「確実ではないということだけが確実」なので予測に頼るな

「確実ではないということだけが確実」なので予測に頼るな

2018年4月6日、仮想通貨取引所のひとつであった「ビットステーション」は幹部が顧客の仮想通貨を私的に流用していたという言語道断の行為で廃業に追いやられた。

そして同日、マネックスグループが「コインチェック」を36億円で子会社化するという発表もあった。コインチェックは1月に約580億円相当の仮想通貨を流出させて会社存続の危機に陥っていた。

仮想通貨取引所が淘汰されているのだが、同時に仮想通貨市場もバブル崩壊以後、ずっと低迷したままであり、人々の「投機熱」はすっかり冷めて厳しい状態になっている。

ほんの半年前まで「ビットコインは3万ドルは軽い、4万ドルいく」とか「ビットコインを買わない人間は馬鹿だ」とか大騒ぎしていた人々も何も言わなくなった。

金融の専門家を称する人間の中にもバブルの最中にビットコインを買ったと得意げにいっていた人もいた。それもひとりやふたりではない。

彼らはれっきとした「アナリスト」であり「金融の専門家」「投資コンサルタント」だった。しかし、予測は当たらなかった。バブルが吹き飛ぶと、人々も消えてしまった。これがバブルの現実である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

上がるのか下がるのかは、もはや「空気」次第?

ビットコインのバブルとその惨状を見ても分かる通り、未来を知りたいという人間の欲望に答えて様々なコンサルタントや専門家がさまざまな予測をするのだが、その予測はほとんど当たらない。

価値をどう測ったらいいのか分からないものが1年で10倍になるのだから、さすがにバブルだということくらいは理解する人が大半だった。

しかし、「どこまで上がるのか」が分からないから、人々はバブルの頂点でも飛び乗ったのだ。

ビットコインの価格(BTC/JPY)が200万円を超えた時点でも、「これは単なる通過地点でもっと上がる」と言っていた人も山ほどいた。コマーシャルも派手に打ち上げられ、世間はビットコインの相場に酔った。

こうなると、上がるのか下がるのかはもはや「空気」次第になる。空気なのだからよけいに先行きが分からなくなる。もっと上がるかもしれないし、下がるかもしれない。本当に何も分からないのである。

だから、予測は無意味なのだ。もはやブロックチェーンの仕組みなど勉強したところで、相場はそんなもので動いていないのだから意味がない。

専門家が偉そうな口をきくほど当たっていないのは、彼らが無能なのではなく、もともと空気感で動く相場など誰も予測できるわけがないからである。

しかし本当のことを言えば、ビットコインの相場だけでなく、すべての金融市場は予測した通りに動くような性質になっていない。あまりにも予測に及ぼす変数が多すぎて、予測しても当たらない。

考慮しなければならない要素が数百、数千もあるのだから、予測が当たるはずがない。さらに世の中には突発事項はいくらでも起きるし、人々の熱狂や関心もころころ変わる。

それを予測して当たったとしても、「外れる可能性も半分あった」という世界である。要は、丁か半かのバクチと同じだ。

 

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「これ」が理解できていない人は、カモになる

丁か半かと言えば答えは五分五分だから当たりやすいと思うかもしれない。だからコインを投げて最初に表が出たら、次に裏が出るほうに賭ける人が多い。

しかし、確率は無限に繰り返した結果から現象を抽出したものだから、表が出て次に裏が出るとは「約束」されていない。丁か半かのバクチですらも、当てるのは容易ではない。

そうであれば、金融市場のチャートを見て「上がる、下がる」と騒ぐことに安全域はどこにもないことに気付くはずだ。

もし投資を確実なものにしようと思うのであれば、チャートを見るのではなく、投資しようとするものの「実体」を見て、その実体の価値を見極め、投資に値するかどうかの考察が必要になってくる。

「現金はインフレによって目減りするから現金を持ってはいけない。現金よりも国債の方がまだマシだ。国債よりも株式の方がもっと長期リターンは大きい」というのは予測ではない。過去100年以上から積み上げられてきた「事実」だ。

そうであれば「長期に生き残って今も莫大な利益を上げている優良企業に投資すべきだ」というのが分かる。これは合理的判断で選択したものであり、予測はここに含まれていない。

全世界の株式市場の中で、「アメリカの株式市場が世界で最も規模が大きく流動性が高い」というのも、予測ではなく事実である。

こうした事実を積み上げて、さらに「市場が過熱していないとき、あるいは暴落している時に買う」「配当再投資をする」という手法で安全域を確保し、投資の確実性をより高めていく。

確実な投資をするというのは、予測を排した手法を取ることを言う。

確実な投資は、上がるのか下がるのかを賭けたバクチではないので、未来がどちらに転ぶのか考える必要もないし、当てる必要もない。予測に頼らなくてもいいのである。

 

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予測に頼らないでもやっていける方法を見つける

「確実ではないということだけが確実」というのをきちんと理解できない人は、市場に踊らされ、流言に惑わされ、将来を断言する「専門家」に騙される危険性がある。あるいは、荒唐無稽な陰謀論のカモにされる。

専門家は「国際アナリスト」や「経済コンサルタント」のようなマトモそうな肩書きを持っているので信頼できそうな感じがするのだが、未来は肩書きを持った人間の予測で動くわけではない。話半分で聞いておく必要がある。

こういった専門家が大活躍するのは、もちろんバブルが発生しているときや、大暴落が起きているときである。

相場が暴騰すると多くの投資家が浮き足立つ。そこに専門家がさっそうと現れて「もっと上がる、もっと儲かる」と騒ぎ立てて人々の注目を集めて自分の金儲けに使う。

株式市場が大暴落すると多くの投資家が動揺し、右往左往する。そこでまた胡散臭い専門家が急に出てきて「アメリカが崩壊する」とか「ドルが紙切れになる」とか「資本主義は終わる」とか、適当なことを言い出すのである。

そして、自分はあかたも将来が見えているような口調で「将来はこうなる」と断言して、「俺に金を払えば救われる」「俺のセミナーを聞け」とか言い出す。

経済的パニックの時代に入ると、この手の人間が大活躍する。株式市場が大動乱する時代になれば、何かを断言する人間が「世の中が見えている」ような気になるからだ。

しかし、よくよく考えて見れば分かるが、相場というのはロケットのように騰がるときもあれば、壊れたエレベータのように急降下するときもある。

相場がバブルになるとか大暴落すると予測や予言しなくても、それはいつか起きるものなのである。

「確実ではないということだけが確実」というのが分かっていれば、経済的な大混乱がきても胡散臭い「専門家」どもに引っかかることはない。

予測は確実ではない。だから予測に頼らないでもやっていける方法を見つけるのが正しい。(written by 鈴木傾城)

 

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ビットコインのチャート。ここから上がるのか下がるのか、そんなことは誰にも分からない。「確実ではないということだけが確実」というのが分かっていれば、胡散臭い「専門家」どもに引っかかることはない。

 

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