一瞬で大儲けできる仕組みというのは、一瞬で大損失を被るという仕組み

一瞬で大儲けできる仕組みというのは、一瞬で大損失を被るという仕組み

2018年はアメリカと中国の貿易戦争が勃発した年だった。トランプ政権は中国の国家主導の知的財産権の侵害に憤怒しており、オバマ前政権と違って徹底的に中国とやり合う道を選んだ。

この過程で、アメリカはファーウェイやZTEのような中国の最も重要な企業をアメリカから締め出す決定を行っている。さらに2018年12月5日、ファーウェイの副会長がカナダで逮捕された。

これを機に、中国は報復として自国内でアップル不買運動を進めた。貿易戦争による中国経済の減退、アップルの高価格戦略、そして不買運動という三重苦が積み重なり、アップルは2018年の秋から大きく売り上げを落とし始めた。

2019年1月2日、アップルCEOのティム・クックは売上高予想を大幅に下方修正する書簡を出した。

これを契機にしてドル売りも殺到して円が爆騰する動きとなった。

相場が大きく動いたとき、勝者と敗者がくっきりと二分化される。この為替の動きで日本企業も個人も貿易を通して影響を受けるが、この動きに対して、過激かつ直接的に影響されるのは、FX(外国為替証拠金取引)で金を賭けている人たちである。

ドルをロングで保有していたFXのトレーダーは軒並みロスカットに見舞われて、年始から財産をすべて吹き飛ばす事態となった。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「レバレッジ=借金」となぜ言わないのだろうか

日本ではFX(外国為替証拠金取引)という「投資」という仮面をかぶった丁半バクチ取引が定着している。

FXは、少額で最大の効果を得るためにレバレッジをかけて取引するのが普通だ。レバレッジは人によって違うが、数倍から数十倍をかけることができる。

レバレッジとは、「テコの原理」であると多くの書籍で得意げに説明されているが、なぜもっと直接的で分かりやすく説明しないのだろうか。「レバレッジ」というのは単なる「借金」である。

外国為替証拠金取引は、分かりやすく言うと「カネを借りて為替の上げ下げに賭ける取引」なのだ。

「保証金にレバレッジをかける」というのは、要するに「頭金で借金する」ということである。「100万円の保証金に25倍のレバレッジ」とは、「100万円を頭金にして2500万円を借りる」と言っているだけだ。

100万円をかけて為替が上でも下でもいいが、1円動いたら、25倍のレバレッジをかけている人は25万円の変動が来るということになる。

勝てばあっという間に25万円が転がり込むが、負けるときは一瞬にして25万円が吹っ飛ぶ。2円動けば50万円が吹っ飛ぶ。3円動けば75万円吹っ飛ぶ。

100万円が保証金なので、100万円以上損するとそれは借金になるのだが、FXでは80%以上、保証金が消えると強制的に取引が清算される。これをロスカットと言う。

25倍のレバレッジをかけていた人は、3円近くの見込み違いがあっただけで、資金の80%を失って退場になる。

2019年1月3日は、109円台から104円台まで一気に5円の変動を見ている。一気にこれだけ動くと、高レバレッジであればあるほど助からない。

ショートに賭けていた人の中には一気に金持ちになる人も登場するが、このタイミングでこれだけの円高になったというのは誰も予測できない出来事だったわけで、勝ちは「まぐれ」に過ぎない。

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少しの変動でいきなり財産が吹き飛んでいく

FXで調子に乗ってレバレッジをかけていると、見込み違いが起きたとき、少しの変動でいきなり財産が吹き飛んでいくことになる。

一瞬で大儲けできる仕組みというのは、一瞬で大損失を被るという仕組みでもある。相場が逆流すると、ギャンブラーは何年もかけて働いた原資をあっという間に失う。

レバレッジが低くても、判断が間違ったら、毎日毎日、財産が目の前で毟り取られるのを見つめることになるのだから、多くの人がそこに至る前に恐怖で損失を確定する。

損しているのであれば、さっさと逃げればいいのではないかと普通の人は思うかもしれない。しかし、そこで逃げれば損が確定してしまう。

もしかしたら相場は反転するかもしれないので、耐えれば元に戻るかもしれないと当事者は考える。この、「もしかしたら反転するかもしれない」という一縷の望みが、泥沼に足を引きずり込まれる悪夢になる。

逆に少しでも得すると、もっと上がるかもしれないが、やはり相場が反転して儲けが絵に描いた餅のように消えるかもしれないので、長く持てずにすぐに儲けを確定してしまう。

だから、相場を張る人の多くは、利益が少なく損失が大きいというパターンにはまり込むのである。

結局のところFXというのは為替の上げ下げをネタにした「丁半バクチ」なのであり、高尚なことをしているようで、大して高尚なことをしているわけではない。

種銭を持ってきて借金をして丁半バクチをしている博打打ちが、現代風な装いになっているだけに過ぎず、こんなところに出入りしている人がまともなのかと言われれば疑問が残る。

もちろん、この鉄火場で生き残り、巨額の金を手に入れる賭神(ゴッド・ギャンブラー)もいる。宝くじに当たる人が必ずいるのと同じで、成功者は必ず存在する。しかし、バクチはバクチでしかないのも事実だ。

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格差が際立ってくると、ギャンブルが流行する

ギャンブル社会というのは、一部の人間だけが莫大な現金をすくい上げて、残りはまとめて貧困に突き落とすような歪んだ社会を作り出す。なぜ、こんなものが流行するのか。

それは、普通に生活しても豊かさを享受することができない貧困層が存在するからである。だから、宝くじや、FX(外国為替証拠金取引)や、株式の信用取引のようなものに一縷の望みを賭ける。(マネーボイス:「宝くじ」で夢を買って現実を毟られる庶民たち、なぜ買うのをやめられないのか?=鈴木傾城

貧富の差が開けば開くほど、そのような投機が盛んになっていく。投機に手を出して没落する資産家の話はよく聞くが、実際はそれよりも何も持たない人間がわずかな金を握りしめて投機に狂う姿の方が多い。

FXも、貯金がほとんどないサラリーマンや、無職の人間が熱くなっていることが多い。金持ちになれるかもしれないわずかな勝率に人生を賭ける。しかし投機で勝てる人は1%以下なのだから、結局99%は勝負に負けてさらに貧困に堕ちていく。

最初は理性を持って参加しているつもりでも、結局は上げ下げに反応するゲームなので、波に飲まれて大半が破綻する。何度も言うが、勝てない人がいないわけではない。しかし、99%は負ける。

社会が二極分化して格差が際立ってくると、貧困層の世界では必ずギャンブルが流行する。

金に飢えている人間であればあるほど、よりギャンブルが魅力的に見える傾向がある。それで一発逆転ができると夢見ることができるからだろう。手軽な現実逃避のひとつとも言える。

しかし、投機は人生を救ってくれることはないから、ほとんどの人々が見果てぬ夢だけを見て資金を吹き飛ばしていく。

ギャンブルは一度のめり込むと麻薬と同じで、より強い刺激、より高額の掛け金、より多くの取引にエスカレートしていく。このような人間が社会に一定数いてもまったく問題ない。しかし、そんな人間が増加すればするほど、社会はより不安定化していくことになる。(written by 鈴木傾城)

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ギャンブルは綱渡りと同じだ。無事に渡りきれる人間もいるが、途中で落ちていく人間の方が多い。投機は人生を救ってくれることはないから、ほとんどの人々が見果てぬ夢だけを見て資金を吹き飛ばしていく。

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