中国が貿易戦争でどのような合意をしても、今までのような成長はない

中国が貿易戦争でどのような合意をしても、今までのような成長はない

2018年になってからトランプ政権は中国に対して容赦ない貿易戦争を仕掛けるようになり、これが元で中国経済は急激な減速となって地殻変動を起こしている。

2018年の中国GDP成長率は「公的」には6.5%である。

しかし、中国人民大学の向松祚(コウ ショウソ)氏は改革開放40周年経済フォーラムで「中国GDP成長率6.5%」に異議を唱え、実際には「中国GDP成長率1.67%、別の試算ではGDP成長率はマイナス」と述べている。

中国の指標はいずれも嘘八百のごまかしの数字でできているのは以前から指摘されている。そもそも「中国のGDP統計は信用できない」と言っているのが李克強首相であったりする。

そのため、「6.5%」という数字を信じるのか、それとも「1.67%」という数字を信じるのかはアナリストや学者のスタンスは様々だが、いずれにしても中国が追い詰められているという点に関しては大方の認識が一致している。

中国国内でリストラが吹き荒れ、暴動が起きている。また、中国で欧米のブランド製品の売上がことごとく落ちている。トランプ政権が仕掛けた貿易戦争は、中国経済を急激に冷やしているのは確かなのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

中国は世界から見捨てられつつある

こうした中国情勢に翻弄されている株式市場は、連日のように楽観したり、悲観したりを繰り返しており、その振幅は激しいものになりつつある。

当面は中国とアメリカが、どこで妥協を図るかにかかっている。アメリカは知的財産の窃盗をやめるように中国に言っているが、中国は全世界の知的財産を窃盗することで発展してきた国である。

中国は自らイノベーションを生み出しているのではなく、構造的に窃盗でイノベーションを生み出しているように「見せかけている」のである。

中国が誇る最先端企業であるファーウェイも、中国政府と結託して、全世界にスパイ網を張り巡らせて知的財産の窃盗を行っている。(ダークネス:中国「ファーウェイ」が危険であるという認識は日本人には徹底されていない

もし、スパイ活動やハッキング等の窃盗手口を封じられたら、中国企業はもはや最先端企業でいられない。そのため、アメリカが望む形で中国は妥協できない。表面的には妥協したように見せかけても、裏側では相変わらず「窃盗」を続ける形になる。

しかし、知的財産の窃盗を続けるのであれば、中国に対する締め付けは緩むことはない。一時的な妥協があったとしても、中国に対する風当たりは相当厳しいものになっていき、中国政府は追い詰められていく。

それが中国の置かれている状況だ。中国は世界から見捨てられつつある。

そんな中でアメリカは中国に対してあらゆる品目に「報復関税」という網をかけたのだから、中国経済が縮小していくのは不思議なことでも何でもない。

中国政府は、今のところ経済成長の鈍化をごまかそうと必死にもがいているのだが、いずれ経済をコントロールすることができなくなっていく。中国経済が急激に鈍化するのであれば、もちろんそれは世界経済を揺るがすことになる。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

予測不可能な事態が起きやすい時代に

中国の経済が減速するというのは、中国だけの問題ではない。2018年の秋以降から、中国国内で欧米のブランド品が売れなくなり、さらにアップルも中国市場でアイフォーンの売上が激減したのを見ても分かる。

中国が変調をきたすというのは、世界中で企業活動が停滞し、賃金の低下やリストラが増え、失業率が増大し、国民が貧困に落ちていくことを意味する。そうなれば、新興国もまた苦境に落ちるわけで、「中国が駄目だから他の新興国が伸びる」ということにはならない。

インドは中国の「次」として注目されているが、インドは中国のように開発独裁のスタイルが取れない国なので、中国のように分かりやすい経済発展をすることはない。インドが中国の「次」になるとしても、まだまだ時間がかかる。

ユーロ圏はどうなのか。

残念ながら、ユーロ圏もまたそれほど期待できるわけではない。イギリスのブレグジット(EU離脱)問題も控えていることもあるのだが、ユーロという概念はいまや金属疲労を引き起こして「圏」として一枚岩になっていない。

内部で足の引っ張り合いをしているのである。そうした混乱の中で経済成長が成し遂げられるはずがないので、ユーロ圏もまた経済停滞に沈んでいく。

アメリカはアメリカでドナルド・トランプの強引な政治手法で内政が混乱しており、順調とは言い難い局面にある。

世界はそれぞれの地区で問題を抱えているのである。そのためグローバル経済も「次」の成長エンジンを見つけられないのであれば、今後はいつでも経済成長の急減速による金融市場の崩壊や混乱が起きても不思議ではないということになる。

こうした流れが鮮明になりつつあるので市場は疑心暗鬼になり、毎日のように悲観と楽観が入れ替わり、予測不可能な事態が起きやすくなっている。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

混乱の後に生き残るのは何か?

そもそもの問題は、中国がまったく民主的でも合法的でもない経済活動によって動いていることから始まっている。

中国のやり方は「犯罪的」なのである。

世界は中国が発展したら、中国の体制も変わって民主主義に歩み寄っていくと思っていたのだが、中国は民主主義に歩み寄るどころか、より悪質な中国共産党一党独裁主義に変質して、世界の覇権を握ろうと露骨に動き出すようになった。

「一帯一路」もそうだが、これは途上国に返せないほどの金を貸し付けて、合法的に途上国の資源や利権や土地を奪う「経済的植民地主義」である。

さらに中国は途上国に莫大な債務を抱えさせて現地の政治にも介入し、発言をコントロールし、国際的影響力を強める政策も取っている。アメリカから露骨に覇権を奪い取ろうとしている。覇権に対する野望を隠さなくなっているのだ。

だから、アメリカは共和党も民主党も一致して中国に対して厳しく臨むようになっている。

中国に覇権を握らせて自分たちが凋落するような未来をアメリカは望んでいない。そうである以上、アメリカは最終的に中国を「取るに足らない国」にするために、ありとあらゆる攻撃を仕掛けることになる。

長期的に見れば、中国は今の貿易戦争でアメリカと何を合意したとしても、今までのようにどんどん発展していくことはない。つまり、どうあがいても、中国には未来はない。

そうであれば、グローバル経済は中国の排除による悪影響をいかに吸収するのかが大きなテーマになる。ソフトランディングになるのか、それともハードランディングになるのかは状況次第でどちらにも転ぶ。

しかし、最終的にはアメリカは中国共産党の「排除」によって大きなメリットを手にする国になるのは間違いない。株式市場の乱高下があったとしても、アメリカを「売る」という選択肢はない。(written by 鈴木傾城)

このサイトは鈴木傾城が運営し、絶えず文章の修正・加筆・見直しをしています。ダークネスを他サイトへ無断転載する行為は固くお断りします。この記事の有料転載、もしくは記事のテーマに対する原稿依頼、その他の相談等はこちらにメールを下さい。

長期的に見れば、中国は今の貿易戦争でアメリカと何を合意したとしても、今までのようにどんどん発展していくことはない。つまり、どうあがいても、中国には未来はない。

この記事のツイッター投稿はこちらです

この記事を気に入って下さった方は、リツイートや♡(いいね)を押して頂ければ励みになります。

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

株式市場カテゴリの最新記事