平等な社会はもう実現している。99%が貧困に収斂する平等社会だったが

平等な社会はもう実現している。99%が貧困に収斂する平等社会だったが

2020年の大統領選挙に、再び「あの男」が参戦する。あの男とはバーニー・サンダース氏のことだ。

現在、民主党系の議員の中では最多となる選挙資金を抱えるようになっており、再びサンダース旋風が吹き荒れるかもしれない。

前回の大統領選挙でバーニー・サンダースは、ずっと「富が1%の富裕層に集まるのは間違いだ」と叫び続けてきた。

「アメリカを変える唯一の方法は、ウォール街と大企業に立ち向かう勇気を持つことだ」と、バーニー・サンダースと訴えると、人々の同意の声が地割れのように湧き上がった。

バーニー・サンダースは、アメリカの資本主義が間違っていると叫び、多国籍企業が支配する「アメリカ株式会社」は国民を搾取していると説明し、ウォール街のやっていることは搾取だと断言する。

自らを社会主義と公言してはばからないバーニー・サンダースの「叫び」に呼応するのはアメリカの貧困層であると言われているのだが、この貧困層は今やアメリカの大多数を占めている「多数派」である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

貧困から抜け出せない人々にとって社会は敵だ

貧困層は米商務省の2010年の統計でも約4620万だが、いまやこの貧困層の割合は拡大し、5000万人以上に増えている。

さらに言えば、働いても働いても豊かになれないワーキングプアは、アメリカで1億5千万人もいる。人口の半分がそうなのだ。

特に黒人住民の貧困がひどい。黒人住民は、一部のスポーツ選手やセレブ歌手以外は、その多くが貧困層に入っている。

これまで、格差問題はすなわちそのまま人種問題につながっていた。

彼らは低所得にあえぎ、生活苦に苦しんでいる。そのため、人種差別の抗議デモが起きると、最後には必ず略奪と放火が同時に起きる。貧困が蔓延すればするほど、こうした社会不安は大きくなる。

何かきっかけがあると、それを起爆剤として一瞬にして押さえきれない規模の暴動となっていく。貧困から抜け出せない彼らにとって、社会は「敵」となっていた。

今、アメリカで頻繁に起きている暴動は、そういった種類の暴動であり、その背景には「貧困」と「格差」の問題が大きく横たわっている。

黒人大統領を生み出したアメリカは人種差別が克服されたという認識が世界にはある。2009年には、そのような論調で溢れていた。しかし、それは幻想だった。

経済格差と貧困問題が深刻化して、黒人やヒスパニック層が深刻な貧困に転がり落ちていき、それに続いて今や白人たちも貧困とは無縁でなくなっていった。

だから、こうした社会で富と暴利を貪っているウォール街や多国籍企業や富裕層に対する怒りは抑えきれないものになっている。バーニー・サンダース旋風は、そうした怒りのひとつの形でもある。

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金融崩壊以後、富裕層だけが焼け太り

2008年9月15日に金融界を激震させたリーマン・ショックはアメリカの富裕層を直撃した。これによって、富裕層も資産を吹き飛ばして貧しくなるかと思われた。

しかし、アメリカ政府は「大きすぎて潰せない」という理屈で金融業界を救済し、さらに崩落する株式市場をテコ入れするためにFRB(連邦準備制度理事会)は前人未踏の量的緩和を行った。

アメリカは大量のドルを発行し、そのドルは巨大な津波となって株式市場になだれ込んでいたのである。

これによってアメリカの株式市場は急回復した。世界金融崩壊は間一髪で避けられ、結果的に私たちは資本主義の崩壊を見ないで済んだ。

ここで注意しなければならないのは、急回復した株式市場の恩恵を受けたのは「富裕層だけ」であるということだ。富裕層は資産が回復しただけではなく、その多くが「焼け太り」になっている。

富裕層だけが資産を急激に回復させたのは、「株式資産を持っていたのは富裕層だけ」だったからだ。

日々の食費すらも事欠く貧困層が、株式資産を持っているはずがない。だから、株式市場が回復したところで、貧困層には何の関係もなかった。

さらに、富裕層が「焼け太り」したのは、2008年9月15日以降、半年以上にも及ぶ株式市場の大崩落の中で、彼らは安くなった株式を大量に買い漁っていたからである。

2009年後半から株式市場が値を戻す中で、それは大きな利益を生み出すことになった。スーパーリッチが、さらにスーパーリッチになっていったのだ。

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全世界を覆い尽くす貧困と格差

2019年現在、世界で最も裕福な人物はアマゾンの創始者であるジェフ・ベゾス氏である。最近、ジェフ・ベゾス氏は自分の下半身を撮った写真を浮気相手に送ったのが発覚してスキャンダルに巻き込まれ、ついに妻のマッケンジー・ベゾス氏と離婚するに至っている。

これによって、妻マッケンジー・ベゾスは350億ドル(約4兆円)相当のアマゾンの株式を保有することになる。慰謝料としては過去最高額なのだが、それにしても約4兆円とは凄まじい額だ。

アメリカの富裕層は、100億円、1000億円どころか、1兆円、10兆円を超えるような富裕層もごろごろしている。フォーブスの長者番付けでお馴染みのビル・ゲイツやウォーレン・バフェットも、すでに10兆円ほどの資産になっている。

たったひとりの資産としては想像を絶する額である。10兆円と言わず、仮に100億円の資産であっても、その資産を年利3%で回しただけでも3億円が何もしなくても転がり込む。

アメリカの貧困層は200万円の年収を稼ぐのに苦労しているが、何もしないで3億円が転がり込んで来る富裕層と、200万円も稼げない貧困層が数年経ったら、その格差はさらに開いていることは誰でも理解できるはずだ。

これこそが、「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」の正体である。

こういった社会の中では、白人層であっても貧困層に落ちるともはや二度と浮かび上がれない可能性が高まるので、皮肉なことに貧困問題は人種問題ではなくなっていく。

99%が極貧に落ちるということは、「平等な貧困社会」が到来するということでもある。これが、真っ先にグローバル化を実現したアメリカ社会の姿だった。

グローバル化を取り入れた社会は、どこの国でも同じになる。ユーロ圏も、中国も、グローバル社会にあるのだから例外ではない。日本もまたそうなのだ。(written by 鈴木傾城)

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バーニー・サンダース。現在、民主党系の議員の中では最多となる選挙資金を抱えるようになっており、再びサンダース旋風が吹き荒れるかもしれない。

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