コロナショックの自粛の中でも、不労所得が入って生活に困らないのが富裕層

コロナショックの自粛の中でも、不労所得が入って生活に困らないのが富裕層

安全地帯に引きこもって「自粛しろ」と言っている人が何もしないで800万円を手に入れるほどのポテンシャルがあり、一方では「自粛したくない」と思っても自粛せざるを得ない人が路頭に迷って苦しむ。そういうわけで、コロナショックが終わる頃には、相変わらずカネが減っていない富裕層と路頭に迷った貧困層に分かれ、格差は凄まじいものになっていくだろう。


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

自粛しても不労所得が入ってくるのが富裕層

中国発コロナウイルスによる大混乱は、結局のところ格差をより拡大することにつながっていくはずだ。

富裕層はこぞって「自粛しろ」と言っているが、1億円でも2億円でも普通に持っている彼らは自粛しても食うに困らない。だから、安全地帯で好きなだけ自粛でもステイホームでもできる。

そして誰も指摘しないが、自粛してもカネがいくらでも転がり込んでくる。もともと「不労所得」を持っているからだ。今では株式が安くなって配当4%の優良企業の株式もごろごろ見つかるが、仮に2億円を4%の配当で回すと年間800万円が「何もしない」で転がり込んでくる。

だから、安全地帯で「自粛しろ」と言えるのだ。

これを間に受けて貯金もわずかで株式も持っていないような中産階級や低所得層が自粛していたら、たちまち生活に困って路頭に迷うことになる。自粛しても不労所得が入って来ないのだから当然だ。

富裕層は安全地帯に引きこもって、まわりにも「自粛しろ」と言って本当に何もしないで800万円を手に入れる。貧困層は「自粛したくない」と思っても自粛せざるを得ず、結果的に路頭に迷って苦しむ。

そういうわけで、コロナショックが終わる頃には、相変わらずカネが減っていない富裕層と、カネを失って路頭に迷った貧困層に分かれ、格差は凄まじいものになっていくだろう。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

格差がどこまでも広がるのを確認する哀しい計算

コロナショックがなくても貧富の差は広がる一方だった。格差がどのように広がっていくのかは、この両者の資産の増え方を見れば分かるはずだ。たとえば、資産をまったく持たない層が今年から1ヶ月2万円を貯金に回したとする。そうすると、年間で次のように推移していくことになる。

1年目 24万円
2年目 48万円
3年目 72万円
4年目 96万円
5年目 120万円
6年目 144万円
7年目 168万円
8年目 192万円
9年目 216万円
10年目 240万円

一方で、1億円を持っている人がそれを株式に回して3%の配当をもらって、それを貯蓄するとする(分かりやすく単利計算とする)。すると、年間で次のように推移していくことになる。

1年目 300万円
2年目 600万円
3年目 900万円
4年目 1200万円
5年目 1500万円
6年目 1800万円
7年目 2100万円
8年目 2400万円
9年目 2700万円
10年目 3000万円

1億円の方を複利ではなく単利で計算しても、10年にして2760万円の差となってしまう(実際には複利やキャピタルゲインも入るので、もっと差は広がっている)。2760万円の差というのはどういうものなのかというと、年間24万円を貯める人がこの金額を貯めるためには115年もかかるということだ。

しかし115年後になると、1億円の資産だった人は単利計算であっても3億4500万円となっている。資本主義の中で、格差がどこまでも広がるというのは、こういうことだ。日本では上位2%の富裕層世帯がさらに資産を増大させることになる。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

金持ちはさらに金持ちに。貧困層はさらに貧困に

もちろん、世の中は計算通りにいくというわけではない。たとえば、浪費癖のある人は1ヶ月100万円の買い物くらいは毎月できると豪語する。

たとえば、エルメスのバッグ1個買えば100万円だ。ティファニーのアクセサリーでも1個100万円するものもある。毎月こうしたものを買って1ヶ月100万円を使うのは決して難しいことではない。他にも高価な旅行、高価な体験、高価な食事などカネを使う場所には事欠かない。

1ヶ月100万円の浪費をする人は1年で1200万円を使うことになる。そうすると、1億円は8年と少しで完全に消えてしまうことになる。一方で年間24万円を貯めている人は8年後には192万円の貯金を持つことになる。ここで立場が転換する。

富裕層の家族や配偶者や友人や愛人には、しばしば浪費癖のある人がアリのようにたかって来るので、いったん浪費が始まると凄まじい勢いでカネが消えていく。

ごく稀に、何も持たない層がいきなり富裕層になることもあり得る。宝くじに当たった、事業で成功した、スポーツや芸術で成功した、投資に成功した……。世の中には多種多様な成功の方法がある。野心と才能が合致して一挙に億単位の金額が転がり込むことも決してゼロではない。

現在、格差の上にいる人も浪費が過ぎれば没落し、格差の下にいる人も野心が実現すれば成り上がる。これを指して、格差が固定化されるわけではないと考える人もいても不思議ではない。

たしかにそうなのだが、それは世の中の数%で起きている事象である。一般的に見ると「金持ちはさらに金持ちに、貧困層はさらに貧困に」という事象の方が圧倒的多数を占めている。

ダークネスの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

コロナは格差を加速させてしまっているように見える

コロナショックは格差を拡大させる大きな要因になる可能性もある。世界中の中央銀行は金融緩和を無尽蔵に行っているのだが、この緩和によって大量のマネーは実体経済というよりも金融市場に流れ込む。

今、コロナショックで大暴落した株式市場はある程度戻して小康状態を保っているのだが、それは中央銀行が「市場を救う」という強い決意を見せているからだ。

そのため、自粛・休業・ステイホームで一般市民が無一文になって、政府の給付金にすがって生きていかないといけない状況に追い込まれている中で、富裕層はほとんど大きなダメージを受けることもなく過ごしている。

今後、政府も支えきれないほどの巨大な恐慌ともなれば、もちろん株式を大量保有している富裕層も大きく傷つくことになる。しかし、人類が何とかコロナショックをうまく乗り切ればどうだろうか。

逆に富裕層の資産はそのままで、貧困層だけがすべてを失って路頭に迷っているという状態になっているはずだ。

今後、コロナショックがどのように推移するのか誰にも分からない。今年中にケリがつくと言う専門家もいるのだが、2年は今の状態が続くという専門家もいる。専門家でも状況が分からない。

だから、資本主義が壊滅するほどのスケールになってしまってもおかしくないのだが、もちろんそれは最悪の中の最悪のケースであり、むしろ資本主義は壊れずに収束する可能性の方が高い。

そうであれば、持っている者と持たざる者の差はより強烈になる。コロナ以前から巨大な格差があって、それがどんどん広がっていたのに、コロナはその格差を加速させてしまっているように見える。

『データブック 格差で読む日本経済(みずほ総合研究所)』

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

一般カテゴリの最新記事