リーマンショックから10年。次の暴落は予測せずに準備だけしておく

リーマンショックから10年。次の暴落は予測せずに準備だけしておく

1990年代後半はインターネット・バブルが発生して、アメリカのハイテク企業がひしめくナスダック市場は史上空前のバブルに湧いた。

2017年に起きたビットコイン市場のバブルと同じだ。多くの人がこの1990年代後半のITバブルに踊った。(マネーボイス:ビットコイン版「バブルの物語」いつか死ぬまで踊り続ける覚悟はあるか?=鈴木傾城

しかし、この空虚なバブルは2000年代に入ってから壮絶に吹き飛んでしまう。実体以上に持ち上げられた株価は暴落すればとことん売られるのが世の常だ。バブルの崩壊は凄まじかった。

多くの投資家がこれで傷つき、莫大な負債を抱えて株式市場から去っていった。

しかし、この後にすぐアメリカは別の分野で大きなバブルが生まれた。次は不動産市場だった。株式市場のバブルが崩壊した後、アメリカの投資資金は不動産分野に流れ込むようになっていたのである。

不動産が上がる。家を買ってしばらく持って1年後に売り飛ばせば差額が儲かる。それが分かると多くの人々が不動産転がしを始めるようになり、そこにアメリカの銀行も乗っかった。不動産ローンを組ませれば銀行も儲かるからだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

リーマンショックの前夜はどのような状況だったか?

不動産ローンを組ませて、手数料と金利を手に入れる。そのためにはローンの契約を大量に取ればいい。

どうしたのか。アメリカの銀行は信用のある個人にカネを貸すだけでは飽き足らず、こぞって「信用力の低い個人向け住宅融資」をするようになっていったのだ。

この低収入の人間への融資を「サブプライムローン」と言った。サブプライムローンは、住宅価格は上がり続けるという「神話」の中で成立したビジネスだった。

収入の少ない個人はローンを組ませても焦げ付かせるかもしれない。

しかし、住宅価格が上がっている局面では、それを転売させればローンを返せるし、銀行にしても担保の住宅を売れば元が取れるのだから「旨いビジネス」だった。

アメリカで不動産バブルが起きているのを見ると、国外の銀行までサブプライムローンにのめり込むようになっていった。

しかし、不動産バブルは2006年に入ってから変調をきたすようになっていった。

6月に入ってからアメリカの主要都市の住宅価格が下がり出すと、当然のことが起きた。住宅を転売すると赤字が出るようになっていったのだ。

転売ができないでローンが焦げ付くと、借金だけが残る個人が続出し、これによって銀行も痛手を負うことになった。

2006年の末頃になるとまず中堅住宅ローンが破綻し、翌年2007年に入ると、イギリスのHSBCが大損失を出し、住宅金融大手のニューセンチュリー・フィナンシャルが破産した。

さらにサブプライムローンにのめり込んでいたベアー・スターンズのヘッジファンドが2つ資金調達に失敗して焦げ付き、次にフランスのBNPパリバのヘッジファンドが資金凍結の宣言をした。

2007年にはすでにサブプライムローンの危機は表面化しており、事態は急激に悪化していたのだ。

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全世界を巻き込んで株式市場が阿鼻叫喚の地獄に

サブプライムローンの危機が広範囲に悪影響を及ぼしたのは、サブプライムローンは銀行のリスク分散のために高利回りで証券化されて世界中にばらまかれたからだ。

このサブプライムローンに他のいくつもの債権を組み合わせて作られた金融商品は複雑すぎて誰も中身が分からなかった。そこで、人々は格付け会社が付ける「格付け」でそれを評価していた。それが仇になった。

大半のサブプライムローン関連資産は、こともあろうか格付け会社によって最高位格付けの「トリプルA格」を与えられていたので、世界中の金融資産がこのサブプライムローンを資産をして組み入れていたのだ。

2007年に入ってサブプライムローンが焦げ付き始めると、この証券化された金融資産の価値も暴落していったのである。銀行はこれを売り飛ばそうとしたが買い手はどこにもいなかった。

そうしているうちに、アメリカではアメリカン・ホーム・モーゲージが破産し、カントリーワイド・フィナンシャルが資金繰りの危機に陥った。

そこから状況は堰を切ったかのように悪化した。メリルリンチも、シティブループも、ワコビアも、UBSも、HSBCも次々と莫大な損失を発表する事態へと突入した。

そして、2008年。ベアー・スターンズが経営危機に陥り、ついに9月15日に巨大な激震がやってきた。それがリーマン・ブラザースの破綻である。

ここから全世界を巻き込んで株式市場に阿鼻叫喚の地獄が発生したのだが、後に私たちはこれを「リーマンショック」と呼ぶようになった。

リーマンショックが起きたのは2008年9月15日。

まさに今からちょうど10年前の話である。サブプライムローンから端を発した金融危機は、全世界の金融市場を崩壊させかねないほどの激震となって歴史に残った。

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どこかのタイミングで大きな動乱が発生する?

2008年9月15日に起きたリーマンショックは、アメリカ政府が未曾有の金融緩和をすることによって何とか立ち直った。

金融危機の対応を間違えていたら、そのまま資本主義が終わりかねないほどの金融崩壊が起きていた。リーマンショックはそれほど危険な暴落だった。

以後、アメリカ経済は紆余曲折ながらも順調に成長して、すでに株価もリーマンショック前の水準を超えている。アメリカ経済に賭けた人々はみんなそれなりの恩恵を受けている。

しかし、もう金融危機が二度と来ないのかと言われれば、まったくそんなことはない。いずれはどこかのタイミングで大きな動乱が発生することになるのは想像に難くない。

火種はどこにでもある。新興国の苦境がそのまま次の金融危機の発端になるかもしれないし、中国とアメリカの泥沼の関税報復がトリガーになるかもしれない。

あるいは、今の私たちがまったく認識していないところで大きな問題が起きて、金融市場を激しく動揺させる可能性もある。どこで何が起きるのか分からないのである。

こうした危機は「すぐにやってくる」と考える人もいれば「まだまだやって来ない」と考える人もいる。

また、「リーマンショックほどの危機にならない」と考える人もいれば「リーマンショック以上の危機になる」と考える人もいる。

いずれもいくつかのデータを根拠に分析を行っている。しかし、そのどちらに対しても与する必要はまったくない。どちらに与するかということよりも、もっと重要なことがある。

それは「市場は上がるときもあれば下がるときもあるのだから、いつか暴落がきても別に不思議なことではない」ということをきちんと認識することだ。

そして、数十%以上の暴落があっても破産しないように健全な投資をしておき、さらに次の暴落でうまく立ち回れるように準備しておくことだ。

「いつか大雨が降る」のと同様に、株式市場も「いつか暴落する」のは必然なのである。そうであれば、暴落が明日来ても死なない投資を心がけ、いつでも反撃できるように考えておくのは無駄ではない。

自分はどのように準備し、どのように反撃できるか。リーマンショックから10年。こうしたことを考えるのは、そろそろ重要な時期になってきた。(written by 鈴木傾城)

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