単身世帯の増加、離婚の増加、孤独死の増加という社会現象の裏側とは?

単身世帯の増加、離婚の増加、孤独死の増加という社会現象の裏側とは?

総務省の国勢調査によると日本人の「生涯未婚率」は、2015年の段階で男性約23%、女性約14%になっていることが分かっている。生涯未婚率とは「50歳まで一度も結婚したことがない人」を指す。彼らはずっと単身世帯である。

離婚率も35%なので、3組に1組は離婚している。さらに高齢化によってパートナーの死別によって単身世帯となる。あと、20年も経つと単身世帯は約4割を占めることになる。

現代社会の中では、人はどんどん孤立する方向に向かって突き進んでいく。実のところ、この流れは「資本主義社会が意図的に生み出している」とも言える。資本主義の中では「人間を孤立させた方が得する」からだ。

ほとんどの企業は国民が大家族になってくれるよりも、核家族になってくれた方が得をする。いや、核家族になるよりも、完全にひとりひとりがバラバラになってくれた方がもっと得をする。

ほとんどの企業は「単身世帯を好む」のだ。なぜか。理由は、ただひとつ。その方が儲かるからだ。企業はそれが儲かるのであれば、その方向に誘導する。資本主義とは企業の都合の良い方向に社会が変わりやすい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

人々が孤立すれば企業は儲かる

たとえば冷蔵庫やクーラーを売るとする。大家族であればひとつの冷蔵庫、ひとつのクーラーしか売れない。しかし、核家族になれば、家族ごとに冷蔵庫やクーラーが売れる。

その家族さえも解体されてバラバラになってくれると、個人個人が違うところに住み、それぞれ冷蔵庫やクーラーを買うことになる。

大家族10人が1つの冷蔵庫を共有するよりも、ひとりひとりがバラバラになってくれて、それぞれが冷蔵庫やクーラーを10台買ってくれた方が企業にとっては都合がいい。

10人の大家族が各1人に解体されると、単純に言うと企業は10倍の商機が生まれるのである。電子レンジ、オーブン、調理道具、テレビ、テーブル、家具、数々の雑貨。人間がバラバラになればなるほど企業は儲かる。

こうしたものを売りつける企業は、間違いなく「家族が解体されていく方向」を望むだろう。

不動産産業も家族が解体されて、人間が孤立化してくれた方が儲かる。家族がバラバラになってくれれば、そのひとりひとりが散らばって違うところに住まいを借りて、家賃を払ってくれるからである。

日本人がみんなバラバラになってくれれば、アパートやマンション等の不動産経営をしているオーナーたちはみんな大喜びだろう。ひとりひとりからバラバラに家賃が取れるようになるからだ。

単身世帯が増えるというのは、儲かることなのだ。

では、シェアハウスはどうか。現在、日本の都会部に広がっているのはシェアハウスという「共同住まい」である。シェアハウスは一見するとバラバラの人間を寄せ集めたものだから、孤立化とは逆の方向を行っているように見える。

しかし、そうではない。実態はバラバラの人間を寄せ集めているだけなので、ひとりひとりが家賃を払う仕組みになっている。一緒に暮らしていても孤立化した集団だから、個人個人から家賃を徴収できるのだ。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

「家族」さえも成り立たなくなる

家族がバラバラになるというのは、資本主義的に見ると商機が増えるという意味で望ましい。だから、資本主義が優先されている現代社会においては、無意識の中で人間を孤立させる方向に向かっていく。

ひとつひとつの企業は別に「家族を解体させてもっと儲けよう」と壮大な陰謀を持っていたわけではない。しかし、単身世帯が増えた方が企業は儲かるので、単身世帯をことさら「良いもの」のようにコマーシャルでも描く。

それぞれの企業がそのように単身世帯を描き、それぞれの企業が儲かる方向に世の中のあり方を変えようとしたら、人々がそれに影響を受けないはずがない。それが積もって「単身世帯が増えて社会が変わっていた」という結果になったとして驚く人はいないはずだ。

テレビやコマーシャルで何かが宣伝されたら翌日にはその製品がなくなるほど影響を受ける人々が、単身世帯に関して「まったく影響を受けなかった」というのは逆にあり得ない。

私たちが孤立化すればするほど企業は儲かるのだ。現代社会において私たちの意識を支配しているのは紛れもなく企業なので、私たちは知らずして企業に孤立化への道を誘導されている。だから、気が付けば「ひとりで暮らし、ひとりで生きる」ようになっているのである。

今の日本はもう「家族」という形さえも成り立たなくなるほど孤立化している。そのため、最近はあちこちの集合住宅で「孤独死」が当たり前になってきている。

高齢者は社会から完全に孤立した。いや、孤独死するのは高齢者だけではない。若年層も単独世帯が多いので、ひとり暮らしのアパートやマンションで何かがあると孤独死してしまう。

インターネットの世界では「シェアする」「共有する」「つながる」という言葉が大流行しており、孤立よりも結びつきが重視されている。ところが、リアルな社会では「別れる」「孤立する」「断絶する」が流行しているのだ。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

単身世帯・離婚・孤独死の増加

企業は「俺たちが儲かるから、お前たちはバラバラになれ」と命令するわけではない。そんな独裁主義的なやり方はしない。企業は「新しいライフスタイル」を魅力的に描くことによって、人々を誘導する。

では、家族をバラバラに解体するために、それぞれの企業はどんな「素晴らしいライフスタイル」を提案してくれたのか。たとえば彼らは私たちに「個性と自由を尊重する」というライフスタイルを提案してくれた。「自分らしさ」が何よりも大切であると強く私たちに訴えてくれた。

なるほど、それは悪いことではない。人はみんな個性を持っている。自分らしさを大切にするというのは、誰も否定できない考え方である。

ところが、その「個性や自由や自分らしさ」こそが他人と自分をバラバラにするのは言うまでもない。それが大切になると、家族と一緒にいることもできなくなる。家族の個性と自分の個性はまったく違うものだからだ。

自分らしさの方が大切だと過剰なまでに思うようになると、家族の価値観ともズレはじめ、バラバラにならざるを得ない。個人個人が「個性」を発揮して家族内で衝突し、「自由」を発揮して家族から外れていく。

家族は「個性と自由と自分らしさ」によって、自然とバラバラになっていく。

「自由」というのは、離婚する自由も含まれる。それが良いか悪いかは別にして、現代は誰でも自分らしさを追求できない場合は、家族を「捨てる自由」があるのだ。

かつて「子はかすがい」と言われていたが、今では子供がいても離婚は容易だ。だから、どんどん家族は解体しており、シングルマザーも珍しい存在ではなくなっている。熟年離婚も増えた。配偶者と一緒にいると「自分らしく」あることができないからだ。

かくして私たちは企業の提案するライフスタイルに乗って自分らしさを追求できるようになった代わりに、単身世帯の増加、離婚の増加、孤独死の増加という社会現象に巻き込まれるようになった。

単身世帯が増えたというのは、そのような文脈でも見る必要がある。(written by 鈴木傾城)

このサイトは鈴木傾城が運営し、絶えず文章の修正・加筆・見直しをしています。ダークネスを他サイトへ無断転載する行為は固くお断りします。この記事の有料転載、もしくは記事のテーマに対する原稿依頼、その他の相談等はこちらにメールを下さい。

インターネットの世界では「シェアする」「共有する」「つながる」という言葉が大流行しており、孤立よりも結びつきが重視されている。ところが、リアルな社会では「別れる」「孤立する」「断絶する」が流行しているのだ。

この記事のツイッター投稿はこちらです

この記事を気に入って下さった方は、リツイートや♡(いいね)を押して頂ければ励みになります。

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

一般カテゴリの最新記事