今の時代は「モノを持たない方が生きやすい」時代になりつつあるのだ

今の時代は「モノを持たない方が生きやすい」時代になりつつあるのだ

インターネットが生み出したのは「シェア(共有)」経済である。私たちはすでに「情報をシェアする」という言い方を自然にするようになっているのだが、これは自分が知った事実を「みんなと共有する」という意味である。

かつてのように、自分の知り得た情報は独り占めにするのではなく、むしろ開示する方向に向かっている。なぜ「情報のシェア」が広く広がるようになったのか。

それは、インターネット時代になって汲んでも汲んでも汲み尽くせないほどの膨大な情報が大量に流れるようになって、もはやひとりの人間がすべてを知り尽くすのは不可能になったからだ。

あまりにも情報は増えすぎた。増えすぎると、もはや取捨選択すらもできなくなる。何が重要で何が重要でないかの選別もできなくなる。それほど情報は増えた。

それで人々はどうしたのか。「シェア」するようになったのである。

自分を取り囲む人たちとつながり、そのつながった人たちとの間で取捨選択された情報をシェアするのだ。それが今の時代に起きていることだ。

シェアとは別の一面から見ると、自分が消費しているものを他者にも譲ることなのだが、これは人々の「所有」に対する考え方が変わってきていることを意味している。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「必要でない時はない方がいい」と思う心理

独占しない。所有しない。シェアする。高度情報化社会が生み出しているのは、こうした流れである。

この「シェアする」というスタイルに慣れた世代は、やがて情報だけでなく、様々なものをも「シェアすればいいのではないか」と考えるようになっている。

すでに工業製品も情報と同じく大量に出回るようになっており、100円ショップを見ても分かる通り、雑多なものが安価でいくらでも手に入る。

100円ショップのモノは、そのほとんどが「安かろう悪かろう」なのだが、そうであったとしても使い捨てで回せばいいと考える人も大勢いるわけで、「安いものが大量にある」というのが今の現状だ。

情報と同じく、モノも大量に手に入るようになって、昔のようにすべて買い揃えていると家のスペースがいくらあっても足りないほどになっている。

そして、人々の意識が変わった。人々は徐々に「所有」にこだわらなくなってきているのだ。所有しなくてもいつでも安くモノが手に入るのであれば、むしろ必要な時に使って「必要でない時はない方がいい」と思うようになる。

しかし買ってしまうと捨てるのがもったいない。どうするのか。シェアするのである。必要な時に使って必要でなくなったら返す。それが今の時流に合っているのだと人々は考えるようになっている。

現在、若年層はインターネットで自分の持ち物を気軽に売るようになっている。たとえば、ヤフー・オークションやメルカリなどは、個人が気軽に自分の持ち物を売れるようにサービスを提供している。

こうしたサービスが爆発的に人気になっているのは、すでに若年層は「所有にこだわらなくなっているから」である。少し使って必要がなくなったら売る。

それが必要な人は要らない人から安く手に入れて、自分が要らなくなったら必要としている他の人に回す。

昔の意識では、これは単に「中古を売っている」と捉えるかもしれない。しかし、その意識は今の感覚とは若干ズレがある。これも、実は「シェア」のひとつのスタイルであると捉えれば時代が読み取れる。

中古品はヤフオクやメルカリの中でぐるぐると回る。それは人々に「シェア」されているのである。

「必要でない時はない方がいい」を実現するのが「インターネットで売る」ということである。必要であれば、またインターネットで安く手にいれる。一種のシェアがそこに成り立っている。

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車を「所有」する必要はなくなってきているのが実情

かつて、企業はITのハードウェアに莫大な設備投資をして自社で情報を管理していた。こうした形態をオンプレミスと呼ぶ。

しかし、今はAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やGCP(グーグル・クラウド・プラットフォーム)やMicrosoft Azure(マイクロソフト・アジュール)などの、クラウドサービスを使うようになっている。

機密性の高い情報もあるので、必ずしもすべてがクラウドに移行することもできないのでオンプレミスは完全に消せないのだが、それでもクラウドへの移行はかなり進んでいる。

クラウドは、ハードウェアの「シェア」であると考えれば分かりやすい。シェアすることによって、ハードウェアに莫大な設備投資をする必要がなくなり企業は身軽になることができる。

クラウドの覇者はアマゾンである。アマゾンは小売で利益を出しているのではなく、実はクラウドで利益を出しているのは周知の事実だ。「シェア」がアマゾンの成長のキーワードだったのである。

これから起こり得る大きな変化として注目されているのが「自動車」業界のイノベーションだ。

今までは自動車は「所有」するのが当たり前だったが、これからは「シェア」が当たり前になっていく流れが少しずつ広がっている。

日本だけでなく、すべての国で人々は大都市圏に暮らすようになっているのだが、大都市では電車やバスが縦横無尽に張り巡らされていて、どこでもタクシーが走っている。さらにウーバーのような配車サービスも生まれている。

必ずしも個人に車が必要ではなくなってきている。

車は高額である上に、駐車場代、ガソリン代、車検代、保険代……と多くの金がかかるのだが、たまにしか乗らないのに経済的負担が非常に大きなものになっており、所有するのはワリが合わない。

地方で暮らす人は絶対に必要なのだが、地方は衰退している。人々は都市に集まるのだから地方の目線ではなく、都市の目線が広がる。

都市部では、車というのは必要な時にあればいいのだから、車を「所有」する必要はなくなってきているのが実情だ。だから、車も「シェア」サービスの中に組み込まれていく。

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シェアで間に合うのであればシェアで間に合わせる

ウーバーは配車サービスとして捉えられているが、実のところこれも「自家用車のシェア」であるという見方もできる。遊んでいる自家用車をタクシーのように利用させるというのは、まさに「シェア」の発想から来ている。

自動車がシェアできるのであれば、自転車もまた同じことができるはずだという発想もある。

街にある自転車を適当に借りて、好きなところで乗り捨てられれば便利だ。欧米や中国ではシェア自転車のサービスが広がっている。乗り捨てのマナーや乱暴な乗り方の問題が引き起こされているのだが、うまくビジネスが回れば社会に定着する。

自転車を所有するのではなくシェアする。いずれは日本も自転車のシェア・サービスが広がっていくはずだ。

傘のシェアもまた模索されている。いつでも好きなところで好きなように借りられて、好きなところで置いていけるのであれば、もう傘を所有する必要はなくなる。傘のシェアもどこかの国でビジネスとして成功すれば、全世界に広がっていくことになる。

他にも、様々なものが「所有」から「シェア」という流れになっていくはずだ。

モノが足りない時代は「所有」以外の概念はなかったのだが、モノがあまりにも大量に溢れる時代には「所有」ではなく「シェア」が重要になっていく。

かつては、いろんなモノを持っていることが人々の心を捉えたのだが、今はむしろ断捨離を行なって「何も持たないこと」が人々の心を捉えるようになっているのは、こうした時代背景が裏側にあるからだ。

今は「モノを持たない方が生きやすい」時代になりつつあるのだ。

そう考えると、家も持たない方がいいというのも当然の流れになる。背伸びして不動産を買って人生を不動産ローンの返却のためだけに生きるような人は、これからは減っていくことになるはずだ。

必要な時に必要な場所で暮らし、そこにいる必要がなくなれば場所を移動する。移動するにはモノはあまり持たない方がいいし、シェアで間に合うのであればシェアで間に合わせるのが合理的だ。

「シェア」をキーワードにして社会は変わりつつあるのだが、あなたは社会の変化に対応できているだろうか? そして、次の時代は「シェア」をうまくビジネスに結びつけた企業が勝ち上がることを理解しているだろうか?(written by 鈴木傾城)

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街にある自転車を適当に借りて、好きなところで乗り捨てられれば便利だ。欧米や中国ではシェア自転車のサービスが広がっている。乗り捨てのマナーや乱暴な乗り方の問題が引き起こされているのだが、うまくビジネスが回れば社会に定着する。自転車を所有するのではなくシェアする。いずれは日本も自転車のシェア・サービスが広がっていくはずだ。

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