日本の株式市場が16%下落したら日本経済は未曾有の危機に直面するのか?

日本の株式市場が16%下落したら日本経済は未曾有の危機に直面するのか?

日本株はバブル時の最高値である日経平均3万8957年をいまだに突破できていない。すでにバブル崩壊から30年近く経っているのに、いまもなお2万円台をうろうろしているに過ぎない。

この2万円台も民主党政権時代に比べると2倍近く上がっているのでマシと言えばマシなのだが、それにしても30年近くも経っているのに、かつての高値を追い越す気配がまったくないというのは失望に値する。

今の日本の株式市場は一般的に、アメリカの株式市場が上昇すれば「少しだけ上昇」し、アメリカが下がれば「アメリカよりも下がる」という様相を呈している。日本の株式市場は力強いモメンタムがない。

モメンタムというのは「勢い」を示す経済用語だが、この状況をもっと分かりやすく説明するのに「日本の株式市場はアニマルスピリットがない」という言い方の方を好む人もいる。

これは、そのまま日本人から「暴落を乗り越えてやる」「もっと金持ちになってやる」「豊かになってやる」という体力・気力・知力が衰えていることを意味している。老人のように「枯れてしまった」のである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「日本には未来がないのではないか?」

折しも日本は1990年代から少子高齢化への道を突き進み、日本政府はそれが分かっていながらまったく対策を取らずに状況をなし崩しに悪化させた。国民も少子高齢化に対してまったく危機感を持とうとしなかった。今になってもまだ少子高齢化の危機が分かっていない人もいる。

少子高齢化の弊害が極度に悪化するのはこれからだ。(マネーボイス:日本人は地方を見捨てるのか。2024年、少子高齢化で認知症が這い回る地獄絵図となる=鈴木傾城

「日本は人が多い。少しくらい減った方がいい」と言う人もいた。そんな人をマスコミがちやほやした結果、日本は内需がいつまで経っても回復せず、地方は荒廃し、土地は下がり、イノベーションは起きず、時代遅れになり、外国人労働者が大量に入り込むような国にしてしまった。

「このままでは日本には未来がないのではないか?」
「日本は少子高齢化を解決できないのではないか?」
「イノベーションを生み出せない国になったのではないか?」

このような根本的な疑念が持たれるようになると、外国人は日本の株式市場に本気になれない。投機のために日本に資金を流し込んだとしても、日本の成長のために腰を据えて投資するという本来の姿にならない。

さらに日本人自身も1990年代の株式バブルの崩壊で深い痛手を負って「株はもう懲り懲りだ」として株式市場に寄りつかず、高齢者も生活費が必要なので株式投資するどころではなくなっている。

つまり、日本の株式市場は「買い手」が消えている。

日本株はバブル時の最高値である日経平均3万8957年をいまだに突破できていない。すでにバブル崩壊から30年近く経っているのに、いまもなお2万円台をうろうろしているに過ぎない。

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日銀のやっていることは無謀か?

にも関わらず、日本株は安倍政権になってから2倍も上がっているのだが、いったい誰が買っているのか。

それは「日銀」だった。

2018年12月。ブルームバーグ紙は日本銀行のETF(上場投資信託)の年間買入額が『初めて6兆円を上回って過去最高に膨らんだ』と報道している。正確に言えば、日銀は年間6兆678億円を使って日本の株式市場を買い支えてきたのである。

2018年が過去最高の買入額となったのは、2018年の秋から冬にかけてアメリカと共に日本の株式市場も大暴落したので、日銀がETFの買入をしないと底が抜ける恐れがあったからである。

中央銀行が自国の株式市場を買い支えているというのは世界でも例がないことであり、日本の金融市場は異様なことが起きているというのが分かる。また、この状態に世界の金融関係者も憂慮を表明している。

「無謀だ」と言うアナリストも多い。

日銀が日本の株式市場を支えるのがどうして「無謀」なのかというと、仮に何らかの理由があって日本株が大暴落した時、その暴落資産を抱えている日本銀行の信用自体が毀損してしまうからである。

日本銀行の信用が毀損するというのであれば、日本円もまた信用が毀損する。日本の株式市場と、日本銀行と、日本円が同時に毀損したら、国債もまた無事であるはずがない。

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日本は二重にも三重にもダメージを食らう

つまり、もし日本の株式市場に何かあって日銀が大損を被るようなことがあれば、日本は株式市場だけの問題ではなくなる。日銀の信用の問題、円の信用の問題、国債の信用の問題と、次々とダメージが連鎖していく。

言ってみれば、株式市場が暴落したら、日本は二重にも三重にもダメージを食らう状態になっている。

では、いったいどれくらい株式市場が暴落したら問題が起きるのか。これについて黒田東彦総裁は、2019年2月末に衆院財務金融委員会で「TOPIX(東証株価指数)が1350ポイントを下回ると時価が簿価を下回る計算になる」と答えたことがあった。

現在TOPIXの値は1600あたりなので、約16%の下落で問題が起きるということになる。日本株が16%下落することはないのか?

まさか。株式市場に出入りしている人間は誰もが知っていることだが、株式が16%下落するというのは「普通にあること」である。世界経済に巨大なショックを与えるような事件が起きれば、一日に20%下落することすら「あり得る」話だ。

たかが16%の下落で、日本は未曾有の経済危機に直面するかもしれないのだ。そう考えると、国外のアナリストが日銀のやっていることが「無謀」だと評するのも無理はない。

ところが、当の日本人が日本の経済が薄氷を踏むような状態になっていることに気付いていないフシがある。日本株を買い支えているのは「日銀だけ」であり、この日銀は株式が16%以上下落したら損を出す。そうであれば、日本はその瞬間に国外の投機筋から売り浴びせを食らってしまう。

さらに、株式市場が奇跡的に平常運転が続いたとしても、日銀が「出口戦略」を取るだけで日本の株式市場はめちゃくちゃに売られてしまう。

日本株はバブル時の最高値である日経平均3万8957年をいまだに突破できていないが、突破するどころか再び1万円台に沈んでしまう心配の方を先にした方がいい。(written by 鈴木傾城)

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黒田東彦総裁は、2019年2月末に衆院財務金融委員会で「TOPIX(東証株価指数)が1350ポイントを下回ると時価が簿価を下回る計算になる」と答えた。

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