や数値が手に入る。

かつては、「資産運用に関して、部外者は情報にアクセスできないから投資に結果が出せない」と言われていた。

しかし、今はその状況が改善された。「情報」はインターネットでいくらでも手に入れられる驚異の時代に入っているのだ。まさに高度情報化社会である。

企業の財務諸表も企業自身が情報提供しているので、過去に遡ってそれを調査・分析することもできる。

では、それで誰もが正しい情報を手にして効果的に資産を増やしているのかと言えばまったくそうではない。実のところ、大量の情報を集めたところで、投資の結果に有利になるとは限らないことが分かっている。

なぜ、大量の情報を集めても有利にならない現象が起きているのかというと、言うまでもなく、インターネットで拡散されている情報が玉石混交で、時にはフェイクも混じっているからだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

どれが真実なのか分からなくなる

企業の財務諸表も、代表のコメントも、証券会社の分析も、他の人たちの意見も、インターネットですべて手に入る。その気になれば、目的の企業の将来展望や株価動向に関する記事も読み切れないほど集めることができる。

物事に対する見方が多極的に知ることができるという意味では、確かに大量の情報収集は重要かもしれない。しかし、同じ数字を見ても、同じニュースを見ても、人はそれぞれ考え方が違う。

そのため、企業分析をしても、それぞれ微妙に細部が異なる分析が生まれる。大量の違う分析がばらまかれるわけだから、結局のところ、投資家は情報を集めれば集めるほど身動きができなくなる。

普通、真実はひとつしかないはずなのだが、インターネットではあまりにも真実がありすぎて、どれが真実なのか分からなくなってしまうのである。さらに、そこに意図的なフェイクや扇動も入り込む。

こうしたものが判断と決断を鈍らせる。大量情報に接することができるようになればなるほど、逆に迷いが生じ、決断が鈍り、いったん下した決断も貫徹できなくなっていく現象が生まれる。

大量の情報を手に入れれば何でも分かるのではない。むしろ逆に、何もかも分からなくなっていくという理由がここにある。

世の中が高度情報化社会になって、人々はインターネットがなかった時代よりも知的になっているのかと言えば、ほとんどの人は「ノー」と答えるはずだ。

また、たくさんの情報を手に入れられるようになって、物事はシンプルで分かりやすくなったのかと言われれば、これもまたほとんどの人は「ノー」と答えるはずだ。

逆に、あまりの大量情報によって、もはや世の中で何が動いているのか、よけいに理解できなくなっている人の方が多い。人間の処理できる限界を超えて情報が押し寄せて、脳が逆に思考停止してしまうのである。

しかも、真実と共に大量のフェイクまでもが襲いかかって来るわけで、そんな中で何かを「正しく決断しろ」と言われても、自分がよく知っていること以外は正しい決断が難しい。

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世の中の全体を知ることは不可能

今後、時代は「5G」に向かう。(フルインベスト:100倍の通信速度と1000倍のトラフィックを扱う5Gが社会を激変させる

今も高度情報化社会で情報が満ち溢れているように私たちは思うが、「5G」になるとありとあらゆるものがインターネットに接続されるようになり、より次元の違う「超」高度情報化社会になっていく。

科学も、医学も、社会のありかたも、経済のありかたも、すべてが劇的に変わることになる。

いつでも膨大な情報にアクセスできることになるのだが、その情報量はひとりの人間がすべての情報を当たることが不可能な量になる。今後の高度情報化社会はあまりにも「高度化」し過ぎて、もはや限界を超えてしまうのである。

つまり、「超」高度情報化したがゆえに、私たちは世の中の全体を知ることが、事実上「不可能」になってしまうのだ。

情報が莫大になりすぎる。そのために情報だけはあっても、それが一度もアクセスされることもないままどんどん蓄積されて埋もれていき、世の中のあらゆるところに「ブラックボックス」が生まれる。

また、情報自体も複雑化するので、仮に何らかの情報が与えられても、それがどんな意味があるのか理解すらできないということも起こり得る。

情報化時代になると世の中の進歩は加速していくのだが、結局それが社会を信じられないほど複雑にしてしまい、やがて誰もが何が起きているのか理解できなくなってしまう。

重要なのは、今の世の中はすでに「そうなってしまっている」ということである。これからさらに複雑化するのだが、はっきり言って世の中はもう充分に複雑化しているのである。

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「超」高度情報化社会に放り込まれる

高度情報化になってたくさんの情報を手に入れられるようになっても、一向に世の中が「分からない」のは、あふれ過ぎる情報が複雑さを生み出すからである。あまりにも大量の情報が同時並行で目の前を横切って的確な判断ができなくなる。

その複雑さが人間を惑わす。

結局のところ、「超」高度情報化社会になったとしてもそれで投資の勝率が上がるわけではないというのはそれで分かるはずだ。投資家は「大量の情報があったら勝てる」と思ったら足元をすくわれるだけだ。

むしろ、大量の情報が自分を惑わせ、誤誘導させ、自爆させるものであると構えておいた方がいいかもしれない。大量の情報は自分を救う「味方」になるのではなく、場合によっては「敵」になり得るからだ。

大量の情報があったところで的確な判断などできはしないのである。

もし、大量の情報があってそこで何かするのであれば、大量の情報をすべて手に入れて、それを並べて判断したり、踊ったりすることではない。

いくら大量の情報があったとしても、そこから導き出せるのは「大筋を捉えて大雑把であっても方向性をつかむ」くらいが精一杯だと達観しておいた方がいい。大量の情報から「唯一の正解」を導き出せるなど、幻想だ。

むしろ、大量の情報が爆発的に垂れ流しになる時代であればあるほど「必要最小限の重要な情報で的確な判断をする」という点が重要になる。

近い将来にやってくる「5G」の時代に、私たちは的確に判断できる時代がくるだろうか。それとも、莫大な情報を前に大混乱する時代になるのだろうか。

あと数年も経てば、私たちは否応なく「超」高度情報化社会に放り込まれる。(written by 鈴木傾城)

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近い将来にやってくる「5G」の時代に、私たちは的確に判断できる時代がくるだろうか。それとも、莫大な情報を前に大混乱する時代になるのだろうか。あと数年も経てば、私たちは否応なく「超」高度情報化社会に放り込まれる。

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