「10連休が天国になるのか地獄になるのか」の裏側にもある問題が潜んでいた

「10連休が天国になるのか地獄になるのか」の裏側にもある問題が潜んでいた

今回のゴールデンウィークは10連休なのだが、『ゴールデンウィークに関する意識調査』によると、長い休みが嬉しくないと答えた人が46%もいた。

欧米では10連休どころか16連休だとか20連休もザラにあるのだが、日本人には10連休でも天変地異レベルの出来事のようだ。

10連休をあまり喜んでいない層には母親がいる。「家族がみんな家にいるので自分だけが忙しくなる」「カネが飛んでいく」という切実な理由がある。さらにサービス業は「逆に死ぬほど忙しくなる」と嘆く。

そして、もうひとつこの10連休を苦々しく見ているのは、非正規雇用や日給で仕事をしている人たちだ。彼らは場合によっては10日間も連続で仕事がない。そのため、収入が極度に減る。

常にギリギリの生活をしているところに10日も仕事がなくなったら、生活は生きるか死ぬかというレベルにまで低下してしまう。

さらに、サラリーマンでも「残業代が付けられないので収入が減る」と頭を抱える人たちもいる。住宅ローンなどを組んで、どうしても一定の収入を確保しなければならないのに、10連休で残業代分が減る。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

天国になるのか、地獄になるのか?

10連休を楽しむためには「それなりの蓄え」が必要だが、経済的に逼迫した世帯では楽しむどころではない。10連休は楽しむどころか「どうやってやり過ごそうか」というサバイバルになる。

このように見ると、10連休を素直に喜べるのは「貯金のある中流階級以上」の世帯であり、アンダークラスになればなるほど10連休が生きるか死ぬかのサバイバルになってしまうというのが見えてくる。

10連休が天国になるのか地獄になるのかは、結局はカネ次第だったのだ。

誰でも知っていることだが、休日になると国内旅行でも外国旅行でも飛行機代は通常よりも2倍かそれ以上に跳ね上がり、ホテルの宿泊代もまたべらぼうに値上がりする。行楽地では物価も違っている。

その上に民族大移動なみに人が動き、どこに行っても大混雑であり、時間も通常よりもかかってストレスになる。

こうした時期しか旅行に行けない人であれば、それでもすべての艱難をしのいで旅行に行った方がいいが、それもカネがあればの話であって、カネがなければ家でじっとしているしかない。

では、「家でじっとしていなければならない層」というのは、どれくらいいるのだろうか。

厚生労働省のデータでは日本の貧困率は15.6%であり、これを人数にすると1970万人になるので、だいたい、これくらいの層が10連休に困惑しているのではないかと思われる。

「長い休みが嬉しくないと答えた人が46%もいた」というのは、アンダークラスの人たちの思いもまた強く反映しているということなのだろう。

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平成という時代が生み出したもの

日本はすでに1970万人が「長い休みを素直に味わえない」という状態になっているのだが、長い10連休をやりたいことをしながら楽しんでいる世帯もいるので、「カネの有無によって天国と地獄が分離している社会」になったということでもある。

10連休を楽しんでゆったりと暮らしている人は、いったいどうやって明日を暮らそうかと考えている人のことなど思い浮かぶこともないはずだ。

逆に10連休にカネのやりくりで苦しんでいる人は自分のことで精一杯で長い休暇を楽しんでいる人たちのことなど関係ないと思っているはずだ。

この分離を社会は「経済格差」と呼んでいる。経済格差は「長い休みを楽しめるか?」という些細なところにも顔を出している。

そして互いに相手のことが分からないので、一方は「長い休暇が楽しめないというのはおかしな人たちだ」と思い、もう一方は「長い休暇が地獄だと分からない人はのんきな人たちだ」と思う。

経済格差が固定化し、それが解消されなくなると、日本社会は「カネの有無」によって確実に分離されていき、互いに相手が理解できなくなり、それが図らずも身分制度のように機能していくことになる。

今回の10連休が印象的なのは、この連休の前と後では「時代が変わっている」という事実が加わることだ。31年続いた「平成」は、この連休が終わったら「令和」という新時代になっている。

平成は、日本がバブルの頂点を迎えてそれが破裂した時期から始まった時代であり、今の日本の経済格差はまさに平成の時代が生み出したものでもあった。(マネーボイス:「令和」時代で日本は終わる。平成が放置した“少子高齢化”の時限爆弾を解除できるか?=鈴木傾城

平成という時代が生み出した「格差の国民分離」は、令和という時代で解消されるだろうか。平成最後の日に、日本の将来に想いを馳せたい。

10連休を素直に喜べるのは「貯金のある中流階級以上」の世帯であり、アンダークラスになればなるほど10連休が生きるか死ぬかのサバイバルになってしまう。10連休が天国になるのか地獄になるのかは、結局はカネ次第だったのだ。

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