仮想通貨の価値は「ゼロ」と「無限」の間で揺れ動いている

仮想通貨の価値は「ゼロ」と「無限」の間で揺れ動いている

ビットコインを含め、仮想通貨全般が暴落している。仮想通貨の取引は誰が管理しているわけでもないので、いったん暴騰すればどこまでも暴騰するが、いったん暴落すればどこまでも暴落する。

株式市場で一日に10%も暴落したら新聞の一面に載るが、仮想通貨は一日に10%の上げ下げは日常茶飯事であり、中には40%も50%も値が動くアルトコインまで存在する。

そもそも、なぜ仮想通貨はこれほど値動きが激しいのか。

それは、「政府が決めた管理がないから」というのもある。相場の健全性を守るための保護もなければ、投資家の保護もない。だから、ストップ高もないしストップ安もない。

あるいは、それが稀に見る鉄火場(ギャンブル相場)なので、一攫千金を狙った人間がイナゴのように市場に押し寄せているということもある。

しかし、値動きが激しい理由はそれだけではない。

もっと重要で根源的な点は「仮想通貨の価値が分からない」という点にある。仮想通貨というのは、いったい何を持ってその価値を計ればいいのか、確かなモノサシを誰も持っていない。だから、価格が凄まじく動く。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

なぜ、途上国の政府は仮想通貨を規制したいのか?

「今後、ドルや円のような法定紙幣(フィアット)に取って変わる」と言う人もいるし「通貨というよりもゴールドのようになる」と思う人もいる。

あるいは「仮想通貨は詐欺だ」と吐き捨てる人もいるし、「仮想通貨は各国政府の規制によって無価値になる」と考える人もいる。

実際、2018年1月の暴落は「中国政府が規制する」とか「韓国政府が仮想通貨の取引所を閉鎖する」という政府絡みの規制から端を発している。

規制を考えているのは中国や韓国だけではない。途上国の政府の多くは自国通貨から仮想通貨へ資金が移動するのを極度に嫌がっており、次々と規制が入る可能性が高い。

なぜ、途上国の政府は仮想通貨を規制したいのか。それは、自国通貨が売られて無価値同然になり、政府財政が破綻してしまうからである。

途上国の発行する通貨は脆弱な信用の元に成り立っている。だから、財政赤字や不況や暴動や震災や戦争などによって、政府が信用されなくなると、すぐに通貨価値が国際的に下落してしまう。

通貨の価値が下落するというのは、インフレが起きるということである。その国の通貨を持っていればインフレによってどんどん無価値になっていく。

そのために少しでも資産を守りたいと思う国民はどうするのかというと、他国の通貨に交換する。価値が保障されている強い通貨と、自国の弱い通貨を交換しておく。

そうすると、自国の通貨がどんなに暴落したとしても、強い通貨を持っている人はビクともしなくなる。だから、途上国の通貨は「常に売り飛ばされる危険性」をはらんでいる。

途上国の通貨や国債ほど高金利なのは、売り飛ばされないように、そうせざるを得ないという事情から来ている。不安定な存在だから高金利にしないと、いつでも売り飛ばされて通貨の価値は下落する。

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自国通貨は信用できないと思っている人間が殺到

当然だが、途上国の政府は自国の法定紙幣(フィアット)を守るために、厳しい通貨規制を行っている。つまり、外国の通貨と交換させないようにしている。

現在、世界で最も強大な国家はアメリカであり、そのアメリカが発行するドルは世界で最も信用のある通貨である。

だから、途上国の国民は、いつ紙くずになるのか分からない自国通貨を一刻も早くドルに変えたいと思う。ドルにしておけば、自国通貨が暴落しても関係ない。

しかし、国民全員がそんなことをしたら途上国の政府が発行する通貨はますます下落して無価値になる。だから、途上国の政府は国民がドルのような強い通貨を手に入れられないように「通貨規制」を必死でする。

中国も莫大な財政赤字を積み上げているので人民は誰も中国元を信用しておらず、だから彼らはドルや円を手に入れようと画策してきた。

「上に政策あれば、下に対策あり」の世界だ。しかし、中国政府は目に付く抜け道をことごとく潰して、中国元が暴落しないようにしている。

そこに現れたのが、仮想通貨である。

他国の紙幣と交換するのが難しければ、仮想通貨に移して資産を保全するか、もしくは「人民元→仮想通貨→ドル」という流れで外貨を手に入れる対策が機能した。韓国も同様だ。

ビットコインが暴騰したのは、言ってみれば途上国の「自国通貨が信用できない」と思っている人間がそこに殺到したのが最初で、次に相場が上がっているからと投機家が遅れてやってきてさらに相場を押し上げたのが現状だ。

「仮想通貨は投機家と途上国の人間の通貨」と揶揄されるのは、こうした現状を指して言われている。

途上国の政府は、仮想通貨が抜け道だと思えば全力で規制する。国の存続がかかっているのだから、途上国の政府がそれを規制するのは当然の動きである。

グローバル経済が不調に落ちたら新興国が不安定になるが、そうなれば仮想通貨を規制する国は一気に増え、さらに規制はより厳しくなる。

「仮想通貨は各国政府の規制によって無価値になる」と考える人は、このあたりの事情を指して言っている。

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現在の仮想通貨の市場に起きている現象の意味とは

先進国はどうか。先進国の政府は仮想通貨に対する見方は複雑だ。それは下手したら資産隠蔽やマネーロンダリングの手段になるのではないかという危惧がある。

しかし、「誰がいくら買っているのか」を正確に捕捉できれば、それを法定紙幣(フィアット)に変えて利益が出たら、そこから税金をがっぽりと手に入れることができる。

税金が手に入るのであれば、それは政府にとっての利益である。だから「誰が仮想通貨を持っているのか」さえ把握できていれば、仮想通貨の存在自体は別に問題ないということになる。

仮想通貨の仕組みを支えているブロックチェーンは、今後インターネットと同様のインパクトを社会に与える。

その巨大で重要なイノベーションには個人も国も大きな注意を払うべきだ。そこに日本の将来はかかっている。(日本を襲う新たな貧困「ブロックチェーン格差」の自己責任を乗り越えろ=鈴木傾城

このブロックチェーンの技術が金融に活かされているのが仮想通貨である。だから「今後、ドルや円のような法定紙幣(フィアット)に取って変わる」と主張する人がいても不思議でも何でもない。

「仮想通貨は各国政府の規制によって無価値になる」というのであれば、仮想通貨の価値はゼロだ。「今後、ドルや円のような法定紙幣(フィアット)に取って変わる」というのであれば、仮想通貨の価値は無限だ。

つまり、仮想通貨の価値は「ゼロ」から「無限」の間で揺れ動いている。価値がゼロだと思う人は買わないし、価値が無限だと思う人は全財産をそこに突っ込む。

今のところ、仮想通貨がどのような運命を辿るのかは決まっていない。決まっていない以上、価値の妥当性も決まっていない。高いのか安いのか誰にも分からないのである。

価値に対する感覚のブレが大きいので、相場のブレもまたそれだけ極端になる。それが、現在の仮想通貨の市場に起きている現象なのだ。

何が起きているのか、理解できただろうか?(written by 鈴木傾城)

 

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仮想通貨の価値は「ゼロ」から「無限」の間で揺れ動いている。価値がゼロだと思う人は買わないし、価値が無限だと思う人は全財産をそこに突っ込む。それが、現在の仮想通貨の市場に起きている現象なのだ。

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