いよいよ荒れ出した株式市場。溶けていく資産を前に発狂寸前になる人もいる

いよいよ荒れ出した株式市場。溶けていく資産を前に発狂寸前になる人もいる

アメリカの株式市場が大荒れになっている。暫定予算の不成立に伴い、一部の政府機関が22日から閉鎖されたのが直接的な原因だが、他にもFRB(米連邦準備理事会)が利上げを決めたことや、今後も中国との激しい貿易戦争がさらに続くこともある。

これに対してトランプ政権はFRBのジェローム・パウエル議長を激しく糾弾して、解任を議論すると発言したり、さらにはムニューシン財務長官をも解任することを検討すると言い始めたりしている。

トランプ大統領は、政権を暗に批判して去っていくマティス国防長官に激怒して、辞任を二ヶ月前倒ししたばかりだが、政権の重鎮となっている人間を次々と切り捨てていくその姿勢は金融市場にとっては大きな不安材料に見られている。

こうした中で、長く上昇相場にあったアメリカの株式市場は急激に崩れ去ろうとしているのである。

金融市場の総本山であるアメリカの株式市場が崩れると、世界も影響を受ける。これによってイギリスも、中国も、日本も、主要な株式市場は総崩れとなっており、2018年12月25日には日経平均も2万円を割る事態に陥った。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

ひとことで示すと、2019年はそれほど安泰ではない

多くの投資家がこうした金融市場の急変に慌てふためいている。投資家の恐怖を示すVIX指数も12月24日には一気に19.79%も跳ね上がった。

これは投資家がパニックに陥っていることを如実に示している。

この時期は年末年始を控えているので、買いが入らない。そのため相場の下落は多くの投資家の想定以上に進んでいる。これを見て、「相場はパニック売りの局面、売られ過ぎの状態にある」と分析する市場関係者も多い。

確かに、今後は売られ過ぎを取り戻すための一時的な反動も見られるかもしれない。しかし、それで安泰になるのかと言えば、そうとは言い切れないのが今の相場環境であると言える。

ひとことで示すと、2019年はそれほど安泰ではない。

トランプ政権の混乱はこれからも続くのは確実であり、パウエル議長もトランプ政権の圧力に屈せずに淡々と我が道を行く可能性も高い。中国とアメリカの貿易戦争はより広範囲に広がっていき、このまま対立と衝突が継続すると2019年が本当の意味の「叩き合い」になる。

そうしているうちに、イギリスではEU脱退の混乱が激しくなり、ドイツはメルケル首相のレームダックで政治的な主導権が取れなくなっていく。日本もアメリカの経済的混乱に巻き込まれて株価が急落しているのだが、そんな中で消費税をアップしようとしているのである。

こうした状況の中で、アメリカでは相場を牽引してきたGAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)がそれぞれビジネス環境に変調をきたすようになってきており、投資家はGAFAの将来をそれほど楽観しなくなってきている。

GAFAはそれぞれうまくやっている。しかし、あまりにもうまくやりすぎて独占的になった。そして人々は「自分たちはGAFAの奴隷になっているのではないか」と懸念を抱くようになってしまったのだ。

こうした環境が一気に襲いかかってきているのが今の姿である。これで2019年は安泰だと思える人はそれほどいない。逆に、かなり波乱があるのではないかと考えても不思議ではない。

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2割を超えて下落したら発狂する投資家が出る

ここ10年ほど、アメリカの株式市場は順調に上がってきていた。リーマンショック以後は波乱らしき波乱はほとんどなかったと言っても過言ではない。そのため、相場には過度の楽観が支配しており、それが相場環境に反映されていたとも言える。

しかし、2018年の秋頃からこの「楽観」は急激に消え去った。これからは、今までのように単純に上を向いて突き進む相場環境ではなくなったということだ。場合によっては、第二弾、第三弾の大きな下落もあり得る。

もし、そうなるのであれば「買っても買っても下がる」という悲しい目に遭わされるばかりか、じっと保有していた株式資産もどんどん目減りしていくという状態に陥るということだ。

こうした状況になりそうだという不安心理が投資家の間に充満していくと、何が起きるのかというと「損を覚悟で売却しよう」という動きである。

1000万円で買ったものが900万円になったら投資家は不安になる。しかし、もしかしたら値が戻るかもしれないという祈りにも似た気持ちもあって、不安に揺れ動きながらも何とか保有をし続ける。

しかし、これが800万円にまで値下げしたら、もはや居ても立ってもいられなくなってしまう。そして、心理的にはここで売却する人が続出する。

相場の世界では、実直高値から2割を超えて下落すると「弱気相場入り」と見なされる。弱気相場入りする頃は、金融市場で多くの銘柄が次々と悪材料を出してくるので連日のように下落が新聞の一面を飾る。

ニュースで朝から晩まで報道されるようになり、それを見た投資家が次々と投げ、他人が投げたのを見て「今この瞬間に手放さないともっと下がる」と思って投げ売りに走る。だから、実直高値から2割を超えて下落すると人々は次々と保有していた株式を投げ出し始めるのである。

「弱気相場入り」した相場が長らく立ち直れないケースが多いのは、そうした心理的な動揺がずっと継続して続き、実際に保有銘柄がどんどん下がっていくからだ。

1000万円で買った株式が800万円を割り、700万円になり、600万円になっていくと、目の前で溶けていく資産を前に発狂寸前になる人もいる。精神的にダメージを受け、何とかこの資産溶解地獄から逃れたいと焦って1000万円で買った株式を600万円で売り飛ばすような自滅行為に走る。

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相場が弱気だろうが何だろうがまったく関係ない

2018年12月25日。日経平均は実直高値から2割を超えて下落して「弱気相場入り」した。来年の日経平均は上がることもあるかもしれないが、かなり神経質な相場動向になるのは確実だ。

アメリカの株式市場を代表するS&P総合指数は、まだ「弱気相場入り」ではないのだが、限りなくそれに近づいてきている。個別銘柄で見ると、すでに20%を超えて下落した構成銘柄も多く、一足先に弱気相場入りしたとも言える。

言うまでもないが、「弱気相場入り」したらほとんどすべての投資家の資産は減少していく。

アメリカの株式市場に集中投資しているウォーレン・バフェットは言うまでもなく、アマゾンのビジネスオーナーであるジェフ・ベゾス、フェイスブックのビジネスオーナーであるマーク・ザッカーバーグ、アルファベット(グーグルの親会社)のビジネスオーナーであるラリー・ペイジやセルゲイ・ブリン、オラクルのビジネスオーナーであるラリー・エリソン……。すべてに例外はない。

全員まとめて資産が減少する。資産とは「そういうもの」なのである。

では、彼らが弱気相場の中で蒼白になって資産を売り飛ばすかというと、まったくそんなことはない。彼らは「ビジネス」を見ており「相場」を見ているわけではないからである。

相場は上がる時もあれば下がる時もある。そこにだけ着目していれば価格が下がれば売却するしか選択肢はないように見える。

しかし、ビジネスは常に「価値」がモノを言う。相場がどうであれ、ビジネスとしての価値が上がり続けるのであれば、それを売却するというのは合理的ではないということに気づく。価値が上がれば、相場がどうであれどのみち価格は価値に収斂するのである。

価値のある企業、価値のある保有株を手にしているのであれば、相場が弱気だろうが何だろうがまったく関係ない。価値あるものが安く買えるのであれば、売るよりもむしろ買い込む方が正しい。

そう思わないだろうか?(written by 鈴木傾城)

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一気呵成に下落していくダウ平均株価指数チャート。アメリカの株式市場は2018年秋からいよいよ調整局面に入っていったことが分かる。2019年は神経質な相場になるのは確実だ。

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