バブルが多くの人間を惹きつけるのはなぜか。それは、バブルに乗れば「最速」で金持ちになれるかもしれないからだ。
バブルの時に全財産を注ぎ込んで勝負する人がいるのはなぜか。それは全財産を注ぎ込んでバブルに乗れば、利益が最大化することができるからだ。
全財産どころか、レバレッジを賭けて勝負する人もいる。レバレッジとは早い話が自分の元金を担保にした借金だが、バブルの時に全財産どころか借金までして金を賭けるのは、最速で利益を極限まで最大化する行為である。
ところで、市場の動きはランダム(不規則)である。
コンピュータのプログラミングの世界ではランダムのことを「乱数」と呼ぶのだが、たとえばゲームのように次の場面を予測させないために敢えて「乱数」を使って結果をランダム(不規則)にすることがある。
ゲームでは意図的にプログラマーが乱数を発生させてランダムを生み出さないといけないのだが、現実社会ではランダム性を意図する必要はない。なぜなら、現実はすべてにおいて最初からランダムで構成されているからだ。
現実は何でも起きる。いつでも予測不可能が発生する。現実はランダムである。現実は人々の予測を完全に乱す。つまり、現実は驚きに満ちている。(鈴木傾城)
最速で金持ちになろうとすると即死することもある
現実がランダムであるとするならば、一定方向に向かって全財産を賭けたりレバレッジを賭けたりして勝負するのは、いかに危険であるのかは少しの常識と良識を持った人間であればすぐに理解できる。
バブルという巨大な波で市場が途方もなく暴騰しているのであれば、尚さら危険であるのは言うまでもない。
バブルで全財産を賭ければ、高いところからより高く舞い上がることもあるかもしれないが、高いところであればあるほど落ちた時の生存確率は低い。
場合によっては即死する。
確かに超絶的に上がっている市場は勢いがあるので、トレンドが続いている限りはもっと上がる確率は高い。どこまでも上がる。バブルがバブルである所以だ。
しかし、現実は不規則(ランダム)で構成されているので、いつでも潮目は変わる。そして、潮目は突如としてやってくる。
「最速で金持ちになる」ために全財産をバブルに注ぎ込むというのは、A地点からB地点に行くのに一般道を120キロでぶっ飛ばすのと同じだ。
そして、レバレッジを賭けるというのは、信号をも無視するのと同じだ。
確かに一般道を120キロで飛ばして信号も無視すれば、誰よりも早くそこに到達できる可能性はある。しかし、逆に事故を起こして、永遠に目的地に辿り着けない可能性も高くなる。
もし、A地点からB地点に行くのに一般道を時速120キロで飛ばし、信号無視して最も早く到達した人物がいたら、私たちはこの人を「優れたドライバーだ」と認識するだろうか。逆にこのように思うはずだ。
「今回はうまくやったとしても、このドライバーはいずれ死ぬだろう」
バブル時に全財産を注ぎ込んだりレバレッジを賭けて成功した人がいても「優れた投資家」であるかどうかは別問題だ。逆にこのように思うはずだ。
「今回はうまくやったとしても、この投資家はいずれ死ぬだろう」
2018年1月16日に起きた仮想通貨市場のナイアガラのような大暴落で全財産を失った投資家は、「最速で金持ちになる」ために目いっぱいのリスクを取った人である。彼らは運が良ければ最速で金持ちになっていたはずだが、ランダム性に飲まれてすべてを失った。
結局、どうすれば良かったのか。
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バブルが多くの人間を惹きつけるのはなぜか。それは「最速」で金持ちになれるかもしれないからだ。バブルに全財産を注ぎ込むのも、過大なレバレッジを賭けるのも同じだ。「最速」で金持ちになりたいからだ。しかし「最速」は往々にして大事故をもたらす。それが現実だ。https://t.co/JTn4SLSXm7— Keisei Suzuki (@keiseisuzuki) 2018年2月11日
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