2020年に入って状況が一変。今の株式相場は「楽観」ではなく「恐怖」が支配

2020年に入って状況が一変。今の株式相場は「楽観」ではなく「恐怖」が支配

2020年に入り、たった3ヶ月で状況は一変してしまった。今の相場は「楽観」ではなく「恐怖」が支配している。これからは、今までのように単純に上を向いて突き進む相場環境ではなくなったということだ。場合によっては、これから第二弾、第三弾の大きな下落もあり得る。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

上昇相場にあったアメリカの株式市場も急激に崩れ落ちた

私たちは今、未曾有の経済ショックの中にいる。リーマンショックは「100年の一度の出来事」と言われたが、今起きている「コロナショック」はリーマンショック以上のショックとなる可能性が高い。

何しろグローバル経済は急ブレーキをかけて停止し、すでに人口の93%である72億人が移動制限を受けている。174ヵ国が入国制限・移動制限・自粛を市民に要請や強制をしているのである。

まさに「前代未聞」である。

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、最初は武漢だけの問題だったのだが中国は隠蔽に走って初動の対応が遅れた。そのため、後になって武漢を封鎖したが「時すでに遅し」で、ウイルスは中国全土に広がった。

さらに春節の時期も重なって大量の中国人が世界に出て行ったために、このウイルスは瞬く間に世界に広がっていき、いまや欧米が最も深刻な汚染地帯と化した。

こうした中で、長く上昇相場にあったアメリカの株式市場も急激に崩れ落ちた。

ニューヨーク株式市場は、たった3ヶ月で見るも無惨に暴落していき、率にして23%の暴落となっている。ニューヨークだけではない。全世界の株式市場が「投げ売り」状態となっている。

しかも悪いことに、問題はまだまったく収束していない。収束どころか、これから感染数も死者もさらに増えていき、医療崩壊も起き、自粛も長引き、実態経済は極度のダメージを受ける。

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2020年の世界は「経済どころではない」ということ

多くの投資家がこうした金融市場の急変に慌てふためいている。連日の暴落と暴騰の乱高下は、投資家がパニックに陥っていることを如実に示している。FRB(連邦準備理事会)が矢継ぎ早の緊急利下げをしても、莫大な量的緩和をしても、まったく効果が見られない。

それも当然だ。今、私たちの目の前で起きているのは「金融問題」ではなく「ヘルスケア問題」なのである。いくら量的緩和をしても、それでコロナウイルスは消えてなくなるわけではない。

新型コロナウイルスは、特効薬としてのワクチンや効果的な治療法が確立されない限り100%の収束を見ることがない。

しかし、この特効薬は明日や明後日になったらすぐにできるようなものではないのである。ワクチンは早くても来年の話になるのではないかと予測されているが、それほど「先の話」だ。

それであれば、それまでは「自粛」で対応しなければならないのだが、自粛を強化すると経済活動が死ぬ。経済活動を優先すれば人が死ぬ。

このジレンマはすべての政府が直面している事態であり、まだどこの政府も効果的な対処方法を見つけていない。

2020年、世界はこの問題に忙殺される。

これは私たちが経験したことがない「事態」である。そのため、ワクチンが開発されるまでは、経済的にも社会的にも何が起きるのかまったく分からない。

ひとつ言えるのは、2020年の世界は「経済どころではない」ということだ。考えてみれば分かる。生きるか死ぬかの瀬戸際になったら誰もが生命を優先する。経済は二の次なのである。

それほど異常な事態に今、私たちは立っているということでもある。

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これから第二弾、第三弾の大きな下落もあり得る

ここ10年ほど、アメリカの株式市場は順調に上がってきていた。リーマンショック以後は波乱らしき波乱はほとんどなかったと言っても過言ではない。そのため、相場には過度の楽観が支配していて、それが相場環境に反映されていたとも言える。

しかし、もう過去の話だ。

2020年に入り、たった3ヶ月で状況は一変してしまった。今の相場は「楽観」ではなく「恐怖」が支配している。これからは、今までのように単純に上を向いて突き進む相場環境ではなくなったということだ。

場合によっては、これから第二弾、第三弾の大きな下落もあり得る。大物ヘッジファンドのジェフリー・ガンドラック氏も「再パニックが起きて3月の底値を割る」というような意見を述べている。

本当にそうなるのかどうかは分からないが、そうなってもおかしくないような状況にあるのが今の相場環境であるとも言える。

もし、そうなるのであれば「買っても買っても下がる」という悲しい目に遭わされるばかりか、じっと保有していた株式資産もどんどん目減りしていく。

こうした状況になりそうだという不安心理が投資家の間に充満していくと、何が起きるのかというと「損を覚悟で売却しよう」という動きである。

1000万円で買ったものが900万円になったら投資家は不安になる。しかし、もしかしたら値が戻るかもしれないという祈りにも似た気持ちもあって、不安に揺れ動きながらも何とか保有をし続ける。

しかし、これが800万円にまで値下げしたら、もはや居ても立ってもいられなくなってしまう。そして、心理的にはここで売却する人が続出する。

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溶けていく資産を前に発狂寸前になる人もいる

相場の世界では、実直高値から2割を超えて下落すると「弱気相場入り」と見なされる。弱気相場入りする頃は、金融市場で多くの銘柄が次々と悪材料を出してくるので連日のように下落が新聞の一面を飾る。

ニュースで朝から晩まで報道されるようになり、それを見た投資家が次々と投げ、他人が投げたのを見て「今この瞬間に手放さないともっと下がる」と思って投げ売りに走る。だから、実直高値から2割を超えて下落すると人々は次々と保有していた株式を投げ出し始めるのである。

「弱気相場入り」した相場が長らく立ち直れないケースが多いのは、そうした心理的な動揺がずっと継続して続き、実際に保有銘柄がどんどん下がっていくからだ。

1000万円で買った株式が800万円を割り、700万円になり、600万円になっていくと、目の前で溶けていく資産を前に発狂寸前になる人もいる。精神的にダメージを受け、何とかこの資産溶解地獄から逃れたいと焦って1000万円で買った株式を600万円で売り飛ばすような自滅行為に走る。

すでに世界は「弱気相場入り」したのだ。

言うまでもないが、「弱気相場入り」したらほとんどすべての投資家の資産は減少していく。

アメリカの株式市場に集中投資しているウォーレン・バフェットは言うまでもなく、アマゾンのビジネスオーナーであるジェフ・ベゾス、フェイスブックのビジネスオーナーであるマーク・ザッカーバーグ、アルファベット(グーグルの親会社)のビジネスオーナーであるラリー・ペイジやセルゲイ・ブリン、オラクルのビジネスオーナーであるラリー・エリソン……。すべてに例外はない。

全員まとめて資産が減少する。資産とは「そういうもの」なのである。

では、彼らが弱気相場の中で蒼白になって資産を売り飛ばすかというと、まったくそんなことはない。彼らは「ビジネス」を見ており「相場」を見ているわけではないからである。

相場は上がる時もあれば下がる時もある。そこにだけ着目していれば価格が下がれば売却するしか選択肢はないように見える。

しかし、ビジネスは常に「価値」がモノを言う。相場がどうであれ、ビジネスとしての価値が上がり続けるのであれば、それを売却するというのは合理的ではないということに気づく。価値が上がれば、相場がどうであれどのみち価格は価値に収斂するのである。

今、私たちは「いずれ問題が解決したら経済は正常に戻っていく」方に賭けるのか、それとも「問題はまったく解決せず資本主義は崩壊する」方に賭けるのかになっているようだ。

私は「いずれ問題が解決したら経済は正常に戻っていく」方に賭けているので、まったく動揺はない。

『バリュー投資 株の本当の価値を問う(クリストファー・H・ブラウン)』

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