ジョブズの生んだ「マッキントッシュ」と「トイストーリー」に共通すること

ジョブズの生んだ「マッキントッシュ」と「トイストーリー」に共通すること

アップルの創始者だったスティーブ・ジョブズは、確かに「経営者」だったが、その本質は「ビジョナリー」であったと言われている。スティーブ・ジョブズは若い頃から世の中を一変させる製品を思い描き、それを次々と形にしてきた。

「Apple I」「Apple II」「Macintosh」「NeXT」から、「iMac」「iPod」「iPhone」「iPad」と、時代が求めている製品を次々と生み出してきた。そして、社会を変え、文明を変えた。

ジョブズは他にもピクサー社に関わっていて、3Dによってアメリカのアニメーションを根底から変えた。ピクサー社の代表作である映画『トイストーリー』は、全編を3Dで作られた映画なのだが、この映画以後はアニメーション映画の主流が完全に書き換わってしまった。

アップルが生み出した「マッキントッシュ」とピクサーが生みだした「トイストーリー」は共にスティーブ・ジョブズが関わっているのだが、このふたつの成果物はまるで違うもののように見える。

しかし、この2つには共通点がある。「どちらも世界を変えた」ことだ。スティーブ・ジョブズは「世の中を変える」という大きな軸があって、その軸に沿って新しい製品を生み出し続けていたのだ。

それぞれ自分の「軸」から外れなかった

スティーブ・ジョブズは、次々と新しいことをしているように思える。しかし、その軸はまったくブレていない。「ビジョン」がジョブズの軸だったのだ。人生を貫く大きな軸があって、その軸に沿って生きていた。

現在、テスラ・モーターズの会長として知られるイーロン・マスクは「事業家」という括りだが、その本質は「起業家(アントレプレナー)」であると言われている。

イーロン・マスクは若い頃から事業を興すためのアイデアが無数に湧いてきて、それを次々と形にしてきた。

オンラインコンテンツ出版ソフトを販売する企業を興し、金融サービスを行うペイパル社を興し、電気自動車のテスラ・モーターズを興した。

しかし、それで終わりではなく、さらに宇宙事業のスペースX、輸送機関ハイパーループ構想、そして今度は脳とAI(人工知能)を電極で接続する「ニューラルリンク」という企業も興こしている。

やっていることがあまりにも多岐すぎて、脈絡がないように見える。

しかし「起業家」という観点で見ると、実はすべてが同じ軸の中で起きている出来事であるのが分かる。

つまり、イーロン・マスクには「起業」という人生を貫く軸があって、その軸に沿って時流に合ったビジネスを興し続けている。軸はブレていない。イーロン・マスクの軸は「起業」なのである。

次々と新しいことをしているように見えても、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズは、それぞれ自分の「軸」から外れなかった。

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同じことをしていた業界は衰退した

時代は変わるので、人も時代に合わせて変わらないと生きていけなくなる可能性がある。

「時流に合った新しいことをしなければならない」というのは、すべての人に課せられた大きな人生の課題でもある。それを拒絶しても、時代がどんどん変わるので取り残されていく一方になってしまう。

たとえば、インターネットが爆発的に普及して社会のインフラになると、すべての企業のビジネスのあり方が一変した。音楽の聴き方もCD経由ではなくなり、情報の入手も新聞社経由でなくなり、買い物もショッピングモールではなくなった。

インターネットのアクセスもパソコンからスマートフォンに変わっていき、友人を作るにも恋人を作るにもセックスの相手を見つけるにも、すべてインターネット経由と化した。

そのため、同じことをしていた家電業界は凋落し、音楽業界も凋落し、新聞社も出版社も凋落し、デパートもショッピングモールも凋落していった。今後はテレビ業界も凋落し、テレビに依存しているすべての人間が変わるのを拒絶すれば、そのまま凋落していくことになる。

「変わりたくない企業」も「変わりたくない個人」も、そのまま時代に取り残されて、食べて行けなくなってしまう。そして、時代に見放されてしまう。いずれにしても、人間は時代に合わせて「変わらなければならない」運命にある。

しかし、ここに重要なことがある。

「変わる」と言っても、イーロン・マスクが画家になったり、スティーブ・ジョブズが俳優になるような、脈絡のない変わり方ではまったく駄目なのだ。なぜか。それは「軸から外れている」からだ。

自分の人生を貫く「軸」から外れると、うまく生きられなくなって人生を消耗してしまう。

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人生を貫いている軸から外れない

うまく生きるには、自分の軸が何であるのかを明確にして、あくまでもその軸を貫き、時代に合わせて軸に寄り添う形で変わっていく必要がある。

起業家は新しい起業によって時代についていかなければならないし、ビジョナリーは新しいビジョンによって時代を切り拓かなければならない。そして表現者は、新しい表現によって時代に挑戦しなければならない。

「新しいことをする」というのは、自分の軸まで捨てて新しいことをするという意味ではないのである。軸を貫く形で新しい試みを行い、時代を生き残るということなのだ。

その「軸」は、自分が全人生をそれに賭けてもいいと思うものである。

この軸を持っていない人は、人生に迷い、自分がなぜ生きているのか分からなくなる。自分を見失う。何をやっても地に足が付いていないような気持ちで生きることになる。

そういう人は、まずは自分の人生の軸が何なのかを熟考してそれを「発見」する必要がある。

しかし軸があっても、しばしば軸からズレてまったく違う分野に余計な関心を持ち、やらなければいいことに手を出して時間を無駄にしてしまう人も多い。軸に寄り添っていない「新しいこと」は、ほとんどが無駄に終わる。

中には、まるっきり新しい分野で成功する人もいないわけではないが、そうでない人の方が多い。重要なのは、自分の人生を貫いている軸から外れないで、新しい挑戦をしていくことなのである。

スティーブ・ジョブズが「時代を変える」という軸から離れず、イーロン・マスクが「起業」という軸から外れないように、誰もが自分自身の人生を貫く「軸」を中心にして生きる必要がある。

人生を貫く軸は、普通は2本も3本もない。ほとんどの人にとって、人生を貫く軸は1本しかない。その1本の軸で時代の変化に対応しなければならない。つまり、自分の人生を支える軸の中で、最も時代に最適化された新しい部分を、死に物狂いで見つけながら生きるというのが、正しい生き方であると言える。

間違った生き方をして人生を無駄にしないためにも、軸を意識し続けることは大事だ。

世の中を変えた男スティーブ・ジョブズ。スティーブ・ジョブズが「時代を変える」という軸から離れず、イーロン・マスクが「起業」という軸から外れないように、誰もが自分自身の人生を貫く「軸」を中心にして生きる必要がある。

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