現金など信頼に値しないと気付いた時は、もう何もできない

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1923年と言えば今から94年前だが、この頃に探偵小説作家である江戸川乱歩は『二銭銅貨』という小説を出している。これが江戸川乱歩のデビュー作だ。ところで、この小説はある電機会社の労働者たちの給料が丸ごと盗まれて、どこに隠されたのかを探り当てる探偵小説なのだが、この労働者たち全員の給料はいくらだったのか。それは5万円である。

この5万円の隠し場所で重要な役割を果たす通貨は『二銭銅貨』である。二銭銅貨と言っても、今の日本人のほとんどはそれを手に取ったことも見たこともないはずだ。

銭(せん)は商人の街である大阪では「銭(ぜに)」という言い方で未だに言葉としては使われているが、もちろん通貨としては使われていない。

この「銭」という通貨はその下の「厘(りん)」という通貨と共に1953年に廃止されて、以後、単位としても使われなくなったので、それ以後に生まれた人が知らなくて当然である。

ところで、ここで考えたいのは「なぜ1953年に銭や厘が廃止されたのか」ということだ。理由は言うまでもない。明治・大正・昭和と時代が流れる中で、資本主義経済はずっとインフレであったからである。

現金は長い目で見ると必ず目減りするという事実

今、どこかの会社に面接に行って、一ヶ月分の給料が100円だと言われれば「ふざけるな」と叫んでしまうはずだ。その給料は新聞沙汰になるだろう。

今の100円というのは、それこそ自動販売機で飲み物を買うことすらもできないほどの価値でしかない。しかし、この100円というのは、約70年前はけっこうな「大金」だった。

昭和20年(1945年)と言えばまだ日本が敗戦の大混乱の最中だった頃だが、この頃の人々の給料は20円が安月給、普通の人は約50円前後で、学校の先生は75円、校長先生は月給100円ほどであった。

この頃は機関士という職業もあったのだが、機関士は肉体労働で月給は20円ほどであった。この人に100円の月給を上げようと言えば、泣いて喜んだはずだ。あまりの狂喜に抱きつかれるかもしれない。100円とはそれほどの大金だったからだ。

今の80代や90代の高齢者たちは、自分たちが若い頃は10円や20円が「それなりのまとまった金」であったことを覚えている人もいる。その頃の10円や20円は、それこそ今の10万円や20万円くらいの価値であったと言ってもいい。

物価はその後もどんどん上がり、やがて1973年には「狂乱物価」がやってきてインフレは一気に進行した。さらにその後も物価上昇は止まらず、現代では月給が20万から30万円の人がボリューム・ゾーンになっている。

昭和20年の時に20円をもらっていた人と、現在20万円をもらっている人は、その額面でみると1万倍の差である。

これは、逆に言えば、「貨幣価値が1万分の1に落ちた」ということになる。かつては20円で済んでいたものが、今では20万円を出さないといけないということなのだから、貨幣の価値は1万分の1に減ったのだ。

では、ここで考えて欲しい。

今から70年後の世界は、人々の月給は20万円や30万円でやっていけていると思うだろうか。もしかしたら、月給2000万円だとか3000万円が当たり前の時代になっているかもしれないと思わないだろうか。

そうなのだ。現金は長い目で見ると必ず目減りする。資本主義の世の中では現金がなければならないが、資産が現金だと、皮肉にも資本主義で負け犬になるのは必至なのだ。

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